こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。
虫歯治療にはさまざまあり、歯を少し削って完了というケースもあれば、神経を抜くケースもあります。「神経を抜くのはあまりにリスクが大きいのでは?」と思う方も多いでしょう。
そこで今回は、虫歯治療で歯の神経を抜くメリットやデメリットなどについて解説します。神経を抜いた歯の寿命を長持ちさせる方法についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
歯の神経とは?
「歯の神経って具体的に何のこと?」と疑問に感じる方も多いでしょう。そこで、ここでは歯の神経の特徴や役割について詳しく解説します。
まず、歯の神経とは、歯の中に存在する歯髄(しずい)という組織のことです。歯髄には神経と血管が通っており、歯に対するさまざまな役割を担っています。
具体的には、以下のとおりです。
歯に栄養を与える
歯髄の役割のひとつが栄養の供給です。具体的には、カルシウムやミネラルなどの栄養を、血管を通して象牙質に供給しています。
外からの刺激を感知する
歯髄は、外からの刺激を感知し、脳にシグナルを送る役割も担っているのです。通常、人間が刺激として感じるものには痛い・痒いなどがありますが、歯の神経はすべての刺激を「痛い」と感じるという特徴があります。そのため、冷たいものも熱いものも「痛い」という刺激として脳に伝えているのです。
免疫反応を起こす
歯髄には防御機能も備わっています。具体的には、歯髄にある免疫細胞が細菌に抵抗した場合や、象牙質といわれる部分に刺激が加わった場合に、第二象牙質という壁をつくって刺激を遮断するのです。
虫歯治療で歯の神経を抜くべきケース
「歯の神経を抜かないといけないのはどんなとき?」と疑問に感じる方も多いでしょう。虫歯治療では、歯を少し削るだけでよいケースも多くある一方で、神経を抜くケースもあります。では、どのようなケースで歯の神経を抜かなければならないのでしょうか。
結論からいうと、虫歯の進行度合いによっては歯の神経を抜く必要があります。具体的には、虫歯が歯の神経に達するほどに進行した場合に、神経を抜く必要があるのです。
なぜなら、虫歯が歯の神経にまで達すると、常に歯の痛みが続くためです。歯に何の刺激も加わってない状態でも歯が痛む場合、痛みから解放されるには歯の神経を抜くしかありません。
虫歯治療で歯の神経を抜くメリット・デメリット
「歯の神経を抜くべきか悩む」という方は多いでしょう。
虫歯治療で歯の神経を抜くメリットとデメリットについて解説します。
メリット
虫歯治療で歯の神経を抜くメリットは、以下の2つです。
歯の痛みがなくなる
歯の神経を抜くことで、痛みがなくなることが大きなメリットです。虫歯が歯の神経にまで達すると、安静にしていても痛むようになります。感染した神経が自然に治ることはなく、歯髄を構成する細胞が死滅するまで痛みが持続するのです。
その点、歯の神経をきれいに抜き取ってしまえば痛みの原因を取り除くことになるため、痛みから解放されるのです。
虫歯の進行を止められる
歯の神経が虫歯菌によって汚染された場合、虫歯はさらに進行します。何もせず放置し、歯根までダメージを受けると抜歯しなければなりません。
その点、歯の神経を抜くことで虫歯の進行を止められるのです。また、歯の神経を抜くことで抜歯にいたらず、大切な歯を保存できることも大きなメリットといえるでしょう。
デメリット
虫歯治療で歯の神経を抜くデメリットは、以下の2つです。
歯が脆くなる
歯の神経を抜くと歯が脆くなります。歯の神経である歯髄は、歯に栄養を供給して健康を維持するという大切な役割を担っています。
しかし、歯の神経を抜くと栄養供給がストップするため、歯が脆くなるのです。歯が脆くなると、少しの刺激で歯が折れることや、ひびが入ることがあります。
歯の異常に気づきにくくなる
歯の神経を抜くと、歯に刺激が加わっても痛みを感じることがありません。痛みを感じないことは一見メリットのようですが、歯に異常が起きているにもかかわらず痛みを感じないのは問題です。気づかないうちに症状が進行する可能性があります。
虫歯治療で神経を抜く方法
「虫歯治療で神経を抜く場合、どのような方法で行われるの?」と疑問に感じる方は多いでしょう。
そこで、ここでは歯の神経を抜く場合の流れについて詳しく解説します。
1.麻酔をする
2.歯を削り、神経を抜く
3.歯の根っこ内の形を整える
4.歯の根っこ内を消毒する
5.薬を詰める
6.土台を立てて被せ物を装着する
以上で治療は完了です。
歯の神経を抜くとき・抜いたあとは痛い?
「歯の神経を抜くって痛そう」と不安に感じる方も多いでしょう。では、歯の神経を抜くときに痛みは感じるのでしょうか。また、抜いたあとに痛みを感じることはあるのでしょうか。
結論からいうと、歯の神経を抜くときに痛みを感じることはありません。なぜなら、歯の神経を抜く前に麻酔をするからです。麻酔の際に多少の痛みが発生するケースはありますが、麻酔が効いている間は痛みを感じることはないでしょう。
また、歯の神経を抜いたあとは、刺激を感知して脳に伝える役割をもつ歯髄がなくなるため、痛みを感じることはありません。
ただし、歯の神経の治療が不十分だった場合は痛みが残る可能性があります。「歯の神経を抜いたのに痛い」という方は、歯周病の進行など、虫歯以外の理由で痛みが生じていることも考えられるでしょう。
歯周病の場合は、歯ではなく、歯茎に炎症が起こって腫れなどの症状を引き起こす病気であることから、痛みが発生するのです。
神経を抜いた歯の寿命と長持ちさせる方法
神経を抜いた歯は虫歯になりやすいです。また、栄養供給がストップすることから脆くなります。そのため「すぐダメになってしまうのでは?」と不安に感じる方も多いでしょう。
たしかに、神経を抜いた歯は、健康な歯に比べて10年程度寿命が短くなるといわれています。寿命の目安は5~30年ですが、より長持ちさせる方法は存在します。
神経を抜いた歯を長持ちさせる方法は、以下のとおりです。
セルフケアをきちんと行う
神経を抜いた歯は、ただでさえ虫歯になりやすい状態です。虫歯になりやすい状態であるにもかかわらず、口内環境が悪い状態が続くと、虫歯のリスクが一段と高くなります。
虫歯を予防するために大事なことは、日々のセルフケアです。歯ブラシやフロスなどを使用し、歯の汚れを徹底的に除去しましょう。三日坊主で終わるのではなく、適切なセルフケアを継続していく姿勢が大切です。
定期的にメンテナンスを受ける
誰しもが虫歯や歯周病のリスクがあります。適切なセルフケアを行っているつもりでも、少しでも歯に汚れが残っていれば、虫歯や歯周病のリスクが高くなるのです。
そのため、定期的にメンテナンスを受けることが重要です。歯科医院を受診し、細かな汚れまで徹底的に除去してもらうことで、虫歯や歯周病を予防でき、歯を長持ちさせることができます。
また、歯科衛生士から歯磨きの基本などを指導してもらうことで、より適切なセルフケアができるようになるでしょう。
まとめ
今回は、虫歯治療で歯の神経を抜くメリットやデメリットなどについて解説しました。
虫歯治療にはさまざまなケースがあり、症状が相当に進行した場合には歯の神経を抜かなければなりません。
無理に神経を残そうとすると、症状がさらに進行する場合や痛みが続く場合があります。そのため、歯科医師と相談し、場合によっては歯の神経を抜くという決断をすることも大事です。
歯の神経を抜くことで、歯が脆くなる場合や歯の異常に気づきにくくなる場合がありますが、その一方で痛みから解放され、症状の進行を食い止められるというメリットがあります。また、神経を抜いた歯がすぐに折れることや、ひびが入ることはないでしょう。
虫歯になりやすいという側面はあるものの、日々のセルフケアや定期的にメンテナンスを受けることで、長持ちさせることができます。セルフケアやメンテナンスを重視することで、神経を抜いた歯だけでなく、ほかの健康な歯を長持ちさせることにもつながるため、ぜひ継続しましょう。
虫歯治療でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。