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歯周病の進行を止める方法はある?進行することによるリスクも解説!

2023年10月27日
両手で口を押さえる女性

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

歯を失う原因はさまざまですが、そのうち最も大きな割合を占めているのが歯周病です。歯を失う原因となるだけではなく、さまざまな病気とも関連していることがわかっています。

歯周病は自覚症状なく進行し、重症化すると治療が難しい病気です。軽い歯肉炎の状態であればプラークコントロールにより改善できるため、歯周病のリスクや進行を止める方法を理解しておきましょう。

今回は、歯周病が進行することによるリスクや進行を止める方法について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

歯周病とは?

歯の模型が置かれたデスクで作業をする歯科医師

歯周病とは、歯と歯茎のすき間(歯周ポケット)から歯周病の原因となる細菌が侵入し、細菌が出す毒素によって歯肉が炎症を起こす病気です。炎症が広がると歯を支える歯槽骨が溶け、歯がグラグラするケースや最悪の場合には歯が抜け落ちるケースがあります。

歯周病の原因

歯周病の原因は歯垢(プラーク)に潜む細菌です。歯を十分に磨けていないと、歯垢が歯周ポケットに蓄積します。

細菌が産生する毒素により歯茎の腫れや出血などの症状が現れ、進行すると歯周ポケットが深くなります。歯周ポケットが深くなると歯垢や歯石の除去が困難になり、さらに炎症が広がって歯を支える歯槽骨が溶けるのです。歯肉が下がり、歯がグラグラと動揺して抜けることもあります。

歯周病の進行

歯周病は自覚症状なく進行しますが、いきなり重度の状態になることはありません。歯に歯垢や歯石が付着することにより歯茎が炎症を起こす歯肉炎からはじまり、歯周組織へと炎症が広がって歯周炎になります。

歯周病の進行について詳しくみていきましょう。

歯肉炎

歯肉炎は歯茎が炎症を起こしている状態です。自覚症状はほぼなく、見た目の変化もほとんどありません。

しかし、歯茎の腫れが続くと歯周ポケットが深くなり、歯垢や歯石が溜まりやすくなります。歯周ポケットの中に歯垢や歯石が蓄積すると、細菌が繁殖して歯周病が進行するのです。

軽度歯周炎

軽度の歯周炎になると炎症が広がり、歯周組織にも影響を及ぼします。自覚症状が現れることはほとんどありませんが、歯を支える歯槽骨や歯根膜が破壊されはじめる段階です。

中等度歯周炎

中等度の歯周炎になるとさらに炎症が広がり、歯を支える歯槽骨の破壊が進んで歯がグラつきはじめ、歯周ポケットもさらに深くなります。

この段階になると歯茎の出血や腫れなどの症状が現れるでしょう。中等度の歯周炎まで進行すると、治療しても完治が難しくなります。

重度歯周炎

重度の歯周炎になると歯を支える歯槽骨が半分以上破壊され、歯のグラつきが大きくなります。

この段階になると歯茎の痛みや腫れ、口臭などさまざまな症状が現れ、しっかり噛むことも難しくなります。重度の歯周炎まで進行すると、歯を残すことは難しく、抜歯が必要です。

歯周病が進行することによるリスク

赤い三角のワーニングマーク

歯周病は歯を失う原因となるだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼします。細菌が出す毒素が歯茎の血管から全身にまわり、さまざまな病気の原因になるのです。

歯周病が進行することによるリスクを詳しくみていきましょう。

糖尿病

歯周病は糖尿病の合併症の一つです。糖尿病の人は、そうでない人に比べて歯周病になっている人が多いという調査結果も報告されています。歯周病によって産生された炎症性物質が血液中に入ることで、インスリンの働きが低下して血糖値が下がりにくくなるのです。

狭心症・心筋梗塞

歯周病は動脈硬化を引き起こし、狭心症や心筋梗塞の発症リスクを高めます。心臓に血液を送る血管が狭くなると狭心症を、塞がると心筋梗塞を発症する可能性があるのです。また、心臓の弁や内膜に歯周病菌が感染すると感染性心内膜炎を起こす恐れもあるでしょう。

脳梗塞

脳梗塞は脳血管疾患の中でも死亡率が高い病気です。歯周病は動脈硬化を引き起こし、脳梗塞を発症するリスクを高めます。歯周病になっている人が脳梗塞を発症する確率は、歯周病になっていない人の約2.8倍という報告もあります。

骨粗しょう症

歯周病は骨粗しょう症の発症リスクを高めます。歯周病によって産生される炎症性物質が、全身の骨の代謝に悪影響を及ぼすためです。

また、歯周病で歯を失うと咀しゃく機能が低下し、消化・吸収に悪影響を及ぼします。消化・吸収ができないと骨を作るために必要となるビタミンDやカルシウムが不足し、低栄養状態になることで骨粗しょう症が悪化するのです。

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎は、本来食道に入るはずの唾液や食べ物が気管に入ることで発症する肺炎です。歯周病菌が誤って気管に入ると、誤嚥性肺炎を発症するリスクが高くなります。誤嚥性肺炎の原因となる細菌は、多くが歯周病菌であるといわれているのです。

認知症

歯周病は認知症の発症リスクを高めます。歯周病は動脈硬化を引き起こす可能性があります。動脈硬化によって血管が狭くなり、血液が詰まると脳梗塞を引き起こし、脳血管性認知症を発症する可能性があるのです。

関節リウマチ

関節リウマチは関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊され、関節が変形する病気です。

歯周病は関節リウマチを発症するリスクが高く、関節リウマチの人は歯周病になっている人が多いことがわかっています。歯周病の治療を受けると関節リウマチの状態がよくなるという報告もあるのです。

肥満

歯周病は肥満を引き起こすことがさまざまな研究で明らかにされており、歯周病が進行している人はメタボリックシンドロームを発症する確率が1.6倍高まるという報告があります。

また、脂肪細胞で作られる炎症性物質は、歯を支えている骨を溶かし、歯周病を発症・進行させる作用もあるのです。

低体重児出産・早産

妊娠中の女性が歯周病になると、低体重児出産のリスクが高まります。歯周病によって産生された炎症性物質が血液中に入り、血流にのって全身に運ばれるためです。

また、子宮の収縮を早める物質が産生されることにより、早産も起こりやすくなります。歯周病になると早産・低体重児出産のリスクが2~4倍高くなりますが、歯周病の治療を行うとそのリスクが下がることもわかっているのです。

歯周病の進行を止める方法はある?

歯のクリーニングを受ける女性

歯周病の進行を止める方法はあるのでしょうか。歯周病になっても、初期の段階であれば進行を止められます。

歯周病の進行を止める方法について詳しくみていきましょう。

プラークコントロールを徹底する

プラークコントロールとは、歯周病や虫歯の原因となる歯垢(プラーク)を減らすことです。

歯や歯茎に付着した歯垢をできる限り除去するためには、日々のセルフケアが欠かせません。歯と歯茎のすき間(歯周ポケット)には歯垢が溜まりやすいため、特に注意して磨くようにしましょう。

セルフケアを行う際のポイントは、以下のとおりです。

歯垢が溜まりやすい部分を意識して磨く

歯垢が溜まりやすい歯周ポケット・歯と歯の間・奥歯の溝を意識して磨きましょう。歯周ポケットの歯垢を除去するためには、歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、小刻みに動かして磨くと効果的です。

歯磨き粉は歯茎の腫れや出血を抑える成分や、歯周病菌を殺菌する作用がある薬用成分が配合された製品を選ぶとよいでしょう。

歯周病のケアに適した歯ブラシを使用する

歯周病のケアに適した歯ブラシを使用し、歯周ポケットに蓄積した歯垢を除去しましょう。歯周ポケットに届きやすい超極細毛の歯ブラシを使用すると効果的に歯垢を除去できます。

また、奥歯や歯並びが悪い部分はタフトブラシで磨くと磨き残しが少なくなるでしょう。

デンタルフロスや歯間ブラシを使用する

歯垢は歯ブラシだけでは落とせません。歯と歯の間の歯垢をしっかり落とすために、デンタルフロスや歯間ブラシを使用しましょう。

デンタルリンスでうがいをする

歯磨きのあとは、デンタルリンス(洗口剤)で仕上げうがいをすると細菌の繁殖を抑制できます。

就寝中は唾液の分泌量が減少し、細菌が増殖しやすくなるため、就寝前にデンタルリンスでうがいをすると効果的です。就寝前に殺菌作用のあるデンタルリンスでうがいをすることで、細菌の数が減少するでしょう。

定期的にメンテナンスを受ける

歯周病は自覚症状なく進行します。歯周病の進行を止めるためにも歯科医院でのメンテナンスを受けましょう。

歯科医院では、専用の器械を使用して歯磨きでは落としきれない歯周ポケット内の歯垢・歯石を除去します。また、定期的にメンテナンスを受けることで歯科医師に歯茎の状態をチェックしてもらえるため、歯周病の早期発見・早期治療ができるでしょう。

また、歯科衛生士によるクリーニングやブラッシング指導を受け、自宅でのプラークコントロールを継続することが大切です。少なくとも1年に2~3回は歯科医院を受診してメンテナンスを受けましょう。

生活習慣を改善する

歯周病は生活習慣病です。生活習慣を見直すことで歯周病の進行を止められます。

・栄養バランスのとれた食生活を心がける

・糖分を摂りすぎない

・アルコールは控える

・禁煙する

・十分な睡眠をとる

・ストレスをためない

・適度な運動を習慣にする

喫煙や飲酒、ストレス、乱れた食生活は免疫力を低下させて歯周病の進行を早めます。

歯周病の進行を止めるためには、生活習慣を見直し、規則正しい生活を心がけて免疫力を高めることが大切です。免疫力が高まると、感染症などさまざまな病気を予防できます。全身の健康のためにも生活習慣を見直し、改善しましょう。

まとめ

歯ブラシと歯の模型を持っている女性歯科医師

歯周病は歯を失う原因の中で最も大きい割合を占める病気で、さまざまな病気との関連も明らかになっています。

歯周病になっても初期の段階であれば治療できるため、セルフケアを徹底し、歯科医院でのメンテナンスを受けることが大切です。また、喫煙や睡眠不足、乱れた食生活などの歯周病を進行させる生活習慣も改善しましょう。

歯周病は進行するまで症状がほとんどありません。重症化すると治療が困難になるため、歯周病にならないことが何より大切です。大切な歯と全身の健康を守るためにも、歯周病になる前に予防しましょう。

歯周病にお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

小児歯科で行うシーラント処置とは?メリットや注意点を解説!

2023年10月20日
水色の背景の前に置かれた歯の模型

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

小児歯科で行うシーラント処置とは、虫歯予防に効果的な歯科処置の一つです。こどもの虫歯予防法として聞いたことはあるけれど、実際にはどのような処置なのかわからないという方も多いでしょう。

シーラント処置は、一般的に虫歯への抵抗力がまだ高くないこどもが対象の虫歯予防法です。虫歯予防に非常に効果的であり、痛みもないことから、こどもの虫歯予防におすすめといえるでしょう。

シーラント処置では、奥歯の咬合面にある溝やくぼみをシーラントで埋めて、虫歯菌の侵入を防ぎます。虫歯菌の侵入を防ぐことで虫歯を予防するのです。では、小児歯科でのシーラント処置はどのような流れで行われるのでしょうか。

今回は、小児歯科で行うシーラント処置のメリットや処置の流れ、注意点について解説します。こどもの虫歯予防としてシーラント処置を検討されている保護者の方は、ぜひ参考にしてください。

小児歯科で行うシーラント処置とは?

クエスチョンが書いてある紙を持っている女の子

シーラント処置とは、こどもの虫歯を予防するための処置です。

特にこどもの成長期に生えてくる歯は成人の歯とは形状が異なり、咬合面、つまり歯が上下で噛み合う面に深い溝があります。この溝に食べかすや汚れが溜まると、虫歯の発生源になるのです。

この虫歯の発生源になりやすい歯の溝をシーラントで覆うことで、食べかすや汚れ、細菌の侵入を効果的に防ぎ、虫歯を予防します。

新しく生え揃った永久歯は、まだ完全に発育していません。虫歯になりやすく、また虫歯の進行速度も速いのです。そのため、こどものうちにしっかりと虫歯を予防することが重要といえます。

シーラントのメリット・デメリット

スマイリーの顔が描かれた積み木

シーラントにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

以下に詳しく解説します。

シーラントのメリット

シーラントのメリットは、以下のとおりです。

虫歯予防に効果がある

前述のとおり、シーラントは虫歯予防に非常に効果的です。虫歯の発生源である歯の溝を埋めて食べかすや汚れ、細菌の侵入を防ぐことで、虫歯になるリスクを減らせるでしょう。

歯の再石灰化をサポートする

さらにシーラントには、フッ化物が含まれているものもあります。フッ素は歯の表面を再生し、虫歯から歯を守るために重要な歯の再石灰化をサポートするため、より虫歯予防に効果的といえるでしょう。

保険が適用される

シーラントの処置は、適切な条件下であれば保険が適用されます。

シーラントのデメリット

次に、シーラントのデメリットについて解説します。

シーラントのデメリットは、以下のとおりです。

外れやすい

シーラント処置は、歯の溝にシーラントを流し込み、硬化します。

しかし、一般的な詰め物よりも外れやすいです。一般的な詰め物は、歯の一部を削り取って形を調整し、詰め物と歯がしっかりと固定されます。

しかし、シーラントは歯の溝に流し込んで硬化させるだけのため、接着力が弱いのです。シーラントが外れた場合は、再処置が必要です。

定期検診を受ける必要がある

シーラント処置後は、数か月ごとに定期検診を受けることが推奨されています。

生えたばかりの永久歯は虫歯になりやすいです。万が一虫歯になった場合は急速に進行します。特にシーラントで覆われた歯は、虫歯になっても気づきにくいです。気づかないうちに虫歯が進行していたということもあります。

定期的に検診を受けることで、早期に虫歯を発見できるでしょう。さらに、シーラントの持続性も確認し、必要であれば再処置を行います。

小児歯科で行うシーラント処置の流れ

歯の治療を受ける女の子

シーラント処置は、歯の溝にシーラントを流し込み硬化させるだけなので、痛みはありません。そのため、麻酔も不要です。比較的短時間で処置が終わるでしょう。では、どのような流れでシーラント処置を行うのでしょうか。

シーラント処置の流れは、以下のとおりです。

歯面を清掃する

はじめに歯の清掃を行います。

歯科医師や歯科衛生士が、歯の噛み合わせ部分の細かな溝を、専用の器具を用いて慎重にクリーニングし、歯のすき間に詰まった食べ物の残りかすや細菌などの不純物を除去します。シーラントの効果を発揮するためにも、クリーニングは非常に重要な工程です。

歯を乾燥させ、接着剤を塗布する

クリーニングが終わったら、歯を乾燥させます。十分に乾燥したら、歯科専用の接着剤を塗布します。

歯の溝にシーラントを流し込む

歯の溝にシーラントを流し込みます。

シーラントは液体なので、歯の形に沿って細かなすき間までしっかりと広がります。細かなすき間までしっかりと埋めることで、歯を均等にカバーし、外部から虫歯の原因となる細菌の侵入を防ぐのです。

シーラントを硬化する

シーラントを均一に流し終えたら、特別な光を用いて硬化します。この工程によって、シーラントは歯に強固に結合し、持続性が向上するのです。

シーラント処置後の注意点

水色の背景の前にあるびっくりマーク

シーラント処置は麻酔を使用しないため、処置後は基本的に食事などの制限はありません。

しかし、シーラント処置後に注意すべきことがいくつかあるのです。

以下にシーラント処置後の注意点について解説します。

虫歯を完全に予防できるわけではない

シーラントは虫歯予防に効果的ですが、それに頼り切って安心してはいけません。

シーラントは歯の咬合面にできる溝やくぼみの虫歯予防に効果を発揮しますが、歯と歯のすき間部分は虫歯のリスクが残ります。シーラント処置をしていない部分の口腔ケアを怠ると虫歯になるでしょう。

歯と歯のすき間のケアには、歯間ブラシやデンタルフロスを使用すると細かな部分の汚れも除去できます。

シーラントの保護効果を最大限に活かすためには、日々の歯磨きが大切です。歯磨きは、虫歯だけでなく、歯周病などの口腔トラブルの予防にもつながります。特に、食後や寝る前に歯磨きをすることは、口腔内の健康を維持するうえで非常に重要です。

シーラント処置を終えたあとも、しっかりと歯磨きをしましょう。

再度処置が必要になることがある

シーラントの効果はいつまでも持続するわけではありません。シーラントの効果持続期間は、一般的に2〜5年といわれていますが、毎日の食事や噛みしめなどによって、効果は次第に弱まります。

そのため、シーラントの状態によっては、再度処置が必要になることもあるのです。

シーラントは非常に効果的な虫歯予防法ですが、その効果は長期間持続するわけではありません。一度の処置だけで安心せず、定期検診を受けるようにしましょう。

まとめ

両手で天井を指差す女の子

奥歯の溝は磨きにくいため食べかすや汚れが溜まりやすく、虫歯リスクが高い部分です。奥歯の咬合面にある溝やくぼみにシーラント処置を施すことで、虫歯の原因になる食べかすや汚れ、細菌の侵入を防ぎます。

特にこどもの歯はまだ未熟であるため、虫歯菌など細菌への抵抗力が弱いです。生えて間もない永久歯が虫歯になると、急速に進行し、結果的に歯を削って治療することもあるでしょう。

シーラントの効果は、一般的に2〜5年ほど持続するといわれています。また、シーラント処置は麻酔が不要で工程もシンプルです。痛みがなく、こどもへの負担も比較的少ないため、奥歯が生え始めたら、シーラント処置を検討してみてください。

シーラント処置を検討されている方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

重度の歯周病とはどのような状態?放置するリスクと治療法

2023年10月13日
歯茎を確認している男性

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

歯茎からの出血や、歯のぐらつきがある場合、重度の歯周病になっているかもしれません。重度の歯周病を放置すると、食事など日常生活に影響を及ぼし、最終的に歯が抜け落ちる可能性があります。重度になると治療の難易度も高くなるため、早期に対処することが大切です。

今回は、重度の歯周病の症状や放置するリスク、歯周病の予防法を解説します。

重度の歯周病とはどのような状態?

口に人差し指を当て、悩んでいる表情の女性

歯周病とは、歯と歯茎の間にあるすき間(歯周ポケット)が細菌に感染し、炎症を起こす病気です。歯周病の進行度合いは、歯周ポケットの深さで診断します。

・軽度の歯周病:1〜3mm

・中等度の歯周病:4~5mm

・重度の歯周病:6mm以上

歯周ポケットの深さが6mm以上の場合、重度の歯周病と診断されます。重度の歯周病で現れる症状は、以下のとおりです。

・歯が動揺する

・歯茎が赤く腫れて膿が出る

・歯茎から出血なる

・歯茎が下がる

・口内がネバネバする

・口臭が強くなる

重度の歯周病では、歯周病ポケットが非常に深くなるので、歯がグラグラと動揺する場合が多いです。咀嚼に支障をきたすこともあるでしょう。

軽度の歯周病では痛みなどの自覚症状はないのが一般的ですが、重度になると上記の症状が現れます。歯茎が下がったことで、歯が長く見えることも多いです。

症状が現れてから歯周病に気づく方も少なくありません。

重度の歯周病を放置すると

黒いドミノを指で倒している

重度の歯周病を放置すると、歯だけではなく全身に影響を及ぼす恐れがあります。

歯が抜け落ちる

歯周病は、歯周ポケット内に歯石や歯垢が溜まることで細菌に感染して引き起こされます。重度の歯周病を放置すれば、歯周ポケット内で活発化した細菌感染が顎の骨にまで拡大するでしょう。

歯を支える顎の骨が溶けて、歯がグラグラと揺れ始めます。最終的には歯が抜け落ちる可能性があるのです。

歯が自然と抜け落ちることは少ないですが、抜歯で歯を失うことが多いでしょう。自然に歯が抜け落ちるまで歯周病が進行した場合、膿の塊や痛みなどの自覚症状が現れて受診する方が多いためです。

全身疾患や妊娠のトラブルにつながる

歯周病を放置すると、歯周病菌が血液を介して全身に運ばれます。歯周病菌は毒性物質や炎症物質を持っているため、さまざまな疾患やトラブルを引き起こす可能性があるでしょう。

歯周病を放置することで起きる可能性のある病気は、以下のとおりです。

糖尿病

歯周病菌が産出する炎症物質が、血糖値をコントロールするインスリンの働きを低下させて糖尿病を引き起こします。

糖尿病と歯周病は関係が深く、どちらか一方が悪化すれば、もう片方の病気も悪化する可能性が高いです。そのため、糖尿病の方や糖尿病リスクの高い方は、歯周病が重症化しないように注意しなくてはなりません。

動脈硬化

歯周病菌の持つ炎症物質や毒性物質によって血管の壁が炎症を起こすと、血管が狭まります。歯周病菌が血管に炎症を起こして血管を硬化させることで、動脈硬化を引き起こすと考えられています。

動脈硬化が引き起こされると、脳梗塞・狭心症・心筋梗塞などのリスクが高まるでしょう。

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)

食事の際に、飲食物が食道ではなく気管に入ることがあります。飲食物と一緒に歯周病菌が肺に入り込むと、肺炎を引き起こすかもしれません。

妊娠のトラブル

血液を通して歯周病菌が胎盤へ届いて刺激することや、歯周病菌の持つ炎症物質によって陣痛が誘発されることなどが原因で、妊娠に関するトラブルを引き起こすことがあるでしょう。

歯周病がある方は、早産や低出生体重児のリスクが高いとされています。妊娠中は体調がよくない方が多く、つわりの影響で歯磨きをできない方もいます。

妊娠前から歯周病を予防し、口内を清潔に保つことが重要です。

重度の歯周病の治療法

歯の模型を使って説明している歯科医師

重度の歯周病の場合、治療が複雑化します。歯や口内の状況に応じて、適切な治療が選択されるでしょう。

重度の歯周病の治療方法は、以下のとおりです。

FMD

FMD(フルマウスディスインフェクション)は、歯周病菌を口腔内と身体の両方から除去する治療法です。

歯周病菌はスケーリングやルートプレーニングなど、機器によるクリーニングで除去しますが、重度の歯周病の場合はクリーニングだけでは除去できません。除去に時間がかかると通院回数が多くなるため、早急に歯周病を改善するためにFMDが選択されます。

FMDでは抗生物質を内服し、体内の歯周病菌を一度で除去します。

歯周外科治療(フラップ手術)

重度の歯周病の場合、歯周ポケットに形成された歯石をクリーニングで除去することは困難です。歯茎を切開し、歯根に付着している歯石・歯垢・毒素を除去することが多いです。

麻酔を使用するので、手術中の痛みはありません。外科手術なので負担は大きいですが、重度の歯周病を改善するために必要な治療です。

歯周病組織再生療法

歯周病組織再生療法は、歯周病によって失われた骨などの組織を回復するための治療です。歯周病菌は、顎の骨や歯茎などの歯の周辺組織を破壊します。

周辺組織が破壊されると歯を支えられなくなり、自然に抜け落ちるかもしれません。抜歯が必要になることもあるでしょう。

しかし、歯を支えている組織を歯周病組織再生療法で回復すれば、歯を残せる可能性が高まります。歯周病組織再生療法では、歯周組織を回復するための場所を作り、組織の回復を促す薬剤を注入します。

歯周補填治療

重度の歯周病では歯を支える骨が溶け、歯がグラグラと動揺する場合が多いです。歯が動揺していると、食べ物を噛むことが困難になります。

歯周補填治療では、動揺している歯を被せ物で固定して安定させます。食べにくさを改善するだけでなく、噛み合わせも改善されるでしょう。

抜歯

重度の歯周病でも、まずは歯を残すことを考えて治療を進めます。

しかし、歯を残すことでほかの歯や身体に悪影響がある場合は、抜歯を選択するでしょう。

歯周病の予防法

歯ブラシ・マウスウォッシュ・デンタルフロスが置かれている

歯周病が重症化してから治療するのではなく、日頃から予防することが大切です。歯周病は自覚がないまま進行し、気づいたときには重度になっているケースも珍しくありません。

歯周病の予防法は、以下のとおりです。

毎日の正しい歯磨き

毎日の正しい歯磨きでプラークを取り除くことは、歯周病の予防につながります。歯ブラシだけでなくフロスなどを使用し、歯と歯の間に付着した歯垢を除去しましょう。

歯と歯茎の溝に45度の角度で歯ブラシを当てることで、歯周ポケットの歯垢や歯石を除去できます。奥歯や歯の裏側など、磨きにくい部分もしっかり磨きましょう。

生活習慣の見直し

免疫力が低下すると、歯周病菌の働きが強まって細菌に感染しやすくなります。栄養バランスのよい食事を心がけ、十分な睡眠や適度な運動で免疫力を高めましょう。

ストレスや疲労を溜め込まないことも大切です。リラックスできる音楽を聴く、趣味の時間を設けるなど、ストレスを解消することも心がけてください。

歯科医院での定期的なケア

歯科医院で定期的に歯周病ケアを行うことも重要です。歯茎の炎症状態や歯周ポケットの深さを定期的に確認すれば、歯周病が重症化する前に気づくことができます。

歯科医師や歯科衛生士によるクリーニングを受けることで、歯垢や歯石を徹底的に除去できます。定期的にクリーニングを受けていれば歯垢が蓄積されないため、歯周病予防につながるでしょう。

まとめ

歯ブラシを片手に持っている女性

重度の歯周病は、食べ物を噛めない、歯茎から出血するなど、日常生活にも影響を及ぼします。進行すると、自然と歯が抜け落ちることもあるでしょう。

身体全体の健康にも悪影響を及ぼすため、歯周病は早期治療・予防することが大切です。歯周病は、進行しなければ気づけないケースも多いです。歯科医院のケアを定期的に受けて口内の状態を確認してもらいましょう。日常のケアもしっかりと行い、歯周病を予防してください。

歯周病でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

歯周病になりやすい人の特徴と予防法とは?

2023年5月18日
唇をめくって赤く腫れた歯茎を確認する人

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

十分に歯磨きができていない、生活習慣が乱れている人は、歯周病になりやすいといわれています。そのほか、加齢や糖尿病なども歯周病を発症する原因です。

今回は、歯周病になりやすい人の特徴と予防法について解説します。

歯周病とは

リビングで座って歯が痛くて頬に手を当てる女性

歯周病とは、歯と歯肉の周りの組織が炎症を起こす疾患のことです。歯周病は、口腔環境が悪化することによって口腔内の細菌が増殖し、歯肉が炎症を起こすことで発症します。歯周病は放置すると歯を失う原因になるだけでなく、全身疾患にも関連すると指摘されているのです。

歯周病の原因として、歯磨きが不十分なことによる歯垢(プラーク)や歯石の蓄積、喫煙、ストレス、栄養不良などが挙げられます。

初期の歯周病は自覚症状がほとんどないため、進行に気づくことが困難です。進行すると、歯肉が赤く腫れる、出血するなどの症状が現れます。また、歯肉が萎縮して歯が長く見える「歯肉退縮」を引き起こすこともあり、見た目にも影響が出ます。歯茎が下がることによって歯周ポケットが深くなると、たまった歯垢や歯石は簡単に除去することができません。

重度の歯周病になると、歯を支える骨が溶けて歯がグラグラする、歯肉から膿が出ることで口臭が発生するなどの症状が現れます。骨が大きく溶かされると、歯が抜け落ちることもあるでしょう。

歯周病が進行すると、歯周病菌が体内に侵入して全身疾患を引き起こすリスクがあります。例えば、心臓病や糖尿病、脳卒中、妊娠中の合併症などが挙げられます。歯周病菌が血液中に入り込むことにより、血管内皮に炎症を引き起こし、動脈硬化の進行を促進することも指摘されているのです。さらに、歯周病が進行している妊婦さんは、早産や低出生体重児のリスクが高くなることが報告されています。

歯周病は歯を失う原因となるだけでなく、全身の健康にも影響します。ふだんから丁寧に歯磨きを行い、歯科医院での定期的なクリーニングや歯科検診を受けることが重要です。

歯周病になりやすい人の特徴

鏡で自分の歯の状態を確認する女性

歯周病になりやすい人は、口腔内を清潔に保つことができていない、免疫力が低下していることが特徴です。

以下、歯周病になりやすい人の特徴を詳しく解説します。

歯磨きが不十分な人

歯の表面に残った歯垢は、時間が経つにつれて硬化し、歯石になります。歯石は歯ブラシでは取り除くことができず、歯肉を圧迫して炎症を引き起こすことがあるのです。

歯垢や歯石が、歯肉と歯の間にたまることで形成される空洞を「歯周ポケット」とよびます。歯周ポケットは、歯垢や歯石がたまりやすく炎症を悪化させるため、歯周病の進行を早めるのです。

歯磨きが不十分な場合、歯に残った歯垢や食べかすが細菌の増殖を招き、歯肉炎や歯周病のリスクが高まります。また、誤った歯磨きをしている場合も、歯垢や歯石を十分に取り除くことができず、歯周病の原因になるでしょう。

喫煙者

喫煙者が歯周病になりやすい理由として、タバコの有害物質が歯肉の炎症を悪化させることが挙げられます。タバコの煙には、口腔内で炎症を引き起こす物質や、歯周病菌を増殖させるニコチン、一酸化炭素などが含まれています。これらの物質が歯周組織に作用することで、歯肉の炎症が悪化し、歯周病を引き起こすリスクが高まるといえるでしょう。

また、喫煙によって免疫力が低下し、歯周病菌が増殖しやすくなることも原因の一つです。免疫力が低下すると、歯肉炎や歯周病が進行しやすくなるため、喫煙者は歯周病になりやすいといわれています。

喫煙によって血管が収縮すると、歯周組織に必要な酸素や栄養素の供給が十分に行われず、歯周組織の再生が妨げられるのです。

歯ぎしりをする人

歯ぎしりが長期間続くことで、歯と歯肉の組織に慢性的なダメージを与え、歯周病を引き起こすことがあります。歯ぎしりによって歯の表面が削れたり、歯肉が退縮したりすることで、歯周ポケットができ、細菌が蓄積しやすくなります。

歯ぎしりによる歯と歯肉のダメージを防ぐには、ナイトガードの装着やストレスの軽減などが有効です。

糖尿病の人

糖尿病は慢性的に高血糖が続く疾患で、免疫機能が低下することが知られています。口腔内の細菌に対する免疫力も低下するため、歯周病の原因となる細菌が増殖しやすくなるのです。

また、糖尿病は、口腔内の細菌のバランスを崩すこともあります。糖尿病によって口腔内のpHが低下し、酸性の環境が生まれることで、歯周病を引き起こす細菌の繁殖が促進されます。糖尿病によって唾液の分泌量が減少することもあり、口腔内の細菌のバランスが崩れ、歯周病の原因となる細菌が増殖しやすくなるのです。

ストレスが多い人

ストレスは、交感神経の興奮を促し、副交感神経の働きを抑制します。この状態が長期間続くと、免疫力が低下し、炎症を引き起こしやすくなります。

ストレスは、口腔内の乾燥を引き起こす原因の一つです。唾液は、口腔内を清潔に保つために重要な役割を果たしているため、口腔内の乾燥は細菌の増殖を促し、歯周病のリスクを高めるのです。

栄養状態が悪い人

栄養状態が悪いと歯肉の炎症が悪化し、歯周病の発症や進行を早めるリスクが高まります。また、栄養不足によって免疫力が低下し、口腔内の細菌が増殖しやすくなることもあるでしょう。

例えば、ビタミンCは歯肉の炎症を抑制する抗酸化物質であり、免疫力を高める作用があります。ビタミンDは歯や骨の健康を維持するために必要な栄養素で、カルシウムの吸収を促進します。

カルシウムは、歯や骨の成分の一部であり、骨の強化や歯のエナメル質の形成に重要な役割を果たしているのです。鉄は免疫力を高めるために必要な栄養素であり、亜鉛は細胞の新陳代謝を促進し、免疫力を高める作用があります。

栄養バランスの悪い食事を続けていると、ビタミンやミネラルが不足し、歯周病の発症リスクが高まるでしょう。

免疫力が低下している人

歯周病菌は、口腔内に生息している細菌の一種であり、歯垢や歯石が蓄積することで歯肉の炎症を引き起こす原因となります。

通常、健康な人は免疫によって歯周病菌を制御していますが、免疫力が低下している人は、歯周病菌に対して十分な免疫応答ができず、炎症が悪化することがあります。

免疫力が低下する原因は、加齢や病気による免疫機能の低下、ストレスや睡眠不足など、ライフスタイルの影響が考えられるでしょう。

ご高齢の人

歯周組織は、加齢に伴って細胞が老化し、弾力性や再生力が低下するため、歯周病菌に対する抵抗力が弱まります。また、年齢が高くなるにつれ歯磨きや歯科医院の受診など、歯のケアが困難になることがあり、歯周病のリスクが高まるのです。

加齢とともに免疫系の働きも衰えるため、歯周病菌に対する免疫応答が弱くなるでしょう。加齢に伴って免疫系の細胞数が減少することが報告されており、細菌感染症や炎症性疾患の発症リスクが高まることが知られています。

歯周病予防のためにできること

モザイクタイルの上に歯ブラシとコップを置いた

歯周病予防には、正しい歯磨きと定期的にクリーニングに通うことが効果的です。また、細菌に強い身体づくりも重要です。

正しい歯磨きを行う

歯垢や歯石は、口腔内に生息する細菌が増殖する原因となり、歯肉の炎症や口臭の原因になることがあります。そのため、正しい歯磨きで歯垢や歯石を除去し、口腔内を清潔に保つことが、歯周病予防につながります。

歯ブラシはやわらかいものを選び、歯ブラシの毛先を斜め45度に傾けて、歯と歯肉の境目にある歯周ポケットを意識して磨きましょう。力を入れすぎないことも大切です。強い力で磨くと、歯茎に傷ができ、細菌がたまりやすくなるからです。

また、フロスや歯間ブラシなどを使用して、歯のすき間も清潔にしましょう。歯周病は、歯垢や歯石が歯肉に沿ってたまり、歯肉の炎症を引き起こすことが原因のため、歯のすき間まできちんと磨くことが歯周病予防につながります。

定期的にクリーニングを受ける

クリーニングは、歯科医師や歯科衛生士が専用の器具を用いて歯垢や歯石を除去する処置であり、歯周病の原因となる細菌を減少させます。歯垢や歯石は、歯磨きでは除去できない部分に蓄積されるため、専用の器具で除去することが重要です。

さらに、クリーニングには歯垢や歯石の除去以外にも、口腔内の検査や歯磨きの指導も含まれます。口腔内の状態を確認し、異常があれば早期発見・治療を行うことができます。適切な歯磨きの指導を受けることで、自宅でのケアもより効果的に行うことができるでしょう。

クリーニングは定期的に受けることが重要です。歯垢や歯石は、定期的な歯科検診やクリーニングで早期に除去することができますが、長期間放置すると歯周病の原因となる菌が繁殖し、歯肉炎や歯周病を進行させることもあるのです。クリーニングは3〜6か月に1回の頻度で受けることが推奨されています。

健康的な生活習慣を維持する

健康的な生活習慣とは、バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス軽減などを指します。バランスのよい食事は、免疫力を高めるだけでなく、歯や歯肉を強くするでしょう。

十分な睡眠は免疫力を回復させるために重要であり、適度な運動は免疫力を高めるだけでなく、ストレスを軽減する効果もあります。

ストレスは、免疫力を低下させる要因の一つです。ストレスがかかった状態が長期間続くと、免疫系の働きが弱まり、口腔内の細菌の増殖を促進することがあります。休息や趣味の時間を設け、免疫力を高めて歯周病を予防しましょう。

喫煙を避ける

喫煙は、口腔内の細菌のバランスを崩し、免疫力を低下させ、歯周病の原因となる歯垢や歯石の増加を促進します。

喫煙によって口腔内の細菌のバランスが崩れる理由は、ニコチンやタールなどの有害物質が細菌の生息環境を変えるためです。喫煙によって口腔内の細菌のバランスが崩れると、口腔内の細菌が増殖し、歯周病を引き起こす細菌の種類も変化することが知られています。

また、喫煙によって免疫力が低下するため、口腔内の細菌に対する免疫機能も低下します。歯周病を引き起こす細菌が口腔内に存在しやすくなり、歯周病の進行を促進するのです。

歯周病の治療について

女性患者の歯の治療をする男性歯科医師

歯周病の治療には、歯垢・歯石の除去や口腔内の清掃、歯周ポケットの洗浄や治療、外科治療などがあります。治療内容は、歯周病の進行度や症状によって異なります。

歯垢・歯石の除去や口腔内の清掃

歯科医師や歯科衛生士が行うプロフェッショナルなクリーニングのことです。

歯垢・歯石を除去することで、口腔内の細菌の数を減らし、炎症を抑えます。また、患者さま自身の歯磨きや口腔ケアの指導も行われます。

歯周ポケットの洗浄や治療

歯周ポケットが深く、クリーニングだけでは歯垢や歯石を除去できない場合に行われる処置です。

歯周ポケットの奥深くに蓄積した歯垢や歯石を除去することで、歯周病の進行を抑制します。

外科治療

重度の歯周病の場合に行われ、歯茎を切開して歯根に付着した歯石や汚れを取り除きます。

骨の一部分が溶けている場合は、特別な材料を用いて骨を再生する「再生療法」を行うこともあります。

まとめ

歯を痛がって頬を抑える高齢者女性と介護士の女性

歯磨きが十分に行えていない、免疫力が低下している人は、歯周病になりやすいです。

歯周病は、進行すると歯を失う可能性もあるので、早めの治療が重要です。早期発見・治療には、定期的な通院が欠かせません。日頃から正しい歯磨きを行い、3〜6か月に1回の頻度でクリーニングに通って歯周病予防に努めましょう。

歯周病でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

歯垢(プラーク)とは?放置するリスクと除去方法について解説!

2023年4月13日
歯垢(プラーク)がみえる歯

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

歯垢(プラーク)という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。歯垢は悪いものと知っていても、その正体や影響を詳しく知っている方は少ないかもしれません。

今回は、歯垢(プラーク)のリスクや除去方法について、詳しく解説します。

歯垢(プラーク)とは

歯垢(プラーク)がみえる歯

歯垢(プラーク)とは、歯に付着した細菌のかたまりです。白〜黄色っぽく、歯の色と似ており、歯垢1mgの中に1億個もの細菌が存在しています。

食べかすだと思っている方がいますが、それは正しくありません。お口の中は、たくさんの細菌が存在し、歯に付着してもほとんどが唾液によって流されます。

しかし、歯と歯のすき間や歯の根本など、細菌が流されにくい場所に溜まると、増殖して歯垢(プラーク)を形成するのです。

歯垢は、放っておくと虫歯や歯周病の原因となるため、ブラッシングで取りのぞく必要があります。ネバネバとした性質なので、うがいだけで除去することができません。歯ブラシなどで物理的にこすり取る必要があります。

歯垢(プラーク)と歯石の違い

何か疑問を抱いている様子

歯垢(プラーク)と歯石は、別のものです。

歯に歯垢が付着したままだと、唾液中の成分によって2〜3日で石灰化し始め、次第に歯石となって沈着します。歯垢は歯磨きなどで除去できますが、歯石はご自身で除去することができません。歯科医院で歯石除去を受ける必要があります。

歯垢(プラーク)の種類と付着しやすい部分

歯科医師と歯について相談している患者

歯垢はどの部分に付着するのでしょうか。

歯垢の種類と付着しやすい部分にわけて、それぞれ解説します。

歯垢(プラーク)の種類

歯垢は、付着する場所によって「歯肉縁上プラーク」と「歯肉縁下プラーク」に分けられます。歯肉縁上プラークは、歯茎より上部の歯の表面に付着する歯垢です。

一方、歯肉縁下プラークは、歯茎よりも下部、つまり歯周ポケット内にとどまる歯垢です。歯肉縁下の環境は、歯周病の原因となる細菌が繁殖しやすくなります。

付着しやすい部分

歯垢が付着しやすい部位は、以下のとおりです。

・歯と歯の間

・歯と歯茎の境目

・奥歯の噛み合わせ

・歯と歯が重なっている所

・抜けた歯の周りや1本孤立している歯

これらの部分は、歯に細菌が付着しても自然と流れにくいため、そのまま増殖し、歯垢が形成されやすくなります。歯磨きする際は、これらの場所に特に注意して磨きましょう。

歯垢(プラーク)を除去しないと

歯を痛がっている女性

歯垢を除去せず付着したままにすると、虫歯や歯周病になります。虫歯と歯周病はいずれも歯垢が原因ですが、それぞれ発生するメカニズムが異なります。

どうやって虫歯はできるのか

歯垢の中の細菌のうち、主に「ミュータンス菌」は、飲食により摂取された「糖」を栄養にして、歯を溶かす「酸」を作り出します。この酸によって、歯の表面のカルシウムが溶けて、やがて穴があき、虫歯ができます。

どうやって歯周病になるのか

主に歯の根本に付着した歯垢や、歯肉縁下に溜まった歯垢が歯周病の原因です。歯垢が付着したままだと、歯垢中の歯周病菌が毒素をだして、周りの組織に炎症を引き起こします。

最初は歯茎が赤くなる・少し腫れる程度ですが、進行すると、歯を支えている骨(歯槽骨)を溶かし、破壊するのです。

歯垢(プラーク)が付着しやすい方とは

サイコロ状のお砂糖

歯に付着しやすい食べ物を好む方や、甘いものを好む方は、歯垢が付着しやすくなります。飲食物に含まれる「糖」は、お口の中の細菌の栄養源となり、細菌を増殖させるのです。

また、歯並びが悪い方や矯正装置をつけている方は、歯垢を除去するのが難しいため、歯垢が付着したままになりがちです。歯科医院でクリーニングやブラッシング指導を受けるとよいでしょう。

歯垢(プラーク)を除去する方法

歯ブラシをしている女性

歯垢(プラーク)を除去する方法は、ご自身で除去する方法と、歯科医院で除去してもらう方法があります。

毎日のケアは、歯ブラシ等で除去するのが基本です。日頃のケアで取りきれない歯垢を、定期的に歯科医院で除去してもらうのがよいでしょう。

ご自身で除去する方法

毎日の歯磨きは基本です。歯ブラシだけで除去できるのは「60%の歯垢」のみで、歯と歯の間の歯垢は歯ブラシでは除去できません。歯間ブラシやデンタルフロスを使って除去しましょう。これらの清掃補助用具を使うと、全体の80%程度の歯垢が除去できるといわれています。

しかし、いくら丁寧に磨いても人それぞれに磨き癖があるので、磨き残しは避けられないでしょう。歯科医院でブラッシング指導を受けて、効率のよい磨き方を学びましょう。

おすすめの清掃補助用具

先に述べたように、歯ブラシだけでは十分に歯垢を除去することができないため、清掃補助用具を使うとよいでしょう。主な清掃補助用具は、以下のとおりです。

・歯間ブラシ

持ち手の部分と、芯のある長い小さなブラシでできている清掃用具です。歯と歯の間の歯垢を除去するのに適しています。

真っ直ぐなI字タイプとブラシの根本部分が曲がっているL字タイプがあり、奥歯の場合は、L字タイプの方が使いやすいです。さまざまな太さがあるので、ご自身にあったサイズを使いましょう。わからない場合は、歯科医院で適したサイズを教えてもらいましょう。

歯を失いブリッジ(両隣の歯を土台として橋渡しするように被せるダミーの歯)をつけた場合は、ダミーの歯の下部に汚れが溜まるため、歯間ブラシは必須です。

・デンタルフロス

ナイロンの細い繊維でできた紐状の清掃用具です。歯と歯の間の清掃に使用します。

糸巻き状で必要な長さを切り取り、指で動かすタイプと、プラスチックのホルダーにフロスが取り付けられた「糸ようじ」とよばれるタイプがあります。糸巻き状の方が自由に動かせますが、操作が難しい方は糸ようじタイプがおすすめです。

使用方法でわからないことがあれば、歯科医院で指導を受けるのがよいでしょう。

・ワンタフトブラシ

一本の毛束でできた筆状のブラシです。

親知らずの周囲、歯並びが悪い所、奥歯のうしろ側、矯正装置の下など、普通の歯ブラシで落としにくい場所の歯垢を効果的に除去することができます。

歯科医院で除去する方法

ご自身でどんなに丁寧にブラッシングをしても、70〜80%の歯垢しか除去できません。歯垢除去を100%に近づけるため、定期的に歯科医院でクリーニングを受けるのがよいでしょう。

PMTCとは

歯科医院で受けられる歯垢を除去するクリーニングに「PMTC」クリーニングがあります。

PMTCは「プロフェッショナル・メカニカル・ティース・クリーニング」の略で、言葉のとおり、専門家(歯科医師や歯科衛生士)が専用の器械で行う歯のクリーニングです。歯磨きで除去できない歯垢を落とすことができ、歯面がつるつるになるため、新たな歯垢が付着しにくくなります。

まとめ

ポイントを指さす男性

歯垢(プラーク)は、付着したままだと虫歯や歯周病の原因となります。歯垢の除去は、自宅での清掃が基本です。清掃補助用具などを使い、丁寧に歯磨きしましょう。

また、自宅で除去しきれない歯垢は、定期的に歯科医院でクリーンングすることで、お口の中の衛生を保つことができます。虫歯や歯周病になる前に、歯垢をしっかり除去し、日々の習慣を見直しましょう。

歯垢(プラーク)でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。