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歯茎が下がる原因と対策!歯周病との関係は?

2024年10月9日
歯茎が下がる原因と対策!歯周病との関係は?

こんにちは。大阪府八尾市にある歯医者、医療法人甦歯会 もりかわ歯科です。

歯科医療は専門性の高い分野であり、患者様にとって分かりにくい情報や誤解が生じやすい情報も少なくありません。診療時間内に患者様お一人おひとりに十分なご説明をすることが難しい場合もあるため、このブログを開設いたしました。

このブログでは患者様からよくいただく質問や、知っておいていただきたい歯科医療の知識を、分かりやすく解説することを目指しています。専門用語はできる限り避け、分かりやすい言葉で情報を提供いたします。皆様の疑問を解消し、安心して治療を受けていただけるよう最新の研究結果やエビデンスに基づいた情報も積極的に発信してまいります。

ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。

「歯茎が下がる原因と対策」について全力回答!

「最近、歯が長くなった気がする…」
「歯磨きすると血が出るし、口臭も気になる…」

こんな心当たりはありませんか? これらは歯茎が後退しているサインかもしれません。

歯茎の下がりは見た目の問題だけにとどまらず、様々な口腔トラブルや全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。特に歯周病との関連性は深く、放置すると歯を失ってしまうリスクも…。

しかし、早期発見・早期治療、そして毎日のケアで、歯茎の健康は守れるんです!

この記事では歯茎が下がる原因やリスク、そして今日からできる予防・改善策までわかりやすく解説していきます。歯周病の不安を解消して健康な歯茎と素敵な笑顔を取り戻しましょう!

歯茎が下がるってどういうこと?

鏡を見て「あれ、歯が長くなった…?」と思ったことはありませんか?それはもしかしたら歯茎が後退しているサインかもしれません。

歯茎が下がるとどうなるの?

歯茎が下がるとどうなるの?

歯茎が下がると見た目の問題だけでなく、様々な不快な症状や深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。

歯が長く見える

歯茎が後退することで歯が本来よりも長く見えてしまい、審美性を損なうことがあります。

冷たいものや温かいものがしみやすくなる(知覚過敏)

歯の根元には象牙細管と呼ばれる細い管があり、その中には神経が通っています。
歯茎が後退して象牙質が露出すると象牙細管が刺激され、冷たいものや温かいものがしみやすくなる「知覚過敏」を引き起こします。

歯周病の進行

歯茎が下がることで、歯と歯茎の間に「歯周ポケット」と呼ばれる深い溝ができやすくなります。
この歯周ポケットは歯周病菌にとって格好の住みかとなり、歯周病の進行を加速させてしまいます

歯がグラグラする

歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまい、歯がグラグラと揺れ始めます。
最悪の場合、歯が抜け落ちてしまう可能性もあります。

最悪の場合は、歯を失ってしまう

歯周病がさらに進行すると歯槽骨の破壊が深刻化し、歯を支えきれなくなり、最終的には歯を失ってしまう可能性があります。

このように、歯茎の下がりは見た目だけの問題ではなく、口腔内の健康、さらには全身の健康にも影響を及ぼす可能性があるのです。

早期発見・早期治療が大切です

歯茎の下がりは初期段階では自覚症状がないこともありますが、いくつかのサインを見逃さなければ早期発見・早期治療に繋がります。

そんな「歯茎下がりのサイン」を次では詳しく解説していきます。

歯茎下がりのサインを見逃さないで!

歯茎の下がりは初期段階では自覚症状がないこともありますが、以下のサインに気づけば早期発見・早期治療に繋がります。

歯が長くなったように見える

以前よりも歯が長く見える、歯の根元が見えてきた気がする、といった場合は歯茎が後退している可能性があります。特に笑った時に歯ぐきが目立つようになったと感じる方もいるかもしれません。

歯磨き時に出血する

歯磨きの際に血が出る、歯ブラシに血が付くといった症状は歯茎が炎症を起こしているサインです。健康な歯ぐきは適切なブラッシングでは出血しません。

歯がしみる

歯茎が下がって歯の根元が露出すると、象牙質という部分が露出しやすくなります。象牙質はエナメル質よりも柔らかく刺激に敏感なため、冷たいものや温かいものがしみやすくなります。

歯茎が赤く腫れている

健康な歯茎は薄いピンク色で引き締まっています。しかし歯周病などにより炎症を起こすと、歯茎が赤く腫れてブヨブヨとした状態になります。

口臭が気になる

歯周病が進行すると、歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)にプラーク(歯垢)や歯石が溜まりやすくなり、口臭の原因となる細菌が繁殖しやすくなります。

歯がグラグラする

歯周病が進行して歯を支える骨が溶けてしまうと、歯がグラグラし始めます。これは、歯を失う危険信号です。

これらの症状に一つでも当てはまる場合は早めに歯科医院を受診しましょう。
早期発見・早期治療が歯茎の健康を守る鍵となります。

歯周病だけが原因じゃない!?

「歯茎が下がる原因は歯周病だけだと思っていた…」

そんな方もいるかもしれません。実は歯周病以外にも歯茎が下がる原因はたくさんあります。次の章では歯茎が下がる様々な原因について詳しく解説していきます。

歯周病だけじゃない!歯茎が下がる原因をチェック

歯周病だけじゃない!歯茎が下がる原因をチェック

「歯茎が下がってきた」と感じた時、多くの方は「歯周病かも!?」と心配になるかもしれません。確かに歯周病は歯茎が下がる主な原因の一つですが、実はそれだけではありません。

歯茎が後退する原因はあなたの生活習慣や体質にも潜んでいるかもしれません。

以下に歯茎が下がる様々な原因を詳しく解説していきます。
心当たりがないか、ぜひチェックしてみてください。

歯周病:歯を失うリスクも…

歯周病は歯茎が下がる最も一般的な原因です。歯周病菌によって歯茎や歯を支える骨が破壊され、歯茎が後退していきます。

歯周病は、初期段階では自覚症状が少ないため気づかないうちに進行してしまうことも。進行すると歯を失うリスクも高まるため、早期発見・早期治療が重要です。

加齢:誰にでも起こりうる自然な現象

年齢を重ねると、お肌と同じように歯茎も老化していきます。歯茎が薄くなったり、弾力がなくなったりすることで歯茎が下がりやすくなります。これは誰にでも起こりうる自然な現象ですが、適切なケアを怠ると、歯茎の下がりを加速させてしまう可能性があります。

歯ぎしりや食いしばり:無意識のうちに歯茎に負担をかけていませんか?

歯ぎしりや食いしばりは睡眠中など無意識のうちに行っていることが多く、自分では気づきにくいものです。これらの癖は、歯や歯茎に過度な負担をかけ歯茎が下がる原因となります。

間違った歯磨き:ゴシゴシ磨きになっていませんか?

「歯をキレイにしたい!」という思いから、つい力任せにゴシゴシ磨いていませんか?
強い力で磨いたり、硬い毛先の歯ブラシを使用したりすると、歯茎が傷つき歯茎が下がる原因となります。歯磨きは優しく丁寧に、そして適切な道具を使って行うことが大切です。

ホルモンバランスの変化:女性特有の体の変化にも注意

妊娠や更年期など、女性ホルモンのバランスが変化する時期は歯茎に腫れや出血がおき、歯茎が下がりやすくなります。特に妊娠中は「妊娠性歯肉炎」という歯茎の炎症が起こりやすく、適切なケアが必要です。

喫煙:歯茎の健康の大敵!

喫煙は歯茎の血行を悪くし、歯周病を悪化させるため歯茎が下がる大きな原因となります。歯の着色や口臭の原因にもなるため、お口の健康のためにも禁煙がおすすめです。

遺伝:生まれ持った体質も影響する?

歯茎が薄い、歯並びが悪いなど、遺伝的な要因も歯茎が下がる原因となることがあります。生まれ持った体質は変えられませんが、日々のケアや専門家による適切な治療を受けることで歯茎の下がりを予防・改善することができます。

歯茎が下がる原因、心当たりはありましたか?

様々な原因が考えられる歯茎の下がり。放置すると取り返しのつかない事態を招く可能性もあります。
次の章では、歯茎の下がりを放置することのリスクについて詳しく解説していきます。

放置すると大変なことに!歯茎が下がるリスクとは?

歯茎の下がりを放置すると見た目の問題だけでなく、様々なリスクが潜んでいます。

歯周病の進行:歯を失う最悪の事態も…

歯茎が下がることで歯と歯茎の間に「歯周ポケット」と呼ばれる深い溝ができてしまいます。この歯周ポケットは歯周病菌にとって格好の住みかとなり、歯周病をさらに悪化させる原因に。

歯周病が進行すると歯を支える土台となる骨(歯槽骨)が溶けてしまい、最終的には歯が抜け落ちてしまう可能性もあります。

知覚過敏:冷たいもの、温かいものがしみる!

歯の根元には「象牙質」という組織があり、通常は歯茎に覆われて保護されています。
歯茎が後退すると象牙質が露出してしまい、冷たいものや温かいものがしみやすくなる「知覚過敏」を引き起こします。

知覚過敏は食事や歯磨き時の苦痛だけでなく、精神的なストレスにもつながることがあります。

審美性の低下:笑顔に自信が持てなくなることも

歯茎が下がって歯が長く見えたり歯と歯の間に隙間ができたりすると、口元の見た目が悪くなってしまいます。これは笑顔に自信を失わせ、積極的なコミュニケーションを妨げる原因にもなりかねません。

口臭:歯周病菌が原因の悪臭

歯周ポケットが深くなると歯ブラシが届きにくくなり、汚れが溜まりやすくなります。その結果、歯周病菌が繁殖して口臭が悪化することもあります。

全身疾患のリスク増加:心臓病や脳梗塞にも影響が!?

歯周病菌や歯周病によって生じる炎症性物質は、歯茎の血管から血液中に入り込んで全身へと運ばれます。

驚くべきことに、これらの物質は動脈硬化を促進し、心臓病や脳梗塞のリスクを高めると言われています。さらに誤嚥性肺炎や糖尿病、早産・低体重児出産など、様々な全身疾患にも影響を与える可能性が指摘されています。

歯茎の下がりは決して軽視できる問題ではありません。しかし毎日のケアや歯科医院での治療によって、予防や改善が可能です。

歯茎を健康に保つには?今日からできるセルフケア

歯茎の下がりを予防・改善するためには毎日のセルフケアが大切です。

正しい歯磨き

正しい歯磨き

歯ブラシは、毛先が柔らかくヘッドが小さめのものを選びましょう。力を入れず、歯と歯茎の境目を優しく丁寧に磨きましょう。

デンタルフロス・歯間ブラシの使用

デンタルフロス・歯間ブラシの使用

歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間の汚れも、デンタルフロスや歯間ブラシを使って丁寧に除去しましょう。

歯茎マッサージ

歯茎マッサージ

歯茎を優しくマッサージすることで血行を促進し、歯茎の健康を維持できます。指や専用の歯ブラシを使って優しくマッサージしましょう。

バランスの取れた食生活

ビタミンCやビタミンDなど、歯茎の健康に良い栄養素を積極的に摂りましょう。

禁煙

喫煙は歯茎の血行が悪くなり歯周病を悪化させるため、禁煙を強くおすすめします。

歯茎下がりの治療と予防はプロにお任せ!

セルフケアである程度の予防や改善は可能ですが、歯茎が大きく後退してしまった場合や歯周病が進行している場合は、歯科医院での専門的な治療が効果的です。

歯周病治療:歯茎下がりの根本原因を取り除く

歯周病が原因で歯茎が下がっている場合は、まず歯周病治療を行います。歯周病は、歯垢(プラーク)や歯石に潜む細菌によって引き起こされる炎症性疾患です。

歯周病治療では以下のような症状の進行度合いに応じて適切な治療を行います。
歯周病の治療は歯茎の下がりを改善するだけでなく、さらなる進行を防いで歯を失うリスクを低減するためにも重要です。

プラークコントロール

専門家による歯磨き指導やクリーニングを通じて、ご自身でのプラーク除去能力を高めます。

スケーリング・ルートプレーニング

歯石や歯根に付着したプラークを専用の器具を使って徹底的に除去します。

歯周外科手術

重度の歯周病の場合、歯茎を切開し、歯根の深い部分の歯石や感染組織を除去します。

再生療法

歯周病によって破壊された歯周組織の再生を促す治療法です。

歯肉移植:歯茎を再生し、自然な見た目に

歯茎が大きく後退してしまった場合は、歯肉移植という治療法があります。

これは、口蓋(上あごの裏側)などから健康な歯肉を採取し歯茎が後退した部分に移植する手術です。歯肉移植を行うことで歯茎を再生させ、自然な見た目と機能を取り戻すことができます。

再生療法:溶けてしまった骨を再生させる

歯周病が進行すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまいます。再生療法は溶けてしまった歯槽骨を再生させる治療法です。

代表的な再生療法には以下のようなものがあります。

GTR法(Guided Tissue Regeneration)

歯周組織の再生を誘導する膜を挿入し、歯茎の細胞が骨の再生領域に入り込むのを防いで骨の再生を促進します。

エムドゲイン法

エムドゲインゲルという歯周組織の再生を促す薬剤を歯根に塗布し、歯周組織の再生を促します。

これらの治療法は、重度の歯周病の場合に有効ですが、保険適用外の自由診療となる場合もあります。費用や期間など、詳しくはお気軽にご相談ください。

あなたに最適な治療法を一緒に考えましょう

歯茎の下がりの治療は、その原因や進行度合いによって異なります。自己判断で治療法を選択するのではなく、まずは歯科医師に相談して適切な診断と治療を受けることが大切です。

まとめ「早めのケアで健康な歯茎と笑顔を取り戻しましょう」

この記事では歯茎が下がる原因やそのリスク、そして予防・改善策について解説してきました。

「自分の歯磨き方法は正しいのかな?」
「歯茎が下がる原因は何だろう?」
「歯茎が下がってしまったら、どうすればいいの?」

など、疑問や不安が少しでも解消されたでしょうか?

歯茎の下がりは放置すると歯周病の進行や知覚過敏、審美性の低下など、様々な問題を引き起こす可能性があります。しかし毎日の丁寧な歯磨きや歯科医院での専門的な治療によって予防・改善が可能です。

大阪府八尾市にある「医療法人甦歯会 もりかわ歯科」では、歯周病治療はもちろん、矯正治療や予防歯科にも力を入れており、患者様一人ひとりの口腔内状況やご要望に合わせた治療プランをご提案いたします。

歯茎の下がりや歯周病、その他お口のトラブルについて、気になることや不安なことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。お口の健康から、全身の健康へとつながるサポートをさせていただきます。

当院では、日々の診療で患者様との対話を大切にし、お一人お一人に合わせた治療を心がけています。審美歯科や歯列矯正にも対応しておりますので、歯に関する心配事がございましたら、いつでもお気軽にご来院ください。

矯正治療に関する無料相談も実施しておりますので、歯並びでお悩みの方も、ぜひ一度お問い合わせください。

健康な歯茎を取り戻し、自信あふれる笑顔と健康な毎日を手に入れましょう!

矯正無料相談
矯正無料相談

詳しくは当院ホームページにあるマウスピース矯正ページも併せてご覧ください。

歯周病になりやすい人の特徴と予防法とは?

2023年5月18日
唇をめくって赤く腫れた歯茎を確認する人

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

十分に歯磨きができていない、生活習慣が乱れている人は、歯周病になりやすいといわれています。そのほか、加齢や糖尿病なども歯周病を発症する原因です。

今回は、歯周病になりやすい人の特徴と予防法について解説します。

歯周病とは

リビングで座って歯が痛くて頬に手を当てる女性

歯周病とは、歯と歯肉の周りの組織が炎症を起こす疾患のことです。歯周病は、口腔環境が悪化することによって口腔内の細菌が増殖し、歯肉が炎症を起こすことで発症します。歯周病は放置すると歯を失う原因になるだけでなく、全身疾患にも関連すると指摘されているのです。

歯周病の原因として、歯磨きが不十分なことによる歯垢(プラーク)や歯石の蓄積、喫煙、ストレス、栄養不良などが挙げられます。

初期の歯周病は自覚症状がほとんどないため、進行に気づくことが困難です。進行すると、歯肉が赤く腫れる、出血するなどの症状が現れます。また、歯肉が萎縮して歯が長く見える「歯肉退縮」を引き起こすこともあり、見た目にも影響が出ます。歯茎が下がることによって歯周ポケットが深くなると、たまった歯垢や歯石は簡単に除去することができません。

重度の歯周病になると、歯を支える骨が溶けて歯がグラグラする、歯肉から膿が出ることで口臭が発生するなどの症状が現れます。骨が大きく溶かされると、歯が抜け落ちることもあるでしょう。

歯周病が進行すると、歯周病菌が体内に侵入して全身疾患を引き起こすリスクがあります。例えば、心臓病や糖尿病、脳卒中、妊娠中の合併症などが挙げられます。歯周病菌が血液中に入り込むことにより、血管内皮に炎症を引き起こし、動脈硬化の進行を促進することも指摘されているのです。さらに、歯周病が進行している妊婦さんは、早産や低出生体重児のリスクが高くなることが報告されています。

歯周病は歯を失う原因となるだけでなく、全身の健康にも影響します。ふだんから丁寧に歯磨きを行い、歯科医院での定期的なクリーニングや歯科検診を受けることが重要です。

歯周病になりやすい人の特徴

鏡で自分の歯の状態を確認する女性

歯周病になりやすい人は、口腔内を清潔に保つことができていない、免疫力が低下していることが特徴です。

以下、歯周病になりやすい人の特徴を詳しく解説します。

歯磨きが不十分な人

歯の表面に残った歯垢は、時間が経つにつれて硬化し、歯石になります。歯石は歯ブラシでは取り除くことができず、歯肉を圧迫して炎症を引き起こすことがあるのです。

歯垢や歯石が、歯肉と歯の間にたまることで形成される空洞を「歯周ポケット」とよびます。歯周ポケットは、歯垢や歯石がたまりやすく炎症を悪化させるため、歯周病の進行を早めるのです。

歯磨きが不十分な場合、歯に残った歯垢や食べかすが細菌の増殖を招き、歯肉炎や歯周病のリスクが高まります。また、誤った歯磨きをしている場合も、歯垢や歯石を十分に取り除くことができず、歯周病の原因になるでしょう。

喫煙者

喫煙者が歯周病になりやすい理由として、タバコの有害物質が歯肉の炎症を悪化させることが挙げられます。タバコの煙には、口腔内で炎症を引き起こす物質や、歯周病菌を増殖させるニコチン、一酸化炭素などが含まれています。これらの物質が歯周組織に作用することで、歯肉の炎症が悪化し、歯周病を引き起こすリスクが高まるといえるでしょう。

また、喫煙によって免疫力が低下し、歯周病菌が増殖しやすくなることも原因の一つです。免疫力が低下すると、歯肉炎や歯周病が進行しやすくなるため、喫煙者は歯周病になりやすいといわれています。

喫煙によって血管が収縮すると、歯周組織に必要な酸素や栄養素の供給が十分に行われず、歯周組織の再生が妨げられるのです。

歯ぎしりをする人

歯ぎしりが長期間続くことで、歯と歯肉の組織に慢性的なダメージを与え、歯周病を引き起こすことがあります。歯ぎしりによって歯の表面が削れたり、歯肉が退縮したりすることで、歯周ポケットができ、細菌が蓄積しやすくなります。

歯ぎしりによる歯と歯肉のダメージを防ぐには、ナイトガードの装着やストレスの軽減などが有効です。

糖尿病の人

糖尿病は慢性的に高血糖が続く疾患で、免疫機能が低下することが知られています。口腔内の細菌に対する免疫力も低下するため、歯周病の原因となる細菌が増殖しやすくなるのです。

また、糖尿病は、口腔内の細菌のバランスを崩すこともあります。糖尿病によって口腔内のpHが低下し、酸性の環境が生まれることで、歯周病を引き起こす細菌の繁殖が促進されます。糖尿病によって唾液の分泌量が減少することもあり、口腔内の細菌のバランスが崩れ、歯周病の原因となる細菌が増殖しやすくなるのです。

ストレスが多い人

ストレスは、交感神経の興奮を促し、副交感神経の働きを抑制します。この状態が長期間続くと、免疫力が低下し、炎症を引き起こしやすくなります。

ストレスは、口腔内の乾燥を引き起こす原因の一つです。唾液は、口腔内を清潔に保つために重要な役割を果たしているため、口腔内の乾燥は細菌の増殖を促し、歯周病のリスクを高めるのです。

栄養状態が悪い人

栄養状態が悪いと歯肉の炎症が悪化し、歯周病の発症や進行を早めるリスクが高まります。また、栄養不足によって免疫力が低下し、口腔内の細菌が増殖しやすくなることもあるでしょう。

例えば、ビタミンCは歯肉の炎症を抑制する抗酸化物質であり、免疫力を高める作用があります。ビタミンDは歯や骨の健康を維持するために必要な栄養素で、カルシウムの吸収を促進します。

カルシウムは、歯や骨の成分の一部であり、骨の強化や歯のエナメル質の形成に重要な役割を果たしているのです。鉄は免疫力を高めるために必要な栄養素であり、亜鉛は細胞の新陳代謝を促進し、免疫力を高める作用があります。

栄養バランスの悪い食事を続けていると、ビタミンやミネラルが不足し、歯周病の発症リスクが高まるでしょう。

免疫力が低下している人

歯周病菌は、口腔内に生息している細菌の一種であり、歯垢や歯石が蓄積することで歯肉の炎症を引き起こす原因となります。

通常、健康な人は免疫によって歯周病菌を制御していますが、免疫力が低下している人は、歯周病菌に対して十分な免疫応答ができず、炎症が悪化することがあります。

免疫力が低下する原因は、加齢や病気による免疫機能の低下、ストレスや睡眠不足など、ライフスタイルの影響が考えられるでしょう。

ご高齢の人

歯周組織は、加齢に伴って細胞が老化し、弾力性や再生力が低下するため、歯周病菌に対する抵抗力が弱まります。また、年齢が高くなるにつれ歯磨きや歯科医院の受診など、歯のケアが困難になることがあり、歯周病のリスクが高まるのです。

加齢とともに免疫系の働きも衰えるため、歯周病菌に対する免疫応答が弱くなるでしょう。加齢に伴って免疫系の細胞数が減少することが報告されており、細菌感染症や炎症性疾患の発症リスクが高まることが知られています。

歯周病予防のためにできること

モザイクタイルの上に歯ブラシとコップを置いた

歯周病予防には、正しい歯磨きと定期的にクリーニングに通うことが効果的です。また、細菌に強い身体づくりも重要です。

正しい歯磨きを行う

歯垢や歯石は、口腔内に生息する細菌が増殖する原因となり、歯肉の炎症や口臭の原因になることがあります。そのため、正しい歯磨きで歯垢や歯石を除去し、口腔内を清潔に保つことが、歯周病予防につながります。

歯ブラシはやわらかいものを選び、歯ブラシの毛先を斜め45度に傾けて、歯と歯肉の境目にある歯周ポケットを意識して磨きましょう。力を入れすぎないことも大切です。強い力で磨くと、歯茎に傷ができ、細菌がたまりやすくなるからです。

また、フロスや歯間ブラシなどを使用して、歯のすき間も清潔にしましょう。歯周病は、歯垢や歯石が歯肉に沿ってたまり、歯肉の炎症を引き起こすことが原因のため、歯のすき間まできちんと磨くことが歯周病予防につながります。

定期的にクリーニングを受ける

クリーニングは、歯科医師や歯科衛生士が専用の器具を用いて歯垢や歯石を除去する処置であり、歯周病の原因となる細菌を減少させます。歯垢や歯石は、歯磨きでは除去できない部分に蓄積されるため、専用の器具で除去することが重要です。

さらに、クリーニングには歯垢や歯石の除去以外にも、口腔内の検査や歯磨きの指導も含まれます。口腔内の状態を確認し、異常があれば早期発見・治療を行うことができます。適切な歯磨きの指導を受けることで、自宅でのケアもより効果的に行うことができるでしょう。

クリーニングは定期的に受けることが重要です。歯垢や歯石は、定期的な歯科検診やクリーニングで早期に除去することができますが、長期間放置すると歯周病の原因となる菌が繁殖し、歯肉炎や歯周病を進行させることもあるのです。クリーニングは3〜6か月に1回の頻度で受けることが推奨されています。

健康的な生活習慣を維持する

健康的な生活習慣とは、バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス軽減などを指します。バランスのよい食事は、免疫力を高めるだけでなく、歯や歯肉を強くするでしょう。

十分な睡眠は免疫力を回復させるために重要であり、適度な運動は免疫力を高めるだけでなく、ストレスを軽減する効果もあります。

ストレスは、免疫力を低下させる要因の一つです。ストレスがかかった状態が長期間続くと、免疫系の働きが弱まり、口腔内の細菌の増殖を促進することがあります。休息や趣味の時間を設け、免疫力を高めて歯周病を予防しましょう。

喫煙を避ける

喫煙は、口腔内の細菌のバランスを崩し、免疫力を低下させ、歯周病の原因となる歯垢や歯石の増加を促進します。

喫煙によって口腔内の細菌のバランスが崩れる理由は、ニコチンやタールなどの有害物質が細菌の生息環境を変えるためです。喫煙によって口腔内の細菌のバランスが崩れると、口腔内の細菌が増殖し、歯周病を引き起こす細菌の種類も変化することが知られています。

また、喫煙によって免疫力が低下するため、口腔内の細菌に対する免疫機能も低下します。歯周病を引き起こす細菌が口腔内に存在しやすくなり、歯周病の進行を促進するのです。

歯周病の治療について

女性患者の歯の治療をする男性歯科医師

歯周病の治療には、歯垢・歯石の除去や口腔内の清掃、歯周ポケットの洗浄や治療、外科治療などがあります。治療内容は、歯周病の進行度や症状によって異なります。

歯垢・歯石の除去や口腔内の清掃

歯科医師や歯科衛生士が行うプロフェッショナルなクリーニングのことです。

歯垢・歯石を除去することで、口腔内の細菌の数を減らし、炎症を抑えます。また、患者さま自身の歯磨きや口腔ケアの指導も行われます。

歯周ポケットの洗浄や治療

歯周ポケットが深く、クリーニングだけでは歯垢や歯石を除去できない場合に行われる処置です。

歯周ポケットの奥深くに蓄積した歯垢や歯石を除去することで、歯周病の進行を抑制します。

外科治療

重度の歯周病の場合に行われ、歯茎を切開して歯根に付着した歯石や汚れを取り除きます。

骨の一部分が溶けている場合は、特別な材料を用いて骨を再生する「再生療法」を行うこともあります。

まとめ

歯を痛がって頬を抑える高齢者女性と介護士の女性

歯磨きが十分に行えていない、免疫力が低下している人は、歯周病になりやすいです。

歯周病は、進行すると歯を失う可能性もあるので、早めの治療が重要です。早期発見・治療には、定期的な通院が欠かせません。日頃から正しい歯磨きを行い、3〜6か月に1回の頻度でクリーニングに通って歯周病予防に努めましょう。

歯周病でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。