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歯周病になりやすい人の特徴と予防法とは?

2023年5月18日
唇をめくって赤く腫れた歯茎を確認する人

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

十分に歯磨きができていない、生活習慣が乱れている人は、歯周病になりやすいといわれています。そのほか、加齢や糖尿病なども歯周病を発症する原因です。

今回は、歯周病になりやすい人の特徴と予防法について解説します。

歯周病とは

リビングで座って歯が痛くて頬に手を当てる女性

歯周病とは、歯と歯肉の周りの組織が炎症を起こす疾患のことです。歯周病は、口腔環境が悪化することによって口腔内の細菌が増殖し、歯肉が炎症を起こすことで発症します。歯周病は放置すると歯を失う原因になるだけでなく、全身疾患にも関連すると指摘されているのです。

歯周病の原因として、歯磨きが不十分なことによる歯垢(プラーク)や歯石の蓄積、喫煙、ストレス、栄養不良などが挙げられます。

初期の歯周病は自覚症状がほとんどないため、進行に気づくことが困難です。進行すると、歯肉が赤く腫れる、出血するなどの症状が現れます。また、歯肉が萎縮して歯が長く見える「歯肉退縮」を引き起こすこともあり、見た目にも影響が出ます。歯茎が下がることによって歯周ポケットが深くなると、たまった歯垢や歯石は簡単に除去することができません。

重度の歯周病になると、歯を支える骨が溶けて歯がグラグラする、歯肉から膿が出ることで口臭が発生するなどの症状が現れます。骨が大きく溶かされると、歯が抜け落ちることもあるでしょう。

歯周病が進行すると、歯周病菌が体内に侵入して全身疾患を引き起こすリスクがあります。例えば、心臓病や糖尿病、脳卒中、妊娠中の合併症などが挙げられます。歯周病菌が血液中に入り込むことにより、血管内皮に炎症を引き起こし、動脈硬化の進行を促進することも指摘されているのです。さらに、歯周病が進行している妊婦さんは、早産や低出生体重児のリスクが高くなることが報告されています。

歯周病は歯を失う原因となるだけでなく、全身の健康にも影響します。ふだんから丁寧に歯磨きを行い、歯科医院での定期的なクリーニングや歯科検診を受けることが重要です。

歯周病になりやすい人の特徴

鏡で自分の歯の状態を確認する女性

歯周病になりやすい人は、口腔内を清潔に保つことができていない、免疫力が低下していることが特徴です。

以下、歯周病になりやすい人の特徴を詳しく解説します。

歯磨きが不十分な人

歯の表面に残った歯垢は、時間が経つにつれて硬化し、歯石になります。歯石は歯ブラシでは取り除くことができず、歯肉を圧迫して炎症を引き起こすことがあるのです。

歯垢や歯石が、歯肉と歯の間にたまることで形成される空洞を「歯周ポケット」とよびます。歯周ポケットは、歯垢や歯石がたまりやすく炎症を悪化させるため、歯周病の進行を早めるのです。

歯磨きが不十分な場合、歯に残った歯垢や食べかすが細菌の増殖を招き、歯肉炎や歯周病のリスクが高まります。また、誤った歯磨きをしている場合も、歯垢や歯石を十分に取り除くことができず、歯周病の原因になるでしょう。

喫煙者

喫煙者が歯周病になりやすい理由として、タバコの有害物質が歯肉の炎症を悪化させることが挙げられます。タバコの煙には、口腔内で炎症を引き起こす物質や、歯周病菌を増殖させるニコチン、一酸化炭素などが含まれています。これらの物質が歯周組織に作用することで、歯肉の炎症が悪化し、歯周病を引き起こすリスクが高まるといえるでしょう。

また、喫煙によって免疫力が低下し、歯周病菌が増殖しやすくなることも原因の一つです。免疫力が低下すると、歯肉炎や歯周病が進行しやすくなるため、喫煙者は歯周病になりやすいといわれています。

喫煙によって血管が収縮すると、歯周組織に必要な酸素や栄養素の供給が十分に行われず、歯周組織の再生が妨げられるのです。

歯ぎしりをする人

歯ぎしりが長期間続くことで、歯と歯肉の組織に慢性的なダメージを与え、歯周病を引き起こすことがあります。歯ぎしりによって歯の表面が削れたり、歯肉が退縮したりすることで、歯周ポケットができ、細菌が蓄積しやすくなります。

歯ぎしりによる歯と歯肉のダメージを防ぐには、ナイトガードの装着やストレスの軽減などが有効です。

糖尿病の人

糖尿病は慢性的に高血糖が続く疾患で、免疫機能が低下することが知られています。口腔内の細菌に対する免疫力も低下するため、歯周病の原因となる細菌が増殖しやすくなるのです。

また、糖尿病は、口腔内の細菌のバランスを崩すこともあります。糖尿病によって口腔内のpHが低下し、酸性の環境が生まれることで、歯周病を引き起こす細菌の繁殖が促進されます。糖尿病によって唾液の分泌量が減少することもあり、口腔内の細菌のバランスが崩れ、歯周病の原因となる細菌が増殖しやすくなるのです。

ストレスが多い人

ストレスは、交感神経の興奮を促し、副交感神経の働きを抑制します。この状態が長期間続くと、免疫力が低下し、炎症を引き起こしやすくなります。

ストレスは、口腔内の乾燥を引き起こす原因の一つです。唾液は、口腔内を清潔に保つために重要な役割を果たしているため、口腔内の乾燥は細菌の増殖を促し、歯周病のリスクを高めるのです。

栄養状態が悪い人

栄養状態が悪いと歯肉の炎症が悪化し、歯周病の発症や進行を早めるリスクが高まります。また、栄養不足によって免疫力が低下し、口腔内の細菌が増殖しやすくなることもあるでしょう。

例えば、ビタミンCは歯肉の炎症を抑制する抗酸化物質であり、免疫力を高める作用があります。ビタミンDは歯や骨の健康を維持するために必要な栄養素で、カルシウムの吸収を促進します。

カルシウムは、歯や骨の成分の一部であり、骨の強化や歯のエナメル質の形成に重要な役割を果たしているのです。鉄は免疫力を高めるために必要な栄養素であり、亜鉛は細胞の新陳代謝を促進し、免疫力を高める作用があります。

栄養バランスの悪い食事を続けていると、ビタミンやミネラルが不足し、歯周病の発症リスクが高まるでしょう。

免疫力が低下している人

歯周病菌は、口腔内に生息している細菌の一種であり、歯垢や歯石が蓄積することで歯肉の炎症を引き起こす原因となります。

通常、健康な人は免疫によって歯周病菌を制御していますが、免疫力が低下している人は、歯周病菌に対して十分な免疫応答ができず、炎症が悪化することがあります。

免疫力が低下する原因は、加齢や病気による免疫機能の低下、ストレスや睡眠不足など、ライフスタイルの影響が考えられるでしょう。

ご高齢の人

歯周組織は、加齢に伴って細胞が老化し、弾力性や再生力が低下するため、歯周病菌に対する抵抗力が弱まります。また、年齢が高くなるにつれ歯磨きや歯科医院の受診など、歯のケアが困難になることがあり、歯周病のリスクが高まるのです。

加齢とともに免疫系の働きも衰えるため、歯周病菌に対する免疫応答が弱くなるでしょう。加齢に伴って免疫系の細胞数が減少することが報告されており、細菌感染症や炎症性疾患の発症リスクが高まることが知られています。

歯周病予防のためにできること

モザイクタイルの上に歯ブラシとコップを置いた

歯周病予防には、正しい歯磨きと定期的にクリーニングに通うことが効果的です。また、細菌に強い身体づくりも重要です。

正しい歯磨きを行う

歯垢や歯石は、口腔内に生息する細菌が増殖する原因となり、歯肉の炎症や口臭の原因になることがあります。そのため、正しい歯磨きで歯垢や歯石を除去し、口腔内を清潔に保つことが、歯周病予防につながります。

歯ブラシはやわらかいものを選び、歯ブラシの毛先を斜め45度に傾けて、歯と歯肉の境目にある歯周ポケットを意識して磨きましょう。力を入れすぎないことも大切です。強い力で磨くと、歯茎に傷ができ、細菌がたまりやすくなるからです。

また、フロスや歯間ブラシなどを使用して、歯のすき間も清潔にしましょう。歯周病は、歯垢や歯石が歯肉に沿ってたまり、歯肉の炎症を引き起こすことが原因のため、歯のすき間まできちんと磨くことが歯周病予防につながります。

定期的にクリーニングを受ける

クリーニングは、歯科医師や歯科衛生士が専用の器具を用いて歯垢や歯石を除去する処置であり、歯周病の原因となる細菌を減少させます。歯垢や歯石は、歯磨きでは除去できない部分に蓄積されるため、専用の器具で除去することが重要です。

さらに、クリーニングには歯垢や歯石の除去以外にも、口腔内の検査や歯磨きの指導も含まれます。口腔内の状態を確認し、異常があれば早期発見・治療を行うことができます。適切な歯磨きの指導を受けることで、自宅でのケアもより効果的に行うことができるでしょう。

クリーニングは定期的に受けることが重要です。歯垢や歯石は、定期的な歯科検診やクリーニングで早期に除去することができますが、長期間放置すると歯周病の原因となる菌が繁殖し、歯肉炎や歯周病を進行させることもあるのです。クリーニングは3〜6か月に1回の頻度で受けることが推奨されています。

健康的な生活習慣を維持する

健康的な生活習慣とは、バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス軽減などを指します。バランスのよい食事は、免疫力を高めるだけでなく、歯や歯肉を強くするでしょう。

十分な睡眠は免疫力を回復させるために重要であり、適度な運動は免疫力を高めるだけでなく、ストレスを軽減する効果もあります。

ストレスは、免疫力を低下させる要因の一つです。ストレスがかかった状態が長期間続くと、免疫系の働きが弱まり、口腔内の細菌の増殖を促進することがあります。休息や趣味の時間を設け、免疫力を高めて歯周病を予防しましょう。

喫煙を避ける

喫煙は、口腔内の細菌のバランスを崩し、免疫力を低下させ、歯周病の原因となる歯垢や歯石の増加を促進します。

喫煙によって口腔内の細菌のバランスが崩れる理由は、ニコチンやタールなどの有害物質が細菌の生息環境を変えるためです。喫煙によって口腔内の細菌のバランスが崩れると、口腔内の細菌が増殖し、歯周病を引き起こす細菌の種類も変化することが知られています。

また、喫煙によって免疫力が低下するため、口腔内の細菌に対する免疫機能も低下します。歯周病を引き起こす細菌が口腔内に存在しやすくなり、歯周病の進行を促進するのです。

歯周病の治療について

女性患者の歯の治療をする男性歯科医師

歯周病の治療には、歯垢・歯石の除去や口腔内の清掃、歯周ポケットの洗浄や治療、外科治療などがあります。治療内容は、歯周病の進行度や症状によって異なります。

歯垢・歯石の除去や口腔内の清掃

歯科医師や歯科衛生士が行うプロフェッショナルなクリーニングのことです。

歯垢・歯石を除去することで、口腔内の細菌の数を減らし、炎症を抑えます。また、患者さま自身の歯磨きや口腔ケアの指導も行われます。

歯周ポケットの洗浄や治療

歯周ポケットが深く、クリーニングだけでは歯垢や歯石を除去できない場合に行われる処置です。

歯周ポケットの奥深くに蓄積した歯垢や歯石を除去することで、歯周病の進行を抑制します。

外科治療

重度の歯周病の場合に行われ、歯茎を切開して歯根に付着した歯石や汚れを取り除きます。

骨の一部分が溶けている場合は、特別な材料を用いて骨を再生する「再生療法」を行うこともあります。

まとめ

歯を痛がって頬を抑える高齢者女性と介護士の女性

歯磨きが十分に行えていない、免疫力が低下している人は、歯周病になりやすいです。

歯周病は、進行すると歯を失う可能性もあるので、早めの治療が重要です。早期発見・治療には、定期的な通院が欠かせません。日頃から正しい歯磨きを行い、3〜6か月に1回の頻度でクリーニングに通って歯周病予防に努めましょう。

歯周病でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

【進行度別】歯周病の治療にかかる費用と治療法!

2023年3月15日
歯科の椅子に座っている女性が口元に手を当てて険しい顔をしている

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

歯周病と診断されて、これからの治療や費用について不安を抱える方も多いのではないでしょうか。日本人が歯を喪失する原因で、一番多いのが歯周病といわれています。自覚症状がない、今の段階で噛むことに困っていないから、という理由で歯周病を放置すると、知らないうちに症状が進行してしまう恐れがあります。

この記事では、歯周病の治療にかかる費用や治療法、予防法について詳しく解説します。歯周病治療や費用について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

歯周病とは

歯周病をイメージしたイラスト

歯周病は、歯周病の菌が発生させる毒素によって起こる歯周組織の炎症のことです。ここでは、歯周病の詳しい特徴やセルフチェックの方法について見ていきましょう。

歯周病の特徴

歯周病は、細菌の毒素によって起こる歯茎の炎症です。症状が進行していくと歯を支える骨にまで影響が及び、最終的には歯が抜け落ちてしまう可能性があります。

プラークには、1mgあたり1億個以上の細菌が含まれています。歯と歯茎の間にある歯周ポケットにプラークが溜まると、歯茎から血が出やすくなったり、赤く腫れたりします。

さらに汚れが溜まった状態が続くと、歯茎の腫れによって次第に歯周ポケットは深くなっていきます。歯周ポケット内のプラークは時間が経つと歯石になり、歯ブラシでは除去できません。歯石は表面がザラザラとしているため、歯の表面に汚れが付きやすくなり、歯周病の状態が悪化する原因になります。

ほとんどの歯周病の菌は、空気に触れることが嫌いです。深くなった歯周ポケットは空気が少ないため、細菌が活発に活動できる環境となり、より歯周病が進行しやすくなるでしょう。また、歯周病が進行していくと、細菌感染した部分を排除しようとする免疫反応が起こります。体の免疫反応によって歯を支えている骨が溶けて、歯が前後に揺れようになる恐れがあるのです。

歯肉炎と歯周炎の違い

歯周病には、大きく分けて、歯肉炎と歯周炎があります。それぞれの違いは、炎症の範囲によって分けられると覚えておきましょう。

歯肉炎と歯周炎の違いを、以下に詳しくまとめてみました。

<歯肉炎と歯周炎の違い>

歯肉炎 歯周炎
 

炎症の範囲

 

・歯茎のみ ・歯茎のみならず歯を支える骨まで炎症が波及
 

改善の可否

 

・日々の歯磨きでプラークが除去できれば、健康な歯茎に戻る ・歯茎の腫れを治めることは可能である
・基本的に溶けた骨は戻らない
 

症状

 

・歯茎が赤く腫れる
・血が出やすい
・歯茎の腫れや出血がある
・膿が出る
・歯茎が下がる
・歯がぐらぐらする など

歯肉炎は軽度の歯茎の炎症のため、しっかり歯磨きをすることで治すことが可能です。

一方、歯周炎は歯肉炎が進行した状態です。歯周ポケットが深くなり、歯を支える骨にまで炎症が起こっています。歯周病の進行度は、症状によって軽度・中等度・重度に分けられます。歯周病治療によって歯茎の腫れや出血の症状は改善されますが、失ってしまった骨などの周囲組織が戻ることはありません。

歯周病のセルフチェック

チェックボックスが書かれたノートに赤いペンでチェックを入れている

歯周病は、特に初期の段階では自覚症状が少なく、知らないうちに歯周病が進行していることがある怖い病気です。

歯周病の有病率は25~34歳で32.4%、45~54歳で49.5%と発表されています。若年層でも患う可能性が比較的高い疾患であるため、日頃からセルフチェックしておきましょう。

下記の項目について一つでも当てはまるようであれば、歯科医院を受診して詳しく検査してもらいましょう。

【歯周病のセルフチェック項目】

・起床時に口の中が粘つく

・口臭が気になる

・よく歯茎から血が出る

・よく歯茎が腫れる

・噛んだときに浮いた感じがある

・硬いものが噛みにくくなった

・歯が伸びたように見える

上記のセルフチェック項目に当てはまらない場合でも、歯周病になっていることがあります。歯科医院で定期的に検診を受けることで、歯周病の早期発見につなげましょう。

※参照元:「歯周病 | 生活習慣病の調査・統計 | 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 」

進行度別 | 歯周病の治療法

歯科医師が歯ブラシと歯の模型を使ってブラッシング指導をしている

歯周病にはさまざまな治療法があり、歯周病は進行の程度によって治療法が変わります。ここでは、歯周病の進行度別に治療法を見ていきましょう。

軽度の歯周病

軽度な歯周病の場合、歯科医院での歯石やプラークの除去と適切なセルフケアで早期の回復が期待できます。

特徴

・歯周ポケットが4mm以内である

・歯石やプラークが歯の根元に溜まっている

・歯茎が腫れている

・歯磨きのときに出血しやすい

治療法

・歯科衛生士によるブラッシング指導

・歯石の除去、クリーニング

歯科医院で歯石を除去し、専用の機械で歯の表面をつるつるにすることで、汚れの再付着を防ぎます。また、正しいブラッシング方法を学び、日頃から実践することで、歯茎の健康を目指すことが重要です。

中等度の歯周病

中等度の歯周病では、まず歯茎の深い部分の歯石除去やクリーニングを行います。歯周ポケットが深く、症状の改善が見られない場合には、歯周外科治療が必要になることもあります。

特徴

・歯周ポケットが4~5mmである

・歯茎の腫れや出血が起こりやすい

・膿が出る

・歯を支える骨の1/3程度が吸収されている

・歯が前後に揺れる

・歯が伸びたように見える

治療法

・歯石の除去、クリーニング(歯茎の深い部分の歯石も除去)

・ブラッシング指導

・揺れている歯の固定

・歯周外科治療

中等度の歯周病では、歯周ポケットが深くなり、深い根の部分にも歯石が付いている可能性が高いです。専用の機械を利用して、歯茎の深い部分の歯石まで取り除くことで、歯周ポケットが浅くなるように促し、汚れの再付着を予防します。

また、中等度の歯周病では、歯の揺れを感じて食事に支障が出る方もいます。歯の揺れが強い場合には、両隣の歯と固定することで痛みや不快感を和らげます。歯石の除去やブラッシング指導で症状の改善が認められなければ、歯周外科治療を必要とする場合もあるでしょう。

重度の歯周病

重度の歯周病では、症状次第で歯周外科手術を行います。歯の保存が難しい場合には、抜歯が必要となる可能性があるでしょう。

特徴

・歯周ポケットが6mm以上である

・歯茎がブヨブヨしている

・血や膿が出る

・口臭がする

・骨の大部分が失われている

・歯が大きく揺れる

治療法

・ブラッシング指導

・歯石の除去、クリーニング

・歯周外科手術

・抜歯

重度の歯周病では、歯を支える骨の大部分が溶けてしまっており、歯の揺れが大きいのが特徴です。また、炎症が強く、歯茎から出血や膿が出やすい状態になっているため、重度の歯周病では自分で治すことは難しいでしょう。

歯石の除去などのクリーニングを定期的に続けながら、必要があれば歯周外科治療や抜歯の処置が行われます。

主な歯周外科治療の種類

歯科医院で治療を受ける女性

中等度以上の歯周病で、歯石除去などの歯周基本治療で改善が見られない場合には、歯周外科治療を行うことがあります。

歯肉剥離掻爬術(フラップ手術)

歯茎を開いて、歯茎の深い部分の歯石を除去する手術です。目で見て除去できない歯石の取り逃しを防ぐことで、歯周病の改善が期待できます。

歯肉切除術

歯茎の炎症によって腫れ上がった歯茎を除去する手術です。不要な歯茎を除去することで、プラークなどの汚れを溜まりにくくし、清掃がしやすい状態に整えます。

歯周組織再生療法

歯周組織再生療法には、エムドゲイン法とGTR法があります。エムドゲイン法ではエムドゲインRゲルという薬剤を用いて、GTR法ではメンブレンという特殊な膜を用いて、骨の再生を促す手術です。

基本的に、一度溶けてしまった骨は自然回復しませんが、特殊な薬剤や特殊な膜を用いて、歯周組織の再生を図ります。

歯周病治療にかかる費用・期間

白いテーブルの上にピンクの豚の貯金箱と歯の治療器具が置かれている

歯周病治療にかかる費用や期間は、歯周病の進行度によって異なります。以下の表で詳しく解説します。

<歯周病治療にかかる費用・期間>

歯周病の進行度  費用
(3割負担の場合)
 通院回数  治療期間
軽度  4,000~6,000円  3~4回  1~2か月
中等度  10,000~15,000円  5~10回  3か月~1年
重度  年間15,000円ほど  1年に6~12回  1年以上

※こちらの表は費用の目安です

上記の表のとおり、進行度によって費用や通院回数は異なります。歯周外科治療が増えたり、保険適用外の治療をしたりすると、その分の費用が追加されます。特に、重度の歯周病の場合は完治が難しいため、定期的に治療が必要なケースもあります。

詳しい費用については、歯科医院で診察してもらう際に確認してみてください。

歯周病の予防法

水色の背景の前に歯の模型が置かれており、その周りに歯ブラシや歯間ブラシが置かれている

歯周病は、歯を失うリスクのある病気です。日頃から歯周病予防に取り組み、自分の歯で健康に過ごせるようにしましょう。

ここでは、歯周病の予防法についてご紹介します。

歯ブラシと歯間ブラシを併用して歯磨きをする

歯周病を予防するためには毎日の歯磨きが大切です。

歯周病の原因の多くはプラークによるものです。毎日歯磨きをしている方でも、正しくブラシが当たっていないと汚れを除去できません。歯ブラシの持ち方や力加減、動かし方、ブラシの選び方など、自分に適した方法を歯科医院で教えてもらいましょう。

また、歯と歯の間の汚れは歯ブラシだけでは取り切れません。歯間ブラシを併用して歯の隅々まできれいにし、歯周病を予防しましょう。

定期的に歯科医院でクリーニングを受ける

定期的に歯科医院でクリーニングを受けることで、歯周病予防の効果が期待できます。

歯石があるとプラークが付着しやすくなり、歯周病の悪化を招く恐れがあります。歯石は歯磨きでは除去できないため、歯科医院で取ってもらいましょう。さらに、歯科医院でクリーニングしてもらうことで歯の表面がつるつるになり、汚れの付着を防ぐことが可能です。

歯周病は気付かないうちに進行する場合があります。定期的に歯科医院を受診することで、歯周病の予防・早期発見につながるでしょう。

歯周病のリスク因子を改善する

歯周病の原因はプラーク中の細菌によるものですが、歯周病になりやすくなる因子も存在します。生活習慣を見直し、リスク因子を改善することで、将来的な歯周病のリスクを下げることも重要です。

歯周病のリスク因子には、以下のようなものが挙げられます。

・喫煙

・ストレス

・糖尿病

・口腔乾燥

まとめ

歯科の椅子に座って手でOKサインを出している女性

歯周病は進行の程度によって治療内容や費用が異なります。重度の歯周病になるほど治療期間も費用もかかるため、日頃からの予防が重要です。定期的に歯科医院を受診して、歯周病の予防と早期発見に努めましょう。

歯周病にお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。