こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。
乳歯は柔らかいこともあり、虫歯になりやすいといわれています。虫歯になった乳歯をそのまま放置すると、どのような影響があるのかご存じでしょうか。乳歯はいつか抜けるから問題ないと思う方がいるかもしれませんが、乳歯の虫歯は永久歯にも多大な影響を及ぼします。
今回は、乳歯の虫歯が永久歯に及ぼす影響について詳しく解説します。乳歯が虫歯になったときの対処法や、乳歯の虫歯の予防法もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
乳歯の虫歯が永久歯に及ぼす4つの影響
乳歯の虫歯は、永久歯にも影響を及ぼします。
乳歯の虫歯が永久歯に及ぼす影響を確認しましょう。
歯並びが乱れる
乳歯が虫歯になって症状が進行した場合、抜歯しなければならないことがあります。
通常の生え変わりでは、乳歯の下で永久歯が成長することで、乳歯の根を溶かす細胞が作られます。乳歯の根の吸収が進んでグラグラと揺れ始め、自然と抜けて永久歯が生えてくるのです。
乳歯が抜けてあいたスペースにすぐに永久歯が生えてくるので、大きく歯並びが乱れることは少ないでしょう。
しかし、虫歯が原因で乳歯を抜いた場合は、すぐに永久歯が生えてきません。隣接する歯が倒れるなど、永久歯が生えるためのスペースが狭くなることがあります。
ほかの歯を避けるように永久歯が生えることで、歯並びが乱れる可能性があるのです。
いびつな形の永久歯が生える
乳歯の虫歯が神経にまで達すると、乳歯の根の先に膿が溜まることがあります。永久歯は乳歯の下で成長するので、永久歯にも影響を及ぼす場合があるのです。
例えば、永久歯が変色する場合や、いびつな形になる場合があるでしょう。
ほかの歯の虫歯リスクも高まる
虫歯の治療をしても、虫歯菌は口腔内に残るといわれています。そのため、次に生えてくる永久歯も虫歯になるリスクがあるでしょう。
永久歯だけでなく、隣接する乳歯にも虫歯菌が波及して虫歯になるリスクがあるのです。
適切な顎の使い方が身につかない
乳歯が虫歯になり、本来抜けるべきタイミングよりも早く乳歯を失うと、次の歯が生えてくるまでに時間がかかるケースがあります。永久歯が生えてくるまで、半年以上必要な場合もあるでしょう。
歯がない状態で半年以上食事をしていると、食事や会話の際に本来とは異なる顎の使い方をします。正しい食べ方や話し方が身につかない可能性が高いです。
乳歯の虫歯の特徴を知ろう!
乳歯の虫歯には、永久歯とは異なるさまざまな特徴があります。
乳歯の虫歯を早期に発見できるように、乳歯の虫歯の特徴を確認しましょう。
虫歯になりやすい部位
上の前歯の外側や、奥歯の噛み合わせる部分、歯と歯の間の3か所が、特に虫歯になりやすいです。大人の虫歯は、歯の根元や以前治療した詰め物との間にできやすいため、大人と同じ感覚でこどもの歯の仕上げ磨きをしていると虫歯を防げないでしょう。
痛みの有無
大人の歯は、歯の痛みがきっかけで虫歯に気づくことが多いかもしれません。
しかし、乳歯の虫歯は重症化しなければ痛みを感じないといわれています。歯の痛みは、歯の神経圧が高まることで引き起こされます。
乳歯は柔らかいため、歯の神経圧が高まりづらく、痛みをなかなか感じられないのです。そのため、歯がボロボロになってから虫歯に気づくケースが少なくありません。
見た目
虫歯と聞くと、歯が黒くなるというイメージを持たれるかもしれません。
しかし、初期の乳歯の虫歯では、歯の一部が白く濁る、帯状に白く濁るなど、歯のツヤが失われた状態となります。しっかりと観察しなければ発見できないため、仕上げ磨きの際に確認していても見逃されることが非常に多いです。
歯の表面に穴があくこともありますが、重症化しているサインといえます。
進行速度
乳歯は柔らかく耐酸性が低いため、永久歯よりも虫歯の進行が早いといわれています。大人であれば数か月以上かけて徐々に進行していく場合でも、乳歯の虫歯は数か月で神経まで達することも珍しくありません。
進行が早く痛みが出ないので、早期に発見することが非常に難しいのです。
乳歯が虫歯になったときの対処法
乳歯が虫歯になっている場合は、早期に対処すべきです。
歯科医院を受診する
まずは、歯科医院を受診しましょう。痛みがないうえに見た目も大きく変わらないので、乳歯の虫歯に気づくことは難しいですが、気づいた場合は早急に歯科医院を受診してください。
早い段階で治療できれば、少し削るだけで治療を終えられるでしょう。適切に虫歯を取り除いて乳歯を温存できれば、上述した4つの影響を回避できます。
歯科医院を受診したときの治療方法は、進行度によって異なります。それぞれ確認しましょう。
軽度の虫歯
虫歯が軽度な場合は、虫歯部分を削ってレジンとよばれるプラスチックの詰め物を詰めます。治療は1回で終わるので、何度も通院する必要はありません。
中程度の虫歯
虫歯がエナメル質を溶かして象牙質まで進行しているものの、神経には達していない場合は、軽度の虫歯と同様に治療します。虫歯部分を削ってレジンを詰めます。
削ったあとの歯型を取って、銀歯などの詰め物を入れることもあるでしょう。
重症の虫歯
虫歯が神経にまで達している場合は、抜歯を選択することが多いです。虫歯が神経にまで達すると、歯を温存することは難しいのです。
こどもの場合は神経の再生能力が高いため、神経の一部と歯を残す生活歯髄切断法という治療を行うこともあります。抜歯をして放置すると、将来の歯並びに影響を及ぼす可能性があるため、永久歯の成長をサポートする目的で入れ歯を使用することもあるでしょう。
乳歯の虫歯を予防する方法
乳歯の虫歯を予防することは、永久歯のためにも非常に重要です。
乳歯の虫歯を予防する方法について解説します。
丁寧に歯のブラッシングを行う
虫歯予防のために最も重要なのが、歯のブラッシングです。こどもの場合、虫歯になりかけている初期段階であればブラッシングで改善できることもあるので、ブラッシングは非常に大切です。
しかし、すべての歯を1人で磨けるようになるのは6歳(就学後)頃といわれています。1人で磨けるようになるまでは、保護者による仕上げ磨きが必要です。
こどもが1人でも歯を磨けるように指導しながら、保護者はこどもの虫歯になりやすい部分を中心に全体的に仕上げ磨きをしてあげましょう。
特に、睡眠中は虫歯菌が活発になります。睡眠前には、デンタルフロスやデンタルリンスを活用して口の中を清潔に保ちましょう。
虫歯予防には、フッ素が配合された歯磨き粉を使うのも効果的です。
定期的に歯科検診を受ける
こどもの虫歯は、保護者では気づけないことが多いため、歯科医院で虫歯の有無をチェックしてもらってください。虫歯の早期発見・早期治療にもつながるでしょう。
ご家庭でどれだけしっかりと歯磨きをしていても、磨き残しは生じます。磨き残しによってできた歯垢には、1mgあたり2~3億個もの虫歯菌が潜んでいるとされています。歯科専用の機械を使って、口腔内をきれいにしてもらいましょう。
歯科医院では、虫歯を予防するフッ素の塗布や、シーラントという処置を行ってもらえます。シーラントは、プラスチック樹脂で虫歯になりやすい歯の溝を埋める処置のことです。
歯科医院では見慣れない器具が多いため、怖いことをされるのではないかと不安になるこどもが多いです。痛い処置がない定期検診を受けて歯科医院に慣れていれば、虫歯治療が必要なときもスムーズに進められるでしょう。
おやつの時間を決める
「甘いものを多く食べると虫歯になる」と思う方がいるかもしれません。
しかし、甘いものを食べる量ではなく、砂糖が口の中にどれくらいの時間停滞しているかが、虫歯の発生に関わります。飴やチョコなどをだらだらと食べていると、虫歯になるリスクが高まるのです。
おやつの時間を決め、だらだら食べさせないようにしましょう。また、食後は歯を磨き、口の中の砂糖をしっかりと洗い流してください。
ソフトキャンディーやキャラメル、チョコレートなどの歯にくっつきやすいものは、虫歯予防の観点からは控えたほうがよいでしょう。
まとめ
乳歯の虫歯を放置すると、永久歯の歯並びに悪影響を与える可能性や虫歯のリスクが高まる可能性があります。さまざまな影響を及ぼすため、早期に治療したほうがよいでしょう。
乳歯は虫歯になっても痛みを感じにくく、見た目でもわかりにくいです。そのため、予防することが非常に重要です。歯科医院を定期的に受診して、歯の状態をチェックしてもらいましょう。
ご自宅でのブラッシングや、おやつの食べ方を見直すことも虫歯予防につながります。親子で乳歯の虫歯に気をつけ、永久歯を守りましょう。
乳歯の虫歯でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。