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歯槽膿漏とは?症状や治療法、予防法を詳しく解説!

2023年8月18日
歯槽膿漏の症状を表す人

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

歯槽膿漏とは、歯周病のなかで最も重い状態です。歯茎が赤く腫れる、歯磨きの際に出血するなどの症状がある場合、初期の歯槽膿漏が疑われます。歯槽膿漏の初期は自覚症状が現れにくいため、「自然に治るだろう」「歯科医院に行くほどではない」と自己判断する方も多いです。

しかし、歯槽膿漏を放置すると症状が進行し、歯を失う可能性もあります。

今回は、歯槽膿漏の症状や原因、治療法について解説します。予防法もご紹介しますので、歯槽膿漏が気になる方はぜひ参考にしてください。

歯槽膿漏とは

顎に手を当てて考える女性

歯槽膿漏とは、歯周病が最も進行した状態です。歯周炎ともいわれます。

歯周病は、歯肉炎や歯槽膿漏を含む炎症性疾患の総称です。歯周病菌によって歯の周りにある組織に炎症が起き、歯を支える歯槽骨が破壊される疾患です。

歯周病が進行して歯槽膿漏になると、歯槽骨が破壊されることで歯が抜け落ちる可能性があります。歯槽膿漏は、進行すればするほど治療が難しくなり、長期間の治療が必要です。歯周病の症状がある方は早めに歯科医院を受診し、治療を行うことが大切です。

歯槽膿漏の症状

顎を抑えて歯の痛みに耐える女性

歯槽膿漏になると、歯周病菌を原因とする炎症によってさまざまな症状が現れます。歯槽膿漏の状態別の症状は、以下のとおりです。

<歯槽膿漏の症状>

軽度 ・歯肉に赤みや腫れが現れる

・ブラッシング時に出血する

中等度 ・歯肉付近に歯垢が溜まる

・ 歯肉が変色する

・ 歯と歯の間に食べかすが詰まる

・ 口臭がある

重度 ・硬い食べ物を噛むと痛む

・歯肉を押すと血や膿が出る

・ 歯肉が下がる

・ 歯が浮いているように感じる

・歯が揺れるように感じる

・歯並びが悪くなる

歯槽膿漏が軽度のうちは、強い症状は現れません。軽い歯肉の赤みや腫れ、ブラッシング時の出血がみられる程度です。そのため、気付いたときには症状が進行しているケースも少なくありません。

歯の土台となる歯槽骨の破壊が進むと、硬いものを噛むときに痛みが出る、歯並びが悪くなる、歯がグラグラして最悪の場合抜けるなど、生活に支障をきたす可能性もあるでしょう。

初期の段階で歯槽膿漏の治療を行えば、症状が改善し進行を抑えられます。悪化すると治療が困難になり、長期にわたる治療が必要になります。少しでも気になる症状があれば、歯科医院を受診しましょう。

歯槽膿漏の原因

机に置かれた?と虫眼鏡の木のブロック

歯槽膿漏の原因は、歯垢(プラーク)に生息する細菌です。歯と歯肉の間(歯周ポケット)に歯垢が溜まると、細菌が増殖して毒素を出します。細菌が出す毒素が、歯周組織に炎症を起こす原因です。

歯垢は除去しなければ硬くなり、やがて歯石になります。歯石は歯の表面に強固に付着するため、ブラッシングで除去することは困難です。歯石を放置すると毒素を出し続け、歯周病が進行します。

歯槽膿漏の治療法

歯科医院で治療を受ける女性患者

歯槽膿漏の治療法は、症状によって異なります。歯肉や歯槽骨の状態、症状などを確認し、どの治療法が適切か判断します。

治療の基本は、ブラッシング指導と歯垢・歯石の除去です。症状が悪化していて基本的な治療で改善することが難しいケースでは、外科的な治療が必要です。

歯周基本治療

歯槽膿漏の治療では、まずは歯周基本治療が行われます。

症状が比較的軽度の場合、歯周基本治療で症状の改善が期待できるでしょう。歯周病の原因となる歯垢や歯石を除去し、ブラッシング指導によるプラークコントロールを徹底することで、歯槽膿漏の症状を改善させます。

ブラッシング指導

歯科医師や歯科衛生士が、毎日のブラッシングで歯垢を除去できるように指導を行います。正しブラッシング方法を身につけ、歯槽膿漏の症状を改善して進行を抑制することが目的です。

ブラッシングのポイントは、一人ひとりのお口の状態によって異なります。汚れが残りやすい部分を効果的に磨く方法を身につけ、患者さま自身がプラークコントロールを徹底して行うことが重要です。

歯垢・歯石の除去

専用の器具を使用して、歯の表面に付着している歯垢と歯石の除去を行います。

歯石はふだんの歯磨きでは除去できません。歯科医院では、歯周ポケットの深い部分にたまっている歯石の除去も可能です。

歯周外科治療

症状が進行している場合は、歯周外科治療の対象になります。

適切な外科治療を行うことで、抜歯をせずに治療できるケースもあります。症状が進行している方でも、諦めずに治療を行うことが大切です。

歯槽膿漏の外科治療は、大きく以下の2つに分けられます。

・フラップ手術

・歯周組織再生療法

それぞれ解説します。

フラップ手術

フラップ手術とは、深い歯周ポケットにある歯石を除去する手術です。

歯肉を切開して歯根の深い部分まで見える状態を作り、細菌や歯石などを徹底的に除去します。歯石を除去して歯周ポケットを浅くすることで、歯槽膿漏の進行を抑えることが可能です。

フラップ手術は、基本治療後に歯周ポケットの深さが4mm以上あり、歯石が残っている場合に検討します。手術時間は1時間程度で、手術費用には保険が適用されます。

フラップ手術のあとは、歯肉が下がって歯が長く見える、歯がしみるなどの症状が出るリスクがあるでしょう。手術を行う際は、歯科医師としっかり相談することが大切です。

歯周組織再生療法

歯を支える歯槽骨が溶けているケースは、歯周組織再生療法を行います。歯周組織再生療法は、歯周病によって失われた歯肉や歯根膜、歯槽骨、セメント質を再生する手術です。

歯周組織再生療法にはさまざまな方法があります。今回は、代表的な3つの方法をご紹介します。

1.GTR法

GTR法は、GTRメンブレンという特殊な膜で歯根を覆い、歯槽膿漏によって破壊された骨の再生を促す治療です。

骨は、粘膜に比べて再生に時間がかかります。骨より先に粘膜が再生すると、歯周組織が十分に再生できなくなるでしょう。そのため、歯周組織を再生させたい部分に特殊な人工膜を設置し、粘膜が侵入することを防ぎます。歯周組織が再生するために必要な場所を確保し、再生を促すのです。

GTR法は、使用する膜の種類によっては保険が適用されます。

2.歯周再生材料を用いた歯周組織再生療法

歯肉を切開して歯垢や歯石を除去したあと、歯周組織再生材料を歯根の表面に塗布し、歯周組織の再生を促す治療法です。

使用されることが多い歯周組織再生材料として、エムドゲインやリドグロスが挙げられます。エムドゲインは自由診療、リドグロスは保険が適用される材料です。

3.骨移植

骨移植は、人工骨や患者さま自身の骨を移植する治療法です。

骨の破壊が広範囲に及ぶケースにも対応できます。骨の再生を促進するために、エムドゲインを併用する場合もあるでしょう。

骨移植は、一部の治療のみ保険が適用されます。保険が適用される範囲は、使用する素材や手術の方法などによって異なります。保険適用外の人工骨を使用した場合やエムドゲインを併用した場合は、自費診療になるでしょう。

歯槽膿漏の予防法

倒れるドミノを手で止める

歯槽膿漏が進行すると、歯が抜け落ちる、抜歯が必要になるなど、歯を失う原因になります。また、お口の中だけでなく、全身にも影響を与えるでしょう。歯周病菌が血管を通して全身に運ばれると、脳梗塞や心筋梗塞、認知症などの疾患を引き起こすリスクがあります。歯槽膿漏を予防するには、お口の中を清潔に保つことが重要です。

定期的に歯科医院を受診し、検診やブラッシング指導を受けましょう。歯周病は生活習慣病に位置づけられており、生活習慣を改善することで予防が可能な疾患です。

歯槽膿漏を予防する方法を解説します。

歯科医院でブラッシング指導・クリーニングを受ける

歯槽膿漏の予防の基本は、毎日の歯磨きです。歯に付着した汚れをしっかり取り除き、口腔内を清潔に保つことが重要です。

歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使用し、歯と歯の間の汚れも丁寧に取り除きましょう。適切なブラッシング方法は、お口の状態によって一人ひとり異なります。徹底したプラークコントロールを行えるよう、歯科医院でご自身に適したブラッシング指導を受けるとよいでしょう。

歯周病を増殖させる原因となる歯石は、ご自身で除去することは困難です。定期的に歯科医院でクリーニングを受け、歯石を除去しましょう。

歯科医院の検診を受ける

歯槽膿漏の予防には、定期的に検診を受けることも大切です。

初期の歯槽膿漏は、自覚症状が現れにくいです。症状を自覚した頃には歯槽膿漏が進み、治療に時間がかかる場合もあるでしょう。定期的にお口の状態をチェックすることで、初期の段階で歯槽膿漏を発見でき、症状が進行する前に治療を始められます。3か月に1回は歯科医院を受診し、歯科医師の診察を受けましょう。

生活習慣を見直す

歯槽膿漏の予防には、生活習慣の見直しも効果的です。

生活が乱れて疲れやストレスが溜まると、免疫力が低下し歯周病菌に感染しやすくなります。十分な睡眠や規則正しい生活、バランスのよい食事など、正しい生活習慣を身につけると免疫力が高まります。

また、喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病にかかりやすく、悪化しやすいです。歯槽膿漏を予防し、健康を維持するためにも禁煙するのが望ましいでしょう。

まとめ

唇をめくって歯茎を見せる女性

歯槽膿漏は、歯周病が最も進行した状態です。多くの場合、自覚症状がないまま進行し、悪化すると歯が抜け落ちるケースや、抜歯が必要なケースもあります。お口の健康だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要です。

歯槽膿漏は、早期発見・早期治療によって症状を改善することができます。少しでも気になる症状がある場合は、歯科医院を受診してお口の状態をチェックしてもらってください。歯槽膿漏を予防するために、歯科医院の定期検診やクリーニング、ブラッシング指導を受け、健康なお口を守りましょう。

歯槽膿漏でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

歯周病が引き起こす病気とは?全身の健康との関係性について解説!

2023年3月30日
自分の歯を鏡で見ている女性

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

歯周病は、歯を失う大きな原因であることは多くの方がご存じだと思います。では、歯周病が原因で引き起こされる病気はご存じでしょうか。歯周病に罹患すると、口のなかはもちろん、全身の健康に悪影響を及ぼします。

本記事では、歯周病と全身の健康の関係性や、歯周病の治療法、予防策を解説します。歯周病と全身の健康の関係性に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

歯周病とは

歯茎から血が出ている

歯周病は、歯茎やあごの骨などの組織が歯周病菌に感染して、炎症を起こしている状態です。進行すると、歯の支えとなるあごの骨が溶け、最終的には歯が抜け落ちます。40歳以上の80%の方が歯周病に罹患しているといわれており、身近な疾患の1つといえるでしょう。

歯周病の原因は、口の中にある歯周病菌です。歯周病菌は、歯の表面の磨き残しやプラークに生息しています。口の中に歯周病菌が多く生息すると、細菌の出す毒素の影響で歯茎が炎症を起こします。初期症状は、歯茎の赤みや出血、腫れなどの症状で、痛みや違和感はありません。

しかし、歯周病が進行すると、歯茎から膿が出る症状や、あごの骨が溶けることで歯が揺れる症状などがあらわれます。この時期には、多くの方に痛みや違和感などの自覚症状がでるでしょう。

歯を失うもっとも大きな原因は「歯周病」です。ブラッシングや食習慣などの生活習慣が深く関わる疾患なので、日頃からしっかりと歯周病対策をとることがポイントです。

歯周病と全身の健康の関係性

自分の歯を指さしている女性

上述したとおり、歯周病は歯を失う原因の1つです。歯を失うと咀嚼(そしゃく)機能が低下します。咀嚼は、あごの骨に刺激が伝わり、脳の活性化に繋がるといわれています。

実際に、歯の本数が「20本以上」の郡と「20本未満」の郡を比較すると、歯の本数が「20本未満」の郡は認知症の発生率が1.9倍との結果が報告されているのです。歯周病で歯を失うことは、全身の健康に悪影響を及ぼしているといえるでしょう。

また、昨今、歯周病は全身の健康に悪影響を及ぼす原因であることがわかっています。歯周病に罹患していると、歯周病菌が出す毒素や炎症物質が、歯茎の毛細血管から吸収され全身に送られます。歯周病は、口の中に留まらず、全身の健康に関係しているといえるでしょう。

歯周病が引き起こす病気とは

心臓をおさえてしゃがみこむご年配

歯周病が原因となる病気は、以下の4つがあげられます。

・心筋梗塞・脳梗塞・動脈硬化

・糖尿病

・誤嚥性肺炎

・低体重児出産・早産

以下、順に解説します。

心筋梗塞・脳梗塞・動脈硬化

歯周病に罹患している方は、血管疾患にかかる確率が高いです。歯周病菌が出す毒素が、歯茎の毛細血管から侵入し、心臓や脳の血管で炎症を起こすと動脈硬化が起こり、血栓をつくります。

血栓ができると、血管が詰まる場合や、狭くなる場合があります。そして、血液の流れが悪くなり、心筋梗塞や脳梗塞の原因となるのです。

糖尿病

歯周病と糖尿病は密接に関わっています。糖尿病に罹患していると、細菌に対する抵抗力が弱くなり、歯周病になりやすいといわれています。歯茎の抵抗力も弱まっているので、症状の進行も早いです。

また、歯周病に罹患していると、歯茎の毛細血管から毒素や炎症物質が取り込まれ、血液のなかに入り込みます。毒素や炎症物質の影響により糖の代謝が妨げられ、インスリンの働きが低下するため、糖尿病の悪化にも繋がります。糖尿病が悪化すると、合併症の発症リスクも高まるので注意が必要です。

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)は、嚥下(えんげ)機能の低下から飲食物を誤嚥した場合に、口の中にある歯周病菌などの細菌が肺に入り込むことで起こります。とくに免疫力が低下した高齢者は、誤嚥性肺炎を発症しやすいといわれているので注意が必要です。日頃からブラッシングなど口腔ケアをしっかり行い、口内を清潔に保つことで、誤嚥性肺炎のリスクは下げられます。

誤嚥性肺炎の原因となる細菌は、主に歯周病菌といわれています。誤嚥性肺炎を防ぐためには、歯周病対策がポイントとなるでしょう。

低体重児出産・早産

妊娠中は、ホルモンバランスの変化にともない、歯肉炎や歯周病になりやすい口内環境です。妊娠中に歯周病に罹患すると、低体重児出産や早産のリスクが高まるといわれています。血液中に入り込んだ歯周病の毒素や炎症物質が子宮に作用し、子宮収縮を促進させることが主な原因です。

妊娠中は、つわりで口内の衛生状態が悪くなりやすいので、できるだけ清潔に保つよう心がけましょう。

歯周病の治療法

歯の治療を行っている

歯周病の治療方法は、進行度によって異なります。

しかし、口内のプラークや歯石など歯周病の原因を取りのぞくことは、進行度にかかわらず共通した治療です。歯科で行う歯周病治療は、大きく分けて以下の3つです。

・歯周基本治療

・歯周外科手術

・歯周組織再生療法

以下、それぞれ解説します。

歯周基本治療

歯周病の原因は、歯の表面に残るプラークや歯に付着している歯石です。歯周基本治療では、プラークや歯石を取りのぞき、歯の表面を滑沢(かったく)にします。プラークは歯ブラシで除去することが可能です。

一方、歯石は歯ブラシで取ることができないので、歯科医院で取る必要があります。歯科医院では、スケーラーと呼ばれる器具を使用して、歯の表面や根に付いたプラークや歯石を除去します。歯石の付着していた歯の表面はザラザラした形状が多いです。

歯石除去後は、歯の表面を滑沢にし、プラークや歯石が残りにくい環境に整えます。また、歯周病の進行によって噛み合わせが変化している場合は、歯に負担が掛からないように噛み合わせを調整します。

歯周外科手術

歯周病が中等度以上に進行している場合は、歯周外科手術の検討が必要です。歯周外科手術は、歯茎の奥深くに付着したプラークや歯石を取りのぞく治療法です。歯周基本治療だけでは、歯石が取りきれない場合に適用されます。

歯周外科手術は、歯茎を切開し、患部を見える状態にしてからプラークや歯石を取りのぞきます。歯茎を切開してアプローチしやすくすることで、確実に歯石を取ることができるでしょう。

しかし、治療後は歯茎が健康な状態に引き締まるので、歯が長く見え、審美性が悪くなる可能性があります。

歯周組織再生療法

歯周病が進行すると、あごの骨が溶けてしまいます。一度溶けてしまったあごの骨は、元の状態に戻すことができません。このような重度の歯周病の場合、あごの骨の再生を促す歯周組織再生療法を行うのが一般的です。

歯周組織再生療法は、大きく分けて以下の2つです。

・GTR法

・エムドゲイン法

以下、それぞれ解説します。

GTR法

GTR法は、骨が再生する場所を確保することで骨の再生を促す治療法です。

通常、組織の再生は粘膜の方が早く、骨は時間がかかります。歯茎が骨を覆ってしまうため、骨は上手く再生することが難しくなるでしょう。

GTR法は、再生したい骨の部分と歯茎との間に膜を設置し、歯茎の侵入を防ぐことで骨の再生をうながします。再生するスペースが確保できれば、ゆっくりですが骨を再生することが可能です。

エムドゲイン法

エムドゲイン法は、歯周組織の再生をうながす治療法です。

歯の表面や根についているプラークや歯石を除去し、表面を滑沢にしたあと、エムドゲインと呼ばれるタンパク質の一種を根の周りに塗布して歯茎を縫い合わせます。

エムドゲインの効果で歯の周辺組織が活性化されれば、歯周組織を再生することができるでしょう。

歯周病の予防法

歯ブラシなどのセルフケア用品

歯周病は多くの方が罹患している身近な疾患ですが、症状が進まないと自覚症状があらわれない特徴があります。

ただし、歯周病は日々の生活習慣が大きくかかわる疾患なので、ご自身で防ぐことができるでしょう。以下、歯周病の予防法をご紹介します。

自宅で行うセルフケア

歯周病の原因は、歯の表面に残るプラークです。歯周病を予防するためには、プラークを歯の表面に溜めないことがポイントとなります。正しいブラッシングで歯の表面にあるプラークをしっかりと落とすようにしましょう。

しかし、歯ブラシだけでは、口のなかの60%の汚れしか除去できません。歯と歯の間に残る汚れは、デンタルフロスや糸ようじ、歯間ブラシを使用します。また、歯並びが悪く、歯ブラシが届かない部分には、ワンタフトブラシを使用するとよいでしょう。

歯並びは一人ひとり異なるので、ご自身に合った歯ブラシや補助清掃用具を使用してブラッシングしましょう。

歯科医院で行うプロフェッショナルケア

歯周病を防ぐためには、毎日のブラッシングはもちろん、歯科医院での定期メンテナンスが必要不可欠です。定期的に歯科医院を受診し、口内の状態を確認してもらうことは、虫歯や歯周病予防に効果があります。万が一、異常が見つかっても、早期に発見されるケースが多いので、治療も簡単に済む可能性が高いです。

定期メンテナンスでは、虫歯や歯周病チェックのほか、歯ブラシが当たっていない部分のブラッシング指導や歯石、着色除去なども行います。ブラッシング指導では、一人ひとりの口内の状態やブラッシング能力にあわせて、歯科医師や歯科衛生士が適切なブラッシング方法を提案してくれます。指導された内容を自宅で実践すれば、より確実にプラークを除去することができるため、歯周病予防につながるでしょう。

まとめ

ポイントを指さす女性

歯周病は、40歳以上の80%が罹患している身近な感染症です。歯周病は全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。歯周病菌が歯茎の毛細血管から血液にのって全身に移動すると、心筋梗塞や糖尿病、誤嚥性肺炎や早産などの原因になります。全身の健康を保つためにも歯周病に罹患しないことが大切です。

歯周病の原因は、歯に残るプラークです。毎日のブラッシングと歯科医院での定期メンテナンスで、プラークが残らない清潔な口内環境を保つことができれば歯周病は防げます。万が一、歯周病に罹患していても、適切な処置を受ければ改善する可能性があります。歯周病に罹患していないか気になる方は、一度歯科医院を受診してみてはいかがでしょうか。

歯周病でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

【進行度別】歯周病の治療にかかる費用と治療法!

2023年3月15日
歯科の椅子に座っている女性が口元に手を当てて険しい顔をしている

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

歯周病と診断されて、これからの治療や費用について不安を抱える方も多いのではないでしょうか。日本人が歯を喪失する原因で、一番多いのが歯周病といわれています。自覚症状がない、今の段階で噛むことに困っていないから、という理由で歯周病を放置すると、知らないうちに症状が進行してしまう恐れがあります。

この記事では、歯周病の治療にかかる費用や治療法、予防法について詳しく解説します。歯周病治療や費用について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

歯周病とは

歯周病をイメージしたイラスト

歯周病は、歯周病の菌が発生させる毒素によって起こる歯周組織の炎症のことです。ここでは、歯周病の詳しい特徴やセルフチェックの方法について見ていきましょう。

歯周病の特徴

歯周病は、細菌の毒素によって起こる歯茎の炎症です。症状が進行していくと歯を支える骨にまで影響が及び、最終的には歯が抜け落ちてしまう可能性があります。

プラークには、1mgあたり1億個以上の細菌が含まれています。歯と歯茎の間にある歯周ポケットにプラークが溜まると、歯茎から血が出やすくなったり、赤く腫れたりします。

さらに汚れが溜まった状態が続くと、歯茎の腫れによって次第に歯周ポケットは深くなっていきます。歯周ポケット内のプラークは時間が経つと歯石になり、歯ブラシでは除去できません。歯石は表面がザラザラとしているため、歯の表面に汚れが付きやすくなり、歯周病の状態が悪化する原因になります。

ほとんどの歯周病の菌は、空気に触れることが嫌いです。深くなった歯周ポケットは空気が少ないため、細菌が活発に活動できる環境となり、より歯周病が進行しやすくなるでしょう。また、歯周病が進行していくと、細菌感染した部分を排除しようとする免疫反応が起こります。体の免疫反応によって歯を支えている骨が溶けて、歯が前後に揺れようになる恐れがあるのです。

歯肉炎と歯周炎の違い

歯周病には、大きく分けて、歯肉炎と歯周炎があります。それぞれの違いは、炎症の範囲によって分けられると覚えておきましょう。

歯肉炎と歯周炎の違いを、以下に詳しくまとめてみました。

<歯肉炎と歯周炎の違い>

歯肉炎 歯周炎
 

炎症の範囲

 

・歯茎のみ ・歯茎のみならず歯を支える骨まで炎症が波及
 

改善の可否

 

・日々の歯磨きでプラークが除去できれば、健康な歯茎に戻る ・歯茎の腫れを治めることは可能である
・基本的に溶けた骨は戻らない
 

症状

 

・歯茎が赤く腫れる
・血が出やすい
・歯茎の腫れや出血がある
・膿が出る
・歯茎が下がる
・歯がぐらぐらする など

歯肉炎は軽度の歯茎の炎症のため、しっかり歯磨きをすることで治すことが可能です。

一方、歯周炎は歯肉炎が進行した状態です。歯周ポケットが深くなり、歯を支える骨にまで炎症が起こっています。歯周病の進行度は、症状によって軽度・中等度・重度に分けられます。歯周病治療によって歯茎の腫れや出血の症状は改善されますが、失ってしまった骨などの周囲組織が戻ることはありません。

歯周病のセルフチェック

チェックボックスが書かれたノートに赤いペンでチェックを入れている

歯周病は、特に初期の段階では自覚症状が少なく、知らないうちに歯周病が進行していることがある怖い病気です。

歯周病の有病率は25~34歳で32.4%、45~54歳で49.5%と発表されています。若年層でも患う可能性が比較的高い疾患であるため、日頃からセルフチェックしておきましょう。

下記の項目について一つでも当てはまるようであれば、歯科医院を受診して詳しく検査してもらいましょう。

【歯周病のセルフチェック項目】

・起床時に口の中が粘つく

・口臭が気になる

・よく歯茎から血が出る

・よく歯茎が腫れる

・噛んだときに浮いた感じがある

・硬いものが噛みにくくなった

・歯が伸びたように見える

上記のセルフチェック項目に当てはまらない場合でも、歯周病になっていることがあります。歯科医院で定期的に検診を受けることで、歯周病の早期発見につなげましょう。

※参照元:「歯周病 | 生活習慣病の調査・統計 | 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 」

進行度別 | 歯周病の治療法

歯科医師が歯ブラシと歯の模型を使ってブラッシング指導をしている

歯周病にはさまざまな治療法があり、歯周病は進行の程度によって治療法が変わります。ここでは、歯周病の進行度別に治療法を見ていきましょう。

軽度の歯周病

軽度な歯周病の場合、歯科医院での歯石やプラークの除去と適切なセルフケアで早期の回復が期待できます。

特徴

・歯周ポケットが4mm以内である

・歯石やプラークが歯の根元に溜まっている

・歯茎が腫れている

・歯磨きのときに出血しやすい

治療法

・歯科衛生士によるブラッシング指導

・歯石の除去、クリーニング

歯科医院で歯石を除去し、専用の機械で歯の表面をつるつるにすることで、汚れの再付着を防ぎます。また、正しいブラッシング方法を学び、日頃から実践することで、歯茎の健康を目指すことが重要です。

中等度の歯周病

中等度の歯周病では、まず歯茎の深い部分の歯石除去やクリーニングを行います。歯周ポケットが深く、症状の改善が見られない場合には、歯周外科治療が必要になることもあります。

特徴

・歯周ポケットが4~5mmである

・歯茎の腫れや出血が起こりやすい

・膿が出る

・歯を支える骨の1/3程度が吸収されている

・歯が前後に揺れる

・歯が伸びたように見える

治療法

・歯石の除去、クリーニング(歯茎の深い部分の歯石も除去)

・ブラッシング指導

・揺れている歯の固定

・歯周外科治療

中等度の歯周病では、歯周ポケットが深くなり、深い根の部分にも歯石が付いている可能性が高いです。専用の機械を利用して、歯茎の深い部分の歯石まで取り除くことで、歯周ポケットが浅くなるように促し、汚れの再付着を予防します。

また、中等度の歯周病では、歯の揺れを感じて食事に支障が出る方もいます。歯の揺れが強い場合には、両隣の歯と固定することで痛みや不快感を和らげます。歯石の除去やブラッシング指導で症状の改善が認められなければ、歯周外科治療を必要とする場合もあるでしょう。

重度の歯周病

重度の歯周病では、症状次第で歯周外科手術を行います。歯の保存が難しい場合には、抜歯が必要となる可能性があるでしょう。

特徴

・歯周ポケットが6mm以上である

・歯茎がブヨブヨしている

・血や膿が出る

・口臭がする

・骨の大部分が失われている

・歯が大きく揺れる

治療法

・ブラッシング指導

・歯石の除去、クリーニング

・歯周外科手術

・抜歯

重度の歯周病では、歯を支える骨の大部分が溶けてしまっており、歯の揺れが大きいのが特徴です。また、炎症が強く、歯茎から出血や膿が出やすい状態になっているため、重度の歯周病では自分で治すことは難しいでしょう。

歯石の除去などのクリーニングを定期的に続けながら、必要があれば歯周外科治療や抜歯の処置が行われます。

主な歯周外科治療の種類

歯科医院で治療を受ける女性

中等度以上の歯周病で、歯石除去などの歯周基本治療で改善が見られない場合には、歯周外科治療を行うことがあります。

歯肉剥離掻爬術(フラップ手術)

歯茎を開いて、歯茎の深い部分の歯石を除去する手術です。目で見て除去できない歯石の取り逃しを防ぐことで、歯周病の改善が期待できます。

歯肉切除術

歯茎の炎症によって腫れ上がった歯茎を除去する手術です。不要な歯茎を除去することで、プラークなどの汚れを溜まりにくくし、清掃がしやすい状態に整えます。

歯周組織再生療法

歯周組織再生療法には、エムドゲイン法とGTR法があります。エムドゲイン法ではエムドゲインRゲルという薬剤を用いて、GTR法ではメンブレンという特殊な膜を用いて、骨の再生を促す手術です。

基本的に、一度溶けてしまった骨は自然回復しませんが、特殊な薬剤や特殊な膜を用いて、歯周組織の再生を図ります。

歯周病治療にかかる費用・期間

白いテーブルの上にピンクの豚の貯金箱と歯の治療器具が置かれている

歯周病治療にかかる費用や期間は、歯周病の進行度によって異なります。以下の表で詳しく解説します。

<歯周病治療にかかる費用・期間>

歯周病の進行度  費用
(3割負担の場合)
 通院回数  治療期間
軽度  4,000~6,000円  3~4回  1~2か月
中等度  10,000~15,000円  5~10回  3か月~1年
重度  年間15,000円ほど  1年に6~12回  1年以上

※こちらの表は費用の目安です

上記の表のとおり、進行度によって費用や通院回数は異なります。歯周外科治療が増えたり、保険適用外の治療をしたりすると、その分の費用が追加されます。特に、重度の歯周病の場合は完治が難しいため、定期的に治療が必要なケースもあります。

詳しい費用については、歯科医院で診察してもらう際に確認してみてください。

歯周病の予防法

水色の背景の前に歯の模型が置かれており、その周りに歯ブラシや歯間ブラシが置かれている

歯周病は、歯を失うリスクのある病気です。日頃から歯周病予防に取り組み、自分の歯で健康に過ごせるようにしましょう。

ここでは、歯周病の予防法についてご紹介します。

歯ブラシと歯間ブラシを併用して歯磨きをする

歯周病を予防するためには毎日の歯磨きが大切です。

歯周病の原因の多くはプラークによるものです。毎日歯磨きをしている方でも、正しくブラシが当たっていないと汚れを除去できません。歯ブラシの持ち方や力加減、動かし方、ブラシの選び方など、自分に適した方法を歯科医院で教えてもらいましょう。

また、歯と歯の間の汚れは歯ブラシだけでは取り切れません。歯間ブラシを併用して歯の隅々まできれいにし、歯周病を予防しましょう。

定期的に歯科医院でクリーニングを受ける

定期的に歯科医院でクリーニングを受けることで、歯周病予防の効果が期待できます。

歯石があるとプラークが付着しやすくなり、歯周病の悪化を招く恐れがあります。歯石は歯磨きでは除去できないため、歯科医院で取ってもらいましょう。さらに、歯科医院でクリーニングしてもらうことで歯の表面がつるつるになり、汚れの付着を防ぐことが可能です。

歯周病は気付かないうちに進行する場合があります。定期的に歯科医院を受診することで、歯周病の予防・早期発見につながるでしょう。

歯周病のリスク因子を改善する

歯周病の原因はプラーク中の細菌によるものですが、歯周病になりやすくなる因子も存在します。生活習慣を見直し、リスク因子を改善することで、将来的な歯周病のリスクを下げることも重要です。

歯周病のリスク因子には、以下のようなものが挙げられます。

・喫煙

・ストレス

・糖尿病

・口腔乾燥

まとめ

歯科の椅子に座って手でOKサインを出している女性

歯周病は進行の程度によって治療内容や費用が異なります。重度の歯周病になるほど治療期間も費用もかかるため、日頃からの予防が重要です。定期的に歯科医院を受診して、歯周病の予防と早期発見に努めましょう。

歯周病にお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。