こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。
歯を失った際の治療方法には、いくつか種類があります。選択する種類によって審美性や機能性などが異なるため、正しい知識を持つことが重要です。
本記事では、インプラントと入れ歯の違いや、適切な治療法を選ぶ方法など解説します。
インプラントとは
インプラント治療は、失った歯の機能を回復させる歯科治療法のひとつです。あごの骨にスクリュー状の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯冠を装着する治療法です。
チタン製のインプラント体が骨と結合することで、天然歯に近い安定性を実現できます。治療は通常3つの段階に分かれ、外科手術でインプラント体を埋入して骨との結合を待ってから、最終的な人工歯を装着します。
インプラント治療の主なメリット
インプラント治療の最大の利点は、天然歯とほぼ同等の咀嚼力を発揮できることです。骨に直接固定されているため、硬い食べ物でも安心して噛むことができ、食事の制限がほとんどありません。
審美面においても大きなメリットがあります。インプラントで使用される上部構造はセラミックを使用するケースが多く、周囲の歯と調和するような色調や形態に調整できます。
また、隣接する健康な歯を削る必要がないため、周りの歯への負担を最小限に抑えることが可能です。メンテナンス面では、特別なケア用品を必要とせず、通常の歯磨きと定期的な歯科検診で長期間使用できるケースが多いです。
インプラント治療のデメリットと注意点
一方で、いくつかの制約や注意点も存在します。外科手術が必要となるため、全身状態や骨の状態によっては治療を受けられない場合があります。糖尿病や心疾患などの全身疾患がある方、骨密度が不足している方は、事前の詳しい検査と慎重な判断が必要です。
費用は1本あたり約30~50万円と高額になることが多く、保険適用外のため経済的負担も少ないとはいえません。また、治療期間も3~6か月程度と長いため、すぐに歯の機能を回復したい方には不向きでしょう。
入れ歯とは
入れ歯は、歯を失った部分を補う伝統的で確立された治療法です。大きく分けて、部分入れ歯と総入れ歯の2種類があります。
部分入れ歯は、失った一部の歯を補うもので、残っている健康な歯にバネをかけて固定します。総入れ歯は、すべての歯を失った場合に使用され、歯茎の上に装着して使用する仕組みです。
素材には保険適用のレジン製のものから、自費診療で使用される金属床やシリコン素材までさまざまな選択肢があります。
入れ歯治療の主なメリット
入れ歯治療の最大の利点は、外科手術が不要で、健康状態に左右されず基本的にはどのような方でも受けられることです。高齢者や全身疾患をお持ちの方でも、安心して治療を受けられるでしょう。
費用面でも大きなメリットがあります。保険適用の部分入れ歯であれば約5,000〜1万5,000円と、経済的負担を大幅に抑えることができます。また、治療期間も短く、通常1~2か月程度で完成するため、早期に歯の機能を回復したい方に選ばれています。
全国のすべての歯科医院で作製可能な点も大きな安心材料でしょう。また、取り外し可能なため清掃やメンテナンスがしやすく、ケア用品もドラッグストアで購入できるなど、日常管理の面でも利便性があります。
入れ歯の課題とデメリット
入れ歯にもいくつかの制約があります。最も大きな課題は咀嚼力の低下で、噛む力は天然歯の3分の1以下になるとされています。そのため、硬い食べ物や粘着性のある食べ物の摂取に制限が生じることがあります。
装着感については、慣れるまでに時間がかかる場合があります。入れ歯が合わないと外れやすかったり、痛みが生じたりすることがあり、定期的に調整が必要でしょう。
また、食べ物の味や温度を感じにくくなる場合があるため、食事の楽しみが減少する可能性もあります。審美的な面では、部分入れ歯の場合、バネが見えることで見た目に影響する場合があります。
話しにくさや発音の変化を感じる方もいらっしゃいますが、多くの場合は慣れとともに改善されます。長期使用においては、あごの骨が徐々に吸収されることで入れ歯が合わなくなり、定期的な調整や作り直しが必要になる点もデメリットといえるでしょう。
インプラントと入れ歯の違いを比較
ここでは、インプラントと入れ歯の違いを比較していきます。
機能性・噛む力の違い
インプラントと入れ歯の最も大きな違いは、咀嚼能力です。インプラントは顎骨に直接固定されているため、天然歯の約80〜90%の噛む力を発揮できるとされています。硬い食べ物でも安心して咀嚼でき、食事制限がほとんどありません。
一方、入れ歯の噛む力は天然歯の約30〜40%程度に留まり、特に総入れ歯では更に低下する傾向があります。
インプラントでは、ステーキやナッツ類、りんごなどの硬い食べ物も問題なく摂取できますが、入れ歯では食べ物の硬さや粘着性に注意が必要です。場合によっては食事内容を調整する必要があるでしょう。
また、インプラントは食べ物の温度や食感をより自然に感じることができ、食事の満足度が高いといわれています。
見た目
見た目の自然さにおいても、両治療法には明確な差があります。インプラントは歯根部分から再現するため、非常に自然な外観を実現できます。歯の色調や形態も天然歯に合わせて精密に調整可能で、治療したことがわからないレベルの審美性を獲得できるとされています。
入れ歯の場合、とくに部分入れ歯では金属のバネが見えることがあり、審美的に劣る場合があります。
ただし、ノンクラスプデンチャーを選択すれば、入れ歯であっても審美性が大幅に改善できるでしょう。総入れ歯は、適切に作製されれば自然な口元を演出できますが、口腔内の経年変化により適合性が変化すると、見た目に影響が出るかもしれません。
治療期間と通院回数
治療期間においても大きな違いがあります。インプラント治療は骨結合を待つ期間が必要なため、通常3〜6か月、複雑なケースでは1年以上かかることもあります。手術も1〜2回必要で、総通院回数は8〜12回程度となるのが一般的です。
一方、入れ歯であれば、通常1〜2か月程度で使用を開始できるでしょう。通院回数も4〜6回程度と少ないです。
ただし、完成後の調整期間を含めると、数か月を要することもあります。
費用
経済的な負担にも大きな違いがあります。インプラント治療は自由診療のため、1本あたり30〜50万円程度の費用がかかります。複数本のインプラントが必要な場合、総額は数百万円に及ぶ可能性があります。
しかし、適切にメンテナンスされたインプラントは長期間使用できるため、費用対効果は決して悪くないといえるでしょう。
入れ歯治療は保険適用が可能で、3割負担の場合、部分入れ歯で5,000〜1万5,000円程度、総入れ歯でも1万5,000円程度で製作できます。入れ歯は定期的な作り替えが必要なため、長期的な総費用を考慮する必要がある点に注意しましょう。
メンテナンス
日常的なケア方法も大きく異なります。インプラントは天然歯と同様にブラッシングとフロッシングでケアしますが、インプラント専用の清掃器具を使用することが必要です。
入れ歯は取り外してケアする必要があります。専用の洗浄剤とブラシを使用して、毎日清掃しましょう。定期検診では、入れ歯の適合性のチェックと調整・口腔粘膜の健康状態の確認をおこないます。
ご自身に合った治療法を選択するためのポイント
ここでは、適切な治療選択のための具体的な判断基準をお伝えします。
年齢と口腔内状態による選択基準
年齢は、治療選択において重要な要素のひとつです。若い患者さまの場合、長期的な機能維持を考慮するとインプラントが有利な選択肢となるでしょう。骨量が十分で全身状態も良好であれば、インプラントの成功率が高く、長期間にわたって安定した機能を期待できるからです。
一方、高齢の患者さまの場合は、全身状態や既往歴を慎重に評価する必要があります。手術によるリスクが高い場合や、服薬している薬剤がインプラント治療に影響する可能性がある場合は、入れ歯治療が安全な選択となるでしょう。
また、口腔衛生管理が困難な患者さまの場合も、メンテナンスの観点から入れ歯を勧められる場合があります。
骨量の評価も重要で、長期間の歯の欠損により骨吸収が進行している場合、骨造成手術が必要になることが少なくありません。治療期間の延長と費用の増加を伴うため、患者さまの希望と照らし合わせて検討する必要があります。
ライフスタイルと治療法の適合性
患者さまの日常生活や職業も治療選択に影響します。営業職や接客業など人と接する機会が多い方は、審美性と機能性を重視してインプラント治療を選択する傾向があります。
また、スポーツを頻繁におこなう方や、硬い食べ物を好む方にとってもインプラントの機能性は大きなメリットとなるでしょう。
頻繁な通院が困難な方や、手術に対する不安が強い方の場合は、入れ歯治療が現実的な選択となります。また、将来的な介護の可能性を考慮する場合、入れ歯のほうがケアが容易という側面もあるでしょう。
経済的な観点からの判断
治療費用は多くの方にとって重要な判断材料になるでしょう。
ただし、初期費用だけでなく長期的な費用対効果を考慮することが大切です。インプラントは初期投資が大きいものの、適切にメンテナンスすれば10〜15年使用できるとされています。
入れ歯は初期費用が安価ですが、5〜7年ごとに作り替えが必要になるのが一般的で、調整費用を考慮する必要があります。また、機能面での制限により、食事の質や栄養摂取に影響が出る可能性も考慮すべきでしょう。
まとめ
インプラントと入れ歯は、それぞれ異なる特徴を持つ治療法です。インプラントは天然歯に近い機能性と審美性を提供し、長期的な安定性が高いとされています。
一方、入れ歯は治療期間が短く、経済的負担が軽い利点があります。どちらの治療法を選択するかは、患者さまの年齢や口腔内状態・ライフスタイル・経済状況など、多くの要因を総合的に考慮する必要があるでしょう。
重要なのは、ご自身に合った最適な選択肢を選ぶことです。歯科医師との十分な相談を通じて、ご自身の状況に最も適した治療法を見つけることが、快適な口腔機能の回復と生活の質の向上につながるでしょう。
インプラントや入れ歯の治療でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。
当院では、虫歯・歯周病治療、インプラント、セラミック治療、ホワイトニング、歯科矯正など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら、予約・お問い合わせも受け付けておりますので、ぜひご活用ください。