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歯を守るための食事のアドバイスは?

2024年1月24日
歯を守るための食事のアドバイスは?

みなさまこんにちは!

大阪府八尾市に60年にわたり、地域に根ざす歯医者、医療法人甦歯会 もりかわ歯科です。

 

当院では、患者様が抱える歯科に関する疑問や不安に真摯に向き合い、

解消できるよう心がけています。

歯科医師やスタッフとのコミュニケーションが不足しがちな中、

このブログを通じて患者様と対話し、理解を深める場を提供したいと考えています。

日常生活での歯のお手入れや健康に関する知識は、

ご自身の歯の状態を理解し、適切なケアを行う上で非常に重要です。

このブログでは歯に関する基本的な情報から、

診療に関する細かい疑問まで、様々なトピックを取り上げています。

患者様がより良い歯科ケアの選択ができるよう、

専門的な情報を分かりやすくお届けしています。

 

ご質問や疑問がございましたらお気軽にお寄せいただき、

私たちが提供する情報を通じて患者様の歯科に関する理解が深まることを願っています。

なにかお困りの際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

こちらでお手伝いさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします!

歯を守るための食事のアドバイスは?のご質問に全力回答!

毎回の食事を楽しんでいますか?しっかりと噛むことは心がけていますか?

 

健康に良い食べ物を選んでいても、

その食べ方が本当に健康に役立っているかどうか、今一度考えてみましょう。

 

年齢を重ねても、美味しい食事と健康的な生活を両立させるためには、

頑丈で健康な歯を維持し、「自分の歯で食事を楽しむこと」が不可欠です。

 

歯の健康は歯磨きなどのケアだけでなく、

食生活からも大きな影響を与えます。

今回は、「歯を守るための食事のアドバイス」についてお話しさせていただきます。

丈夫な歯をつくるための栄養素

丈夫な歯を作るためには、

栄養バランスのよい食事が何より大切です。

歯に必要な栄養素として、

主に良質タンパク質、カルシウム、リン、ビタミンA・C・Dが挙げられます。

丈夫な歯をつくるための栄養素

1. 良質タンパク質

タンパク質は歯の主成分であるエナメル質や象牙質(ぞうげしつ)を構成するために必要です。

また、口の中の細菌の増殖を抑え、歯垢の形成を防ぐ働きもあります。

※象牙質(ぞうげしつ)とは :歯や歯の一部など、硬い組織を形成するための物質で、歯の主要な構成要素です。

食材例

魚、鶏肉、牛肉、卵、大豆製品など。

 

2. カルシウム

カルシウムは歯の主成分であるエナメル質や象牙質(ぞうげしつ)を形成し、

硬さと強度を与えます。十分なカルシウムを摂取することで、

虫歯や歯周病のリスクを低減できます。

 

歯周病ついてより詳しく知りたい方は、

当院のブログで紹介しております「歯周病が引き起こす病気とは?全身の健康との関係性について解説!」もご覧ください。

食材例

牛乳、ヨーグルト、チーズ、豆腐、小魚(骨付き)、イカなど。

3. リン

リンはカルシウムと協力して歯を構成するハイドロキシアパタイトを形成します。

この結晶は歯の硬さや強度向上に役立ちます。

また、リンが不足すると歯の弱化が進む可能性があります。

※ハイドロキシアパタイトとは :リン酸カルシウムの一種であり、主に歯と骨の構成要素となっています。人体内では、水やコラーゲンなどの有機物に次いで豊富に存在し、骨の約60%、歯のエナメル質の97%、象牙質の70%を占めています。さらに、この成分は唾液にも豊富に含まれています。

食材例

豚肉、魚、卵、ナッツ、穀物など。

4. ビタミンA

ビタミンAは歯茎や口腔粘膜の健康を維持します。

歯茎の健康が損なわれると、歯周病のリスクが高まる可能性があります。

食材例

にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、レバー、卵など。

5. ビタミンC

ビタミンCは歯ぐきの健康をサポートし、コラーゲンの形成に役立ちます。

これにより歯ぐきの弾力性が維持され、歯周病に対する抵抗力が向上します。

食材例

オレンジ、いちご、ブロッコリー、トマト、ピーマンなど。

6. ビタミンD

ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、骨の形成と維持に不可欠です。

十分なビタミンDを摂取することで、歯の骨や歯周組織の健康をサポートします。

食材例

魚(特に青魚)、卵黄、キノコ、牛乳など。

「噛む」ことの大切さ

「噛む」ことの大切さ

口内は、食べ物が最初に入ってくる場所であり、

歯を使って咀嚼することで消化が始まります。

しっかりと噛むことができないと、摂取する食事から得られる栄養が減少してしまいます。また、健康な歯で適切に噛むことには美容効果も期待することができます。

良い噛みごたえがあると、顔の表情筋が鍛えられ、小顔の効果が期待できます。

しっかりと噛んで栄養素を摂取することで、身体の内側から美しくなる可能性もあります。

美容にとって重要な食物繊維も、頑丈な歯をつくることでしっかりと噛むことができます。

咀嚼(そしゃく)と唾液の関係性って?

食べ物を効果的に摂取するには、唾液が不可欠です。

噛むことは口周りの筋肉を鍛える運動であり、

この行為によって耳の下、顎の下、舌の下にある唾液腺が刺激され、

唾液の分泌が増加します。

噛む回数に意識を向けて食事をする方は少ないかもしれませんが、

噛むことは唾液の清掃効果を高める重要な要素です。

日本歯科医師会によれば、ひとくちにつき30回以上噛むことが理想的とされています。

噛むことを意識的に行うことで、口内の健康を維持し、

栄養素をより効果的に摂取することができます。

唾液の分泌を促す食べ物は?

唾液の分泌を促す食べ物として、真っ先に思いつくのは梅干しやレモンなどの

酸っぱい食品です。身体は「酸味=毒」と認識します。

そしてその毒性を薄めようとして味覚・唾液反射と呼ばれる反射的な唾液分泌が

引き起こされます。また、あごを動かすことにより唾液が分泌されるため、

ガムやするめ、ドライフルーツなどの固いものをよく噛むことも有益です。

さらに、昆布(アルギン酸が唾液分泌を促進)や納豆(ポリグルタミン酸が唾液分泌を促進)も、実は唾液の分泌を促す食品の一部です。

 

唾液の分泌が虫歯の予防にも役立つとはいえ、食事後の歯磨きもしっかりと行いましょう。

歯を磨くのは食べてから何分後?

歯磨きのタイミングについて、一般的なガイドラインとしては、

食事を終えてから約30分後が良いとされています。

なぜなら、食事をとると口内の状態が酸性に傾き、これによって歯が酸に弱くなります。

食後すぐに歯を磨いてしまうと、歯の表面が酸によって軟らかくなっているため、

歯ブラシでの磨きが歯を傷つけやすくなります。

したがって、食後すぐではなく、約30分待ってから歯磨きを行うことが勧められています。この待ち時間を設けることで、歯の表面が酸の影響から回復しやすくなり、

歯磨きをおこなった際に歯垢や食べカスをより効果的に取り除くことができます。

この適切な歯磨きのタイミングを守ることで、口内の健康を維持し、

歯のエナメル質を保護することが期待できます。

歯を丈夫にする飲み物は?

歯を丈夫にするためには、以下のような飲み物がお勧めです。

歯を丈夫にする飲み物は?

1. 緑茶

緑茶には抗酸化物質が豊富に含まれており、これが口内の有害な酸を中和し、

歯を酸蝕から守ります。また、ポリフェノールも豊富で、

抗酸化作用だけでなく抗炎症作用もあり、歯肉の健康をサポートします。

さらに、緑茶には口内の細菌の成長を抑制する作用があり、

これにより虫歯や歯周病の原因となる有害なバクテリアの数を減少させます。

2. 牛乳

牛乳は豊富なカルシウムとリンを含み、これらのミネラルは歯のエナメル質や

象牙質の形成に不可欠で、歯の硬度と強度を維持する役割を果たします。

特に成長期の子供や若者にとっては、正しいカルシウムとリンの摂取が歯の発育に

影響を与えます。さらに、牛乳に含まれるカルシウムは歯の軽微な損傷や

酸蝕があった場合に再石灰化を促進し、歯を保護し、強化します。

3. ハーブティー

カモミールやペパーミントティーなどは、含まれる抗酸化物質や抗炎症成分が口内の

細菌の成長を抑制し、口腔内の炎症を和らげる効果があります。

特にカモミールティーはその穏やかな抗炎症作用で知られ、歯茎の健康をサポートします。一方で、ペパーミントティーは口臭を軽減する効果があり、

口の中の爽快感ももたらします。これらのハーブティーの利用は、

口内の微生物バランスを整え、口腔環境を良好な状態に保つ一環となります。

4. 水

水は口腔内の酸を中和し、口腔環境を中性に保つ役割があります。

これにより歯のエナメル質を酸蝕から守り、虫歯や歯の損傷を軽減します。

さらに、水は口内の細菌や食物の残りを洗い流す働きがあります。

食事後に水を飲むことで、口腔内の細菌の繁殖を防ぎ、

歯垢や食べカスを除去することができます。

水は無糖かつカロリーゼロであり、他の飲み物と比べて歯の健康に対する悪影響が

少ないため、特に砂糖入りの飲み物や酸性の飲み物を摂取する前後に水を飲むことで、

口腔健康をサポートすることができます。

まとめ

 

いかがでしたでしょうか?皆さんが通常摂取している食品の中には、

歯と密接な関連があるものが数多く存在します。

今日紹介した栄養素を含む食品を摂取することはもちろん有益ですが、

これらを食事に組み込むだけでは予防として十分ではありません。

日常のセルフケアに加え、もりかわ歯科での定期的な検診とクリーニングもお忘れなく!

 

当院では、様々な症状のご相談はもちろん、

根本的な改善を志向した治療を提供しています。

将来の歯の問題を予防したい方は、どうぞお気軽にご相談ください。

歯のトラブルに適切な治療を受けることは、人生を豊かにするだけでなく、

将来的な不快な症状を未然に防ぐ一環となります。歯科治療を検討することで、

お忙しい日常においても歯の健康に対する適切なケアを施すことが可能です。

そして、きっと、その結果としてあなたの人生がより充実したものとなるでしょう。

歯の健康は単なる口腔の問題だけでなく、全身の健康とも密接に関わっています。

それでは、次回のブログでお会いしましょう。

お口の健康に関する有益な情報を共有できることを楽しみにしています。

 

重度の歯周病とはどのような状態?放置するリスクと治療法

2023年10月13日
歯茎を確認している男性

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

歯茎からの出血や、歯のぐらつきがある場合、重度の歯周病になっているかもしれません。重度の歯周病を放置すると、食事など日常生活に影響を及ぼし、最終的に歯が抜け落ちる可能性があります。重度になると治療の難易度も高くなるため、早期に対処することが大切です。

今回は、重度の歯周病の症状や放置するリスク、歯周病の予防法を解説します。

重度の歯周病とはどのような状態?

口に人差し指を当て、悩んでいる表情の女性

歯周病とは、歯と歯茎の間にあるすき間(歯周ポケット)が細菌に感染し、炎症を起こす病気です。歯周病の進行度合いは、歯周ポケットの深さで診断します。

・軽度の歯周病:1〜3mm

・中等度の歯周病:4~5mm

・重度の歯周病:6mm以上

歯周ポケットの深さが6mm以上の場合、重度の歯周病と診断されます。重度の歯周病で現れる症状は、以下のとおりです。

・歯が動揺する

・歯茎が赤く腫れて膿が出る

・歯茎から出血なる

・歯茎が下がる

・口内がネバネバする

・口臭が強くなる

重度の歯周病では、歯周病ポケットが非常に深くなるので、歯がグラグラと動揺する場合が多いです。咀嚼に支障をきたすこともあるでしょう。

軽度の歯周病では痛みなどの自覚症状はないのが一般的ですが、重度になると上記の症状が現れます。歯茎が下がったことで、歯が長く見えることも多いです。

症状が現れてから歯周病に気づく方も少なくありません。

重度の歯周病を放置すると

黒いドミノを指で倒している

重度の歯周病を放置すると、歯だけではなく全身に影響を及ぼす恐れがあります。

歯が抜け落ちる

歯周病は、歯周ポケット内に歯石や歯垢が溜まることで細菌に感染して引き起こされます。重度の歯周病を放置すれば、歯周ポケット内で活発化した細菌感染が顎の骨にまで拡大するでしょう。

歯を支える顎の骨が溶けて、歯がグラグラと揺れ始めます。最終的には歯が抜け落ちる可能性があるのです。

歯が自然と抜け落ちることは少ないですが、抜歯で歯を失うことが多いでしょう。自然に歯が抜け落ちるまで歯周病が進行した場合、膿の塊や痛みなどの自覚症状が現れて受診する方が多いためです。

全身疾患や妊娠のトラブルにつながる

歯周病を放置すると、歯周病菌が血液を介して全身に運ばれます。歯周病菌は毒性物質や炎症物質を持っているため、さまざまな疾患やトラブルを引き起こす可能性があるでしょう。

歯周病を放置することで起きる可能性のある病気は、以下のとおりです。

糖尿病

歯周病菌が産出する炎症物質が、血糖値をコントロールするインスリンの働きを低下させて糖尿病を引き起こします。

糖尿病と歯周病は関係が深く、どちらか一方が悪化すれば、もう片方の病気も悪化する可能性が高いです。そのため、糖尿病の方や糖尿病リスクの高い方は、歯周病が重症化しないように注意しなくてはなりません。

動脈硬化

歯周病菌の持つ炎症物質や毒性物質によって血管の壁が炎症を起こすと、血管が狭まります。歯周病菌が血管に炎症を起こして血管を硬化させることで、動脈硬化を引き起こすと考えられています。

動脈硬化が引き起こされると、脳梗塞・狭心症・心筋梗塞などのリスクが高まるでしょう。

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)

食事の際に、飲食物が食道ではなく気管に入ることがあります。飲食物と一緒に歯周病菌が肺に入り込むと、肺炎を引き起こすかもしれません。

妊娠のトラブル

血液を通して歯周病菌が胎盤へ届いて刺激することや、歯周病菌の持つ炎症物質によって陣痛が誘発されることなどが原因で、妊娠に関するトラブルを引き起こすことがあるでしょう。

歯周病がある方は、早産や低出生体重児のリスクが高いとされています。妊娠中は体調がよくない方が多く、つわりの影響で歯磨きをできない方もいます。

妊娠前から歯周病を予防し、口内を清潔に保つことが重要です。

重度の歯周病の治療法

歯の模型を使って説明している歯科医師

重度の歯周病の場合、治療が複雑化します。歯や口内の状況に応じて、適切な治療が選択されるでしょう。

重度の歯周病の治療方法は、以下のとおりです。

FMD

FMD(フルマウスディスインフェクション)は、歯周病菌を口腔内と身体の両方から除去する治療法です。

歯周病菌はスケーリングやルートプレーニングなど、機器によるクリーニングで除去しますが、重度の歯周病の場合はクリーニングだけでは除去できません。除去に時間がかかると通院回数が多くなるため、早急に歯周病を改善するためにFMDが選択されます。

FMDでは抗生物質を内服し、体内の歯周病菌を一度で除去します。

歯周外科治療(フラップ手術)

重度の歯周病の場合、歯周ポケットに形成された歯石をクリーニングで除去することは困難です。歯茎を切開し、歯根に付着している歯石・歯垢・毒素を除去することが多いです。

麻酔を使用するので、手術中の痛みはありません。外科手術なので負担は大きいですが、重度の歯周病を改善するために必要な治療です。

歯周病組織再生療法

歯周病組織再生療法は、歯周病によって失われた骨などの組織を回復するための治療です。歯周病菌は、顎の骨や歯茎などの歯の周辺組織を破壊します。

周辺組織が破壊されると歯を支えられなくなり、自然に抜け落ちるかもしれません。抜歯が必要になることもあるでしょう。

しかし、歯を支えている組織を歯周病組織再生療法で回復すれば、歯を残せる可能性が高まります。歯周病組織再生療法では、歯周組織を回復するための場所を作り、組織の回復を促す薬剤を注入します。

歯周補填治療

重度の歯周病では歯を支える骨が溶け、歯がグラグラと動揺する場合が多いです。歯が動揺していると、食べ物を噛むことが困難になります。

歯周補填治療では、動揺している歯を被せ物で固定して安定させます。食べにくさを改善するだけでなく、噛み合わせも改善されるでしょう。

抜歯

重度の歯周病でも、まずは歯を残すことを考えて治療を進めます。

しかし、歯を残すことでほかの歯や身体に悪影響がある場合は、抜歯を選択するでしょう。

歯周病の予防法

歯ブラシ・マウスウォッシュ・デンタルフロスが置かれている

歯周病が重症化してから治療するのではなく、日頃から予防することが大切です。歯周病は自覚がないまま進行し、気づいたときには重度になっているケースも珍しくありません。

歯周病の予防法は、以下のとおりです。

毎日の正しい歯磨き

毎日の正しい歯磨きでプラークを取り除くことは、歯周病の予防につながります。歯ブラシだけでなくフロスなどを使用し、歯と歯の間に付着した歯垢を除去しましょう。

歯と歯茎の溝に45度の角度で歯ブラシを当てることで、歯周ポケットの歯垢や歯石を除去できます。奥歯や歯の裏側など、磨きにくい部分もしっかり磨きましょう。

生活習慣の見直し

免疫力が低下すると、歯周病菌の働きが強まって細菌に感染しやすくなります。栄養バランスのよい食事を心がけ、十分な睡眠や適度な運動で免疫力を高めましょう。

ストレスや疲労を溜め込まないことも大切です。リラックスできる音楽を聴く、趣味の時間を設けるなど、ストレスを解消することも心がけてください。

歯科医院での定期的なケア

歯科医院で定期的に歯周病ケアを行うことも重要です。歯茎の炎症状態や歯周ポケットの深さを定期的に確認すれば、歯周病が重症化する前に気づくことができます。

歯科医師や歯科衛生士によるクリーニングを受けることで、歯垢や歯石を徹底的に除去できます。定期的にクリーニングを受けていれば歯垢が蓄積されないため、歯周病予防につながるでしょう。

まとめ

歯ブラシを片手に持っている女性

重度の歯周病は、食べ物を噛めない、歯茎から出血するなど、日常生活にも影響を及ぼします。進行すると、自然と歯が抜け落ちることもあるでしょう。

身体全体の健康にも悪影響を及ぼすため、歯周病は早期治療・予防することが大切です。歯周病は、進行しなければ気づけないケースも多いです。歯科医院のケアを定期的に受けて口内の状態を確認してもらいましょう。日常のケアもしっかりと行い、歯周病を予防してください。

歯周病でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

歯周病が引き起こす病気とは?全身の健康との関係性について解説!

2023年3月30日
自分の歯を鏡で見ている女性

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

歯周病は、歯を失う大きな原因であることは多くの方がご存じだと思います。では、歯周病が原因で引き起こされる病気はご存じでしょうか。歯周病に罹患すると、口のなかはもちろん、全身の健康に悪影響を及ぼします。

本記事では、歯周病と全身の健康の関係性や、歯周病の治療法、予防策を解説します。歯周病と全身の健康の関係性に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

歯周病とは

歯茎から血が出ている

歯周病は、歯茎やあごの骨などの組織が歯周病菌に感染して、炎症を起こしている状態です。進行すると、歯の支えとなるあごの骨が溶け、最終的には歯が抜け落ちます。40歳以上の80%の方が歯周病に罹患しているといわれており、身近な疾患の1つといえるでしょう。

歯周病の原因は、口の中にある歯周病菌です。歯周病菌は、歯の表面の磨き残しやプラークに生息しています。口の中に歯周病菌が多く生息すると、細菌の出す毒素の影響で歯茎が炎症を起こします。初期症状は、歯茎の赤みや出血、腫れなどの症状で、痛みや違和感はありません。

しかし、歯周病が進行すると、歯茎から膿が出る症状や、あごの骨が溶けることで歯が揺れる症状などがあらわれます。この時期には、多くの方に痛みや違和感などの自覚症状がでるでしょう。

歯を失うもっとも大きな原因は「歯周病」です。ブラッシングや食習慣などの生活習慣が深く関わる疾患なので、日頃からしっかりと歯周病対策をとることがポイントです。

歯周病と全身の健康の関係性

自分の歯を指さしている女性

上述したとおり、歯周病は歯を失う原因の1つです。歯を失うと咀嚼(そしゃく)機能が低下します。咀嚼は、あごの骨に刺激が伝わり、脳の活性化に繋がるといわれています。

実際に、歯の本数が「20本以上」の郡と「20本未満」の郡を比較すると、歯の本数が「20本未満」の郡は認知症の発生率が1.9倍との結果が報告されているのです。歯周病で歯を失うことは、全身の健康に悪影響を及ぼしているといえるでしょう。

また、昨今、歯周病は全身の健康に悪影響を及ぼす原因であることがわかっています。歯周病に罹患していると、歯周病菌が出す毒素や炎症物質が、歯茎の毛細血管から吸収され全身に送られます。歯周病は、口の中に留まらず、全身の健康に関係しているといえるでしょう。

歯周病が引き起こす病気とは

心臓をおさえてしゃがみこむご年配

歯周病が原因となる病気は、以下の4つがあげられます。

・心筋梗塞・脳梗塞・動脈硬化

・糖尿病

・誤嚥性肺炎

・低体重児出産・早産

以下、順に解説します。

心筋梗塞・脳梗塞・動脈硬化

歯周病に罹患している方は、血管疾患にかかる確率が高いです。歯周病菌が出す毒素が、歯茎の毛細血管から侵入し、心臓や脳の血管で炎症を起こすと動脈硬化が起こり、血栓をつくります。

血栓ができると、血管が詰まる場合や、狭くなる場合があります。そして、血液の流れが悪くなり、心筋梗塞や脳梗塞の原因となるのです。

糖尿病

歯周病と糖尿病は密接に関わっています。糖尿病に罹患していると、細菌に対する抵抗力が弱くなり、歯周病になりやすいといわれています。歯茎の抵抗力も弱まっているので、症状の進行も早いです。

また、歯周病に罹患していると、歯茎の毛細血管から毒素や炎症物質が取り込まれ、血液のなかに入り込みます。毒素や炎症物質の影響により糖の代謝が妨げられ、インスリンの働きが低下するため、糖尿病の悪化にも繋がります。糖尿病が悪化すると、合併症の発症リスクも高まるので注意が必要です。

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)は、嚥下(えんげ)機能の低下から飲食物を誤嚥した場合に、口の中にある歯周病菌などの細菌が肺に入り込むことで起こります。とくに免疫力が低下した高齢者は、誤嚥性肺炎を発症しやすいといわれているので注意が必要です。日頃からブラッシングなど口腔ケアをしっかり行い、口内を清潔に保つことで、誤嚥性肺炎のリスクは下げられます。

誤嚥性肺炎の原因となる細菌は、主に歯周病菌といわれています。誤嚥性肺炎を防ぐためには、歯周病対策がポイントとなるでしょう。

低体重児出産・早産

妊娠中は、ホルモンバランスの変化にともない、歯肉炎や歯周病になりやすい口内環境です。妊娠中に歯周病に罹患すると、低体重児出産や早産のリスクが高まるといわれています。血液中に入り込んだ歯周病の毒素や炎症物質が子宮に作用し、子宮収縮を促進させることが主な原因です。

妊娠中は、つわりで口内の衛生状態が悪くなりやすいので、できるだけ清潔に保つよう心がけましょう。

歯周病の治療法

歯の治療を行っている

歯周病の治療方法は、進行度によって異なります。

しかし、口内のプラークや歯石など歯周病の原因を取りのぞくことは、進行度にかかわらず共通した治療です。歯科で行う歯周病治療は、大きく分けて以下の3つです。

・歯周基本治療

・歯周外科手術

・歯周組織再生療法

以下、それぞれ解説します。

歯周基本治療

歯周病の原因は、歯の表面に残るプラークや歯に付着している歯石です。歯周基本治療では、プラークや歯石を取りのぞき、歯の表面を滑沢(かったく)にします。プラークは歯ブラシで除去することが可能です。

一方、歯石は歯ブラシで取ることができないので、歯科医院で取る必要があります。歯科医院では、スケーラーと呼ばれる器具を使用して、歯の表面や根に付いたプラークや歯石を除去します。歯石の付着していた歯の表面はザラザラした形状が多いです。

歯石除去後は、歯の表面を滑沢にし、プラークや歯石が残りにくい環境に整えます。また、歯周病の進行によって噛み合わせが変化している場合は、歯に負担が掛からないように噛み合わせを調整します。

歯周外科手術

歯周病が中等度以上に進行している場合は、歯周外科手術の検討が必要です。歯周外科手術は、歯茎の奥深くに付着したプラークや歯石を取りのぞく治療法です。歯周基本治療だけでは、歯石が取りきれない場合に適用されます。

歯周外科手術は、歯茎を切開し、患部を見える状態にしてからプラークや歯石を取りのぞきます。歯茎を切開してアプローチしやすくすることで、確実に歯石を取ることができるでしょう。

しかし、治療後は歯茎が健康な状態に引き締まるので、歯が長く見え、審美性が悪くなる可能性があります。

歯周組織再生療法

歯周病が進行すると、あごの骨が溶けてしまいます。一度溶けてしまったあごの骨は、元の状態に戻すことができません。このような重度の歯周病の場合、あごの骨の再生を促す歯周組織再生療法を行うのが一般的です。

歯周組織再生療法は、大きく分けて以下の2つです。

・GTR法

・エムドゲイン法

以下、それぞれ解説します。

GTR法

GTR法は、骨が再生する場所を確保することで骨の再生を促す治療法です。

通常、組織の再生は粘膜の方が早く、骨は時間がかかります。歯茎が骨を覆ってしまうため、骨は上手く再生することが難しくなるでしょう。

GTR法は、再生したい骨の部分と歯茎との間に膜を設置し、歯茎の侵入を防ぐことで骨の再生をうながします。再生するスペースが確保できれば、ゆっくりですが骨を再生することが可能です。

エムドゲイン法

エムドゲイン法は、歯周組織の再生をうながす治療法です。

歯の表面や根についているプラークや歯石を除去し、表面を滑沢にしたあと、エムドゲインと呼ばれるタンパク質の一種を根の周りに塗布して歯茎を縫い合わせます。

エムドゲインの効果で歯の周辺組織が活性化されれば、歯周組織を再生することができるでしょう。

歯周病の予防法

歯ブラシなどのセルフケア用品

歯周病は多くの方が罹患している身近な疾患ですが、症状が進まないと自覚症状があらわれない特徴があります。

ただし、歯周病は日々の生活習慣が大きくかかわる疾患なので、ご自身で防ぐことができるでしょう。以下、歯周病の予防法をご紹介します。

自宅で行うセルフケア

歯周病の原因は、歯の表面に残るプラークです。歯周病を予防するためには、プラークを歯の表面に溜めないことがポイントとなります。正しいブラッシングで歯の表面にあるプラークをしっかりと落とすようにしましょう。

しかし、歯ブラシだけでは、口のなかの60%の汚れしか除去できません。歯と歯の間に残る汚れは、デンタルフロスや糸ようじ、歯間ブラシを使用します。また、歯並びが悪く、歯ブラシが届かない部分には、ワンタフトブラシを使用するとよいでしょう。

歯並びは一人ひとり異なるので、ご自身に合った歯ブラシや補助清掃用具を使用してブラッシングしましょう。

歯科医院で行うプロフェッショナルケア

歯周病を防ぐためには、毎日のブラッシングはもちろん、歯科医院での定期メンテナンスが必要不可欠です。定期的に歯科医院を受診し、口内の状態を確認してもらうことは、虫歯や歯周病予防に効果があります。万が一、異常が見つかっても、早期に発見されるケースが多いので、治療も簡単に済む可能性が高いです。

定期メンテナンスでは、虫歯や歯周病チェックのほか、歯ブラシが当たっていない部分のブラッシング指導や歯石、着色除去なども行います。ブラッシング指導では、一人ひとりの口内の状態やブラッシング能力にあわせて、歯科医師や歯科衛生士が適切なブラッシング方法を提案してくれます。指導された内容を自宅で実践すれば、より確実にプラークを除去することができるため、歯周病予防につながるでしょう。

まとめ

ポイントを指さす女性

歯周病は、40歳以上の80%が罹患している身近な感染症です。歯周病は全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。歯周病菌が歯茎の毛細血管から血液にのって全身に移動すると、心筋梗塞や糖尿病、誤嚥性肺炎や早産などの原因になります。全身の健康を保つためにも歯周病に罹患しないことが大切です。

歯周病の原因は、歯に残るプラークです。毎日のブラッシングと歯科医院での定期メンテナンスで、プラークが残らない清潔な口内環境を保つことができれば歯周病は防げます。万が一、歯周病に罹患していても、適切な処置を受ければ改善する可能性があります。歯周病に罹患していないか気になる方は、一度歯科医院を受診してみてはいかがでしょうか。

歯周病でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。