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マウスピース矯正で受け口を改善できる?メリット・デメリットも

2025年10月31日
受け口にマウスピースを付けようとしているイメージ

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

受け口(反対咬合)は、下の歯が上の歯より前に出ている状態を指し、見た目だけでなく、発音や噛み合わせ、顎関節にも悪影響を及ぼすことがあります。従来は固定式の矯正装置での治療が主流でしたが、近年では目立ちにくく取り外し可能なマウスピース矯正を選択する人も増えています。

この記事では、受け口の基本的な知識から、マウスピース矯正のメリット・デメリット、治療にかかる期間・費用までを詳しく解説します。ご自身やお子さまの受け口治療を検討している方は、参考にしてください。

受け口とは

受け口のイメージ

受け口とは、下の歯が上の歯よりも前に出ている状態を指し、正式には反対咬合(はんたいこうごう)と呼ばれます。通常、上の前歯が下の前歯を軽く覆いますが、受け口の場合はこの位置関係が逆転します。

見た目に違和感があるだけではなく、噛み合わせのバランスが崩れることで、発音や食事のしづらさ、顎関節への負担など、さまざまな不調を引き起こす可能性があります。そのため、治療を検討することが多い歯並びの状態です。

受け口のままだとどんなリスクがある?

受け口のままだとどんなリスクがあるか説明するイメージ

受け口を放置すると、見た目だけでなく機能面にもさまざまな悪影響を及ぼすことがあります。まず、噛み合わせが悪いために食べ物をうまく噛み砕けず、消化器官に負担がかかることがあります。これにより、腹痛や便秘・下痢が引き起こされることもあるでしょう。

また、上下の歯がしっかり噛み合わないことで、あごや首、肩周辺の筋肉に余分な緊張が生じ、慢性的な疲労や頭痛の原因となることもあります。顎関節症を発症し、会話や咀嚼に悪影響が及ぶ可能性もあります。

加えて、発音にも影響が出ることがあります。特に、サ行やタ行など、一部の音が不明瞭になり、コミュニケーションの妨げになる可能性も考えられます。

さらに、受け口の状態では唇が閉じづらく、口呼吸になるケースが多いです。このため、口腔内が乾燥しやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まることもあるのです。唾液には自浄作用や抗菌作用がありますが、乾燥するとこれらの作用が十分に働かなくなるためです。

受け口は見た目の問題だけではなく、全身の健康や生活の質にも影響する恐れがあるため、早期に対処することが重要といえるでしょう。

マウスピース矯正で受け口は治せる?

マウスピース矯正で受け口は治せるか疑問に思う女性

マウスピース矯正は、透明で取り外し可能な装置を使い、歯を少しずつ理想的な位置へと動かしていく治療法です。特に、軽度から中等度の受け口であれば、マウスピース矯正によって改善できるでしょう。

ただし、骨格に大きなズレがある骨格性の受け口は、マウスピース矯正だけでは十分な改善が難しいケースもあります。そのため、まずは歯科医師の診断を受け、ご自身の症状に合った治療法を検討することが重要です。

マウスピース矯正だけでは治療できない場合でも、外科的な処置を併用すれば改善できる可能性もあります。

マウスピース矯正のメリット

マウスピース矯正のメリットを説明するイメージ

ここでは、マウスピース矯正のメリットをみていきましょう。

見た目が自然

取り外しができない装置を使用するワイヤー矯正と比べると、マウスピースは見た目が自然です。透明で目立ちにくいので、治療中でも人前で話すことに抵抗を感じにくいでしょう。

接客業や営業など、人と接する機会が多い方に選ばれている治療法です。

取り外しができる

マウスピース矯正は、患者さま自身で取り外せる装置です。食事の際や歯磨きの際は装置を外すため、日常生活への影響を最小限に抑えられます。好きなものを食べることができ、歯磨きも通常通り行えるのです。

矯正治療中の食事に悩む方は少なくありませんが、マウスピース矯正であれば飲食制限はありません。

痛みが少ない

ワイヤー矯正では、装置に引っ掛けられたワイヤーの力で歯が動くため、調整後に強い痛みを感じやすいです。

一方で、マウスピース矯正ではアライナーによって歯を包み、少しずつ歯を動かします。1枚のマウスピースで動かせる歯の距離は決まっていて、ワイヤー矯正のように強い力がかかることは少ないとされています。そのため、痛みが少ないとされています。

マウスピースに慣れるまでは装着時に違和感を覚えることもありますが、数日で慣れる方が多いです。歯科治療に不安を抱く患者様にも、選ばれています。

金属アレルギーのリスクがない

使用する装置には金属を使用していないため、金属アレルギーを持つ方でも安心して治療を受けられます。金属アレルギーの症状が現れるリスクがなく、体質を気にせず治療が受けられるのは大きなメリットです。

マウスピース矯正のデメリット

マウスピース矯正のデメリットを説明するイメージ

マウスピース矯正には多くのメリットがありますが、どんな治療にもデメリットが存在します。マウスピース矯正を検討されている方は、デメリットもしっかり理解しておきましょう。

装着時間を守る必要がある

マウスピース矯正では、1日20時間以上、マウスピースを装着しなければなりません。矯正力が働くのはマウスピースを装着している間だけなので、装着時間が不足すると歯の移動が進みません。

食事や歯磨きのたびにマウスピースを外すことができるため、自己管理が必要な治療法といえるでしょう。特に、仕事や学校で忙しい生活を送っていると、つい外したまま長時間過ごしてしまう人も少なくありません。

また、マウスピースの交換も、患者さま自身で行う必要があります。歯科医師に指示されたタイミングで交換しなければ、計画どおりに歯が移動しなくなります。

適応症例が限られる

マウスピース矯正は、軽度から中等度の歯列不正に対して有効です。

しかし、重度の受け口や骨格性の不正咬合には、十分な改善効果が得られない場合があります。こうした症例では、ワイヤー矯正や外科的矯正治療が必要になることもあるため、治療開始前に正確な診断を受けることが重要です。

発音に影響が出る場合がある

治療開始直後や、マウスピースを交換した直後は、発音が不明瞭になることがあります。特に、サ行やタ行などの発音に影響が出やすく、話しづらさを感じる方も少なくありません。

ほとんどは数日〜数週間で慣れてきますが、マウスピースを装着した状態での会話に違和感を覚える方もいるでしょう。

マウスピース矯正で受け口を治す場合にかかる期間

マウスピース矯正で受け口を治す場合にかかる期間のイメージ

マウスピース矯正で受け口を治す場合にかかる期間の目安は、症例によって異なります。軽度のケースであれば、約半年〜1年程度で治療が完了することもあります。中等度のケースでは、1年〜2年程度かかることが一般的です。

重度のケースでは、3年程度かかることもあるでしょう。歯を移動させて見た目を整えるだけでなく、奥歯の位置を細かく調整して噛み合わせを調整しなければならず、治療が長期化する傾向にあります。

マウスピース矯正で受け口を治す場合にかかる費用

マウスピース矯正で受け口を治す場合にかかる費用のイメージ

マウスピース矯正で受け口を治す場合にかかる費用は、患者様の口腔内の状態や使用するマウスピースのブランドによって異なります。軽度の症例であれば治療期間が短く、費用も安く済むことがありますが、重度の症例では費用の負担が増加するかもしれません。

費用相場は、部分矯正で30万円〜60万円程度、全体矯正で50万円〜100万円程度です。

まとめ

マウスピース矯正で受け口を治して笑顔の男性

受け口は、見た目の問題だけでなく、発音や筋肉、消化など多方面に影響を及ぼす可能性があります。マウスピース矯正は症状によっては非常に有効な治療法であり、目立ちにくく快適に治療を進められる点が魅力です。

マウスピース矯正でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

当院では、虫歯・歯周病治療、インプラント、セラミック治療、ホワイトニング、歯科矯正など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら予約・お問い合わせも受け付けておりますので、ぜひご活用ください。

歯ぎしりがセラミックに与える影響とは?対策も紹介

2025年10月24日
寝ている間に歯ぎしりする女性

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

歯ぎしりは、無意識のうちに行われる行動で、ストレスや噛み合わせの異常などが原因となって起こります。日中は気づかなくても、睡眠中に歯ぎしりをしている方は少なくありません。

セラミック治療後においては、セラミックの歯に対して歯ぎしりの力が加わると、さまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事では、歯ぎしりがセラミックに与える具体的な影響と、セラミックを守るためにできる対策について解説します。

歯ぎしりとは

歯ぎしりで顎がだるい女性

歯ぎしりとは、上下の歯を無意識に強く噛み合わせたりすり合わせたりする習慣のことを指します。睡眠中に無意識で行っていることが多く、本人が自覚していないケースも少なくありません。

しかし、歯ぎしりによって歯にかかる力はご自身の体重の10倍以上になることもあります。

歯ぎしりの種類

歯ぎしりには大きく分けて3つのタイプがあり、それぞれに特徴があります。

・グラインディング
・クレンチング
・タッピング

グラインディングは、歯を横に擦り合わせるタイプです。ギリギリと音が鳴ることが多く、歯の側面が擦り減るなどの特徴があります。

クレンチングは、歯と歯を強く噛みしめるタイプです。音が鳴らないため周囲に気づかれにくいですが、強い圧力がかかるため、顎関節や筋肉に大きな負担をかけます。歯周組織にダメージが蓄積するタイプといえるでしょう。

タッピングは、歯をカチカチと軽く叩きつけるように噛み合せるタイプです。音は鳴ルものの大きな横方向の力は加わらないため、グラインディングよりも目立った問題には繋がりにくいですが、顎の筋肉が痛むケースもあります。

歯ぎしりの原因

歯ぎしりの原因はひとつではありません。いくつかの要因が重なって、歯ぎしりが誘発されると考えられています。

例えば、ストレスがたまると、無意識のうちに歯ぎしりをしてしまうことがあります。精神的な緊張や不安、プレッシャーなどが、睡眠中の歯ぎしりとして現れることが多いです。

また、日中の仕事や学業、家庭でのストレスなどが、口腔筋の緊張を高める原因になる可能性もあるでしょう。

噛み合わせや姿勢が悪かったり、口内環境が変化したことも、歯ぎしりの原因となる場合があります。身体のバランスが悪くなると、頭部にかかる力を分散させるために、歯に負荷をかけるようになり歯ぎしりが誘発されるのです。

歯ぎしりがセラミックに与える影響

セラミックが欠けた部分を鏡で確認しショックを受ける女性

セラミックは、見た目の美しさと高い耐久性を兼ね備えた優れた素材ですが、過度な力が加わるとトラブルが発生することがあります。特に、歯ぎしりの癖がある方は、その無意識の力がセラミックに悪影響を与えることがあります。

以下に、具体的にどのような問題が起こるのか詳しく見ていきましょう。

セラミックの破損や欠けが起こる可能性がある

歯ぎしりによる過度な力が一点に集中して加わると、セラミックの表面に細かなヒビが入ったり、小さく欠けたりすることがあります。すぐに割れなかったとしても、力が繰り返し加わることでセラミックにダメージが蓄積されるのです。

気づかないほどの小さなヒビでも、その後の咬合(こうごう)圧力の変化や食事中の刺激によってヒビが大きくなり、最悪の場合には破損につながる可能性もあります。

セラミックが摩耗する

歯ぎしりによって、セラミックが摩耗するケースもあります。陶器であるセラミックの表面は、非常に硬く傷つきにくい特性を持っていますが、強い力がかかり続けるとすり減っていくこともあるのです。

噛み合わせが悪化するリスクがある

歯ぎしりによって噛み合わせが徐々に乱れることも問題です。セラミックは天然歯と同様の硬さを持っていますが、長時間にわたる歯ぎしりが続くと、セラミックだけでなく天然歯も摩耗していって噛み合わせが乱れていきます。

噛み合わせが乱れると、適切に力があたらない部分が出てきて過剰な負担がかかり、その部分のセラミックが欠けたり破損したりすることがあります。

セラミックの接着部にストレスがかかる

セラミックの被せ物は、土台の歯に専用の接着剤で固定されるのが一般的です。歯ぎしりによって強い力が加わることで、この接着部分にもストレスがかかります。その結果、接着剤が劣化し、セラミックが外れる可能性もあるでしょう。

歯ぎしりによるセラミックへの影響を防ぐには

手に乗せたナイトガード

歯ぎしりによる影響を完全に防ぐことは難しいですが、さまざまなアプローチでリスクを大幅に減らせます。自身のライフスタイルや口腔状態に合わせて、適切な対策を講じましょう。

ナイトガードを装着する

最も一般的かつ効果的な対策として、ナイトガードの使用があります。ナイトガードとは、睡眠中に装着する透明なマウスピースで、上下の歯の接触を防ぐことで歯ぎしりによる負荷を軽減します。

特に、硬いセラミック素材には、わずかな衝撃でもヒビが入ることがあるため、夜間の歯ぎしり対策としてナイトガードの装着は有効です。市販品もありますが、自分の歯列に合ったものを使用することでより効果的に歯ぎしりを軽減できます。

ストレスを管理する

歯ぎしりの原因として、ストレスは非常に大きな要因とされています。仕事や人間関係、家族間の悩みなど、精神的な疲れや不安が蓄積すると、無意識のうちに歯ぎしりとして体が緊張を発散しようとするのです。

セラミックを長く使い続けるためには、ストレスを溜めないように心がけることが大切です。自分なりのリラックス方法や、一日の終わりに行うストレス解消の習慣を持つことが、歯ぎしりの緩和にもつながります。

噛み合わせを調整する

セラミックの被せ物は非常に硬いため、噛み合わせがわずかに高かったり、特定の歯に過度な力が集中していたりすると、破損のリスクが高まります。歯ぎしりによって強い力が歯に加わる状態が続くと、セラミックにヒビが入ることもあるでしょう。そのため、治療後には噛み合わせのバランスを細かく調整し、全体に均等な力がかかるようにすることが重要です。

また、歯科医師に定期的に噛み合わせのチェックを受けることで、わずかなズレも早期に発見・修正できます。

セラミックの素材や設計を工夫する

歯科治療で使用するセラミックの素材や構造を選択することも、歯ぎしりの影響を軽減するために重要です。例えば、ジルコニアは非常に高い強度を持つ素材です。一般的なセラミックよりも割れにくいため、歯ぎしりのある方でもトラブルを起こしにくいでしょう。

定期的に歯科検診を受ける

歯ぎしりによるセラミックの影響を早期に発見・対処するためには、定期的な歯科検診が欠かせません。セラミックの状態や噛み合わせの変化をチェックし、必要に応じて調整や再装着を行うことで歯への負担を軽減できます。

検診の際に、歯ぎしりが疑われる場合は、歯科医師が問診や診察により詳しく確認します。

セラミックの種類を選ぶ

歯ぎしりが強い方には、強度が高く割れにくいジルコニアセラミックが推奨されることがあります。ジルコニアは人工ダイヤモンドとも呼ばれ、優れた耐久性を誇ります。

また、表面が滑らかでプラークが付着しにくいため、清掃性も優れています。オールセラミックに比べると透明感は少ないですが、奥歯などの審美性がそれほど求められない部位には非常に有効です。

ただし、ジルコニアも万能ではありません。硬すぎるため、噛み合わせのバランスが良くない場合には、他の歯に過度な負担を与える可能性があります。

治療を検討する際は、素材の特性をよく理解し、ライフスタイルやお口の状態に合ったものを選択することが重要です。歯科医師と十分に相談しながら、納得のいく選択をするようにしましょう。

まとめ

朝日を浴びながら伸びをする女性

セラミック治療は見た目の自然さと耐久性で人気ですが、歯ぎしりがあると破損のリスクが高まることがあります。歯ぎしりの影響を軽減するためには、ナイトガードの使用やストレス管理、噛み合わせの調整、強度の高い素材の選択などが有効です。

歯ぎしりとセラミック治療の関係を理解し、適切な対策を取ることで、治療の効果を長く維持できるでしょう。

セラミック治療でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

当院では、虫歯・歯周病治療、インプラント、セラミック治療、ホワイトニング、歯科矯正など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら予約・お問い合わせも受け付けておりますので、ぜひご活用ください。

歯医者で定期検診を受けるメリットとは?行う内容と頻度も解説

2025年10月17日
歯医者の定期検診のイメージ

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

歯の健康は、見た目や口臭だけでなく、全身の健康とも深く関わっています。

それにもかかわらず、痛みが出てから歯医者に行くという考え方の方は少なくありません。実際、虫歯や歯周病といった口腔内のトラブルは、早期に発見すれば軽度な治療で済むケースがほとんどです。

しかし、放置すると症状が悪化し、歯を失うリスクが高まります。そこで重要なのが、歯医者での定期検診です。定期的に歯科医師によるチェックを受けることで、予防的なケアが可能になります。

今回は、定期的に歯医者で検診を受けるメリットや行う内容について詳しく解説します。歯医者で検診を受ける頻度や費用についても解説しますので、お口の健康を守りたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

歯医者で定期検診を受けるメリット

歯医者で定期検診を受けるメリットのイメージ

はじめに、歯医者で定期検診を受けるメリットについて解説します。

虫歯や歯周病の早期発見・早期治療につながる

定期検診を受ける1つ目のメリットは、虫歯や歯周病などのトラブルを早い段階で発見できることです。

虫歯や歯周病は、初期段階では痛みや不快感がほとんどなく、自分では気づきにくいものです。そのため、異変を感じてから歯医者に行くと、すでに症状が進行しており、大がかりな治療が必要になるケースもあります。

例えば、初期の虫歯であれば、虫歯部分を削って詰め物をすることで済むケースが多いですが、神経まで進行すれば根管治療が必要になり、治療費も時間もかかります。歯周病が進行すれば歯を支える骨が溶かされ、抜歯を余儀なくされるケースもあります。

定期的に検診を受けることで、こうした病気を初期のうちに発見・対処でき、長期的に歯を健康に保つことが可能です。

将来的な医療費の削減につながる

定期検診に通うことは、将来的にかかる治療費を抑えるうえでも非常に有効です。

虫歯を初期の段階で治療すれば2,000円〜4,000円程度で済みますが、進行して根管治療が必要になると、1本あたり数万円かかることもあります。歯周病が進行して外科的治療が必要になると、自費診療の場合には10万円以上かかることもあります。

このように、定期的に歯医者でチェックとケアを受けることで、大掛かりな治療を回避でき、結果的に生涯の医療費を大幅に減らすことが可能です。予防に時間と少しの費用をかけることで、将来的な経済的負担を軽減できるのは、大きなメリットといえるでしょう。

口臭予防や見た目の清潔感の維持につながる

定期検診を受けることで得られる大きなメリットのひとつが、口臭の予防と見た目の清潔感の維持です。

口臭の主な原因は、歯垢や歯石、舌の汚れなど、口の中に存在する細菌によって生じるガスです。毎日の歯磨きだけでは取り切れない歯石や細菌の塊は、時間とともに蓄積し、知らず知らずのうちに口臭の原因となっていきます。

定期検診では、専用の器具や機械を使用して歯垢や歯石を丁寧に除去してもらえるため、これらの細菌の繁殖を防ぐことができます。

また、タバコのヤニやコーヒー・紅茶などによる着色汚れ(ステイン)も、クリーニングによって除去することが可能です。これにより、歯の本来の白さやツヤがよみがえり、見た目の印象が明るく清潔に保たれます。

歯医者の定期検診で行う内容

定期検診でスケーリングを受ける様子

定期検診では、単に虫歯や歯周病の有無を確認するだけでなく、口腔内の状態を総合的にチェックし、トラブルの予防と改善を目指します。

歯や歯茎の健康チェック

歯科医師が口腔内をくまなく観察し、虫歯や歯周病、噛み合わせの異常、歯のぐらつきなどを確認します。特に初期の虫歯は痛みがなく、ご自身では気づきにくいため、定期的にチェックを受けることが非常に重要です。

また、歯と歯茎の境目にある歯周ポケットの深さを測定する検査が行われます。健康な歯茎であれば1〜3mm程度ですが、炎症や歯周病が進行している場合はそれ以上に深くなります。この検査によって、歯周病の進行度や改善の必要性が判断されます。

さらに、必要に応じてレントゲン撮影を行い、目に見えない歯の内部や、歯を支える顎の骨の状態まで詳しく調べることもあります。

歯垢や歯石の除去(スケーリング)

定期検診で行われる代表的な処置のひとつが、歯垢や歯石の除去です。

歯垢(プラーク)は、食べかすと細菌が混ざり合ってできる粘着性の汚れで、放置すると硬化して歯石になります。歯石は歯の表面だけでなく、歯と歯茎の境目にも付着し、虫歯や歯周病、さらには口臭の原因にもなるため、定期的に取り除く必要があります。

スケーリングでは、専用の器具を使って歯垢や歯石を丁寧に除去します。主に使われるのは超音波スケーラーと呼ばれる機械で、微細な振動と水流によって歯石を効果的に取り除くことができます。細かい部分や仕上げには、ハンドスケーラーを使用します。

この処置によって歯の表面がなめらかになり、汚れが再付着しにくくなる効果もあります。また、歯茎の中に隠れている歯石を除去することで、歯周病の進行を食い止めることが可能です。

ブラッシング指導や生活習慣のアドバイス

定期検診では、虫歯や歯周病の治療だけでなく、それらを予防するための日常的なケア方法についてのアドバイスも受けられます。

毎日歯を磨いているつもりでも、磨き方の癖や力の入れ方、歯ブラシの使い方によって、十分に汚れが取れていないケースがよく見られます。歯科医院では、患者さんのお口の状態に合った歯磨きの仕方を指導するブラッシング指導が行われます。

検診では、染め出し液を使って磨き残しの部位を可視化したうえで、正しい歯磨きの方法を丁寧に教えてくれます。例えば、歯と歯の間や奥歯の裏側など、磨きにくい部分には歯間ブラシやデンタルフロスの使用を勧められることもあります。

さらに、生活習慣に関する指導も行われます。たとえば、間食の頻度が多い、甘い飲み物を頻繁に飲む、喫煙習慣があるなど、虫歯や歯周病のリスクを高める行動に対して、改善のための助言をもらえるのです。

睡眠中の歯ぎしり・食いしばりが歯に悪影響を与えている場合には、マウスピースの使用をすすめられることもあります。

歯医者で定期検診を受ける頻度

歯医者で定期検診を受ける頻度のイメージ

一般的には、3ヶ月から6ヶ月に1回のペースで検診を受けるのが理想とされています。この間隔であれば、虫歯や歯周病といったトラブルが進行する前に、早期に異常を見つけやすくなります。

とはいえ、検診を受ける頻度は人それぞれです。たとえば、歯周病のリスクが高い方や、過去に大きな治療を受けた経験のある方、矯正治療をしている方などは、より短い間隔での受診が必要になる場合があります。

逆に、普段からしっかりとセルフケアができていて、口の中の状態も安定しているような方であれば、半年に1回の受診でも十分なケースもあります。

このように、患者さんによって検診を受ける頻度は異なるため、歯科医師の指示に従いましょう。

歯医者の定期検診にかかる費用

歯医者の定期検診にかかる費用のイメージ

通常、定期検診では虫歯や歯周病のチェック、歯石の除去、簡単なクリーニングなどの処置が行われますが、これらのほとんどは保険の範囲内で受けることができます。3割負担の方であれば、1回あたりおよそ1,000円〜3,000円前後が一般的な自己負担額の目安です。

ただし、すべての処置に保険が適用されるわけではありません。例えば、PMTCという専門的な処置などの審美目的や予防目的の処置は自費診療となることが多く、5,000円〜1万円ほどかかります。

まとめ

歯医者で定期検診を受ける笑顔の女性

歯医者での定期検診では、虫歯や歯周病の有無を確認するだけでなく、歯石の除去やブラッシング指導などが受けられます。これによって、虫歯や歯周病の早期発見だけでなく、口臭の改善や将来的にかかる治療費の削減につながるのです。

一般的には3ヶ月〜6ヶ月に1回の頻度で定期検診に通うことが推奨されています。健康保険が適用されるケースが多いため、大きな負担なく続けられるのも魅力です。

痛くなってから歯医者に行くのではなく、痛みなどの症状が現れる前から定期的に歯医者に通う習慣をつけましょう。

お口の健康を守りたいとお考えの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

当院では、虫歯・歯周病治療、インプラント、セラミック治療、ホワイトニング、歯科矯正など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら予約・お問い合わせも受け付けておりますので、ぜひご活用ください。

インビザラインの治療期間は?治療が長引くケースも

2025年10月10日
インビザラインと治療スケジュールを書いたカレンダー

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

インビザラインは、従来のワイヤー矯正とは異なり、目立ちにくく取り外しが可能なマウスピース型の矯正方法です。近年、多くの方がこの治療法を選択する中で、治療期間に関して疑問や不安を抱える方も少なくありません。

「治療がいつまで経っても終わらないのではないか」と不安になることもあるでしょう。また、患者さまの状況によっては、想定よりも長引くケースもあるため、あらかじめ理解しておくことが大切です。

この記事では、インビザラインの基本的な治療期間、治療が長くなる主な理由、そしてスムーズに終わらせるためのポイントまで詳しく解説します。インビザラインを検討中の方や、すでに治療を受けている方は、ぜひ参考にしてください。

インビザラインとは

歯の矯正に使用するインビザライン

インビザラインは、透明なマウスピース型の矯正装置を使用して歯列を整える方法です。従来の矯正装置とは異なり、金属製のワイヤーやブラケットを使用しないため、見た目の違和感や日常生活への影響が少ないのが特徴です。

インビザラインでは、歯の動きを3Dシミュレーションで確認しながら、患者さま一人ひとりに合わせたオーダーメイドのマウスピースを装着して治療を進めます。マウスピースを1〜2週間に一度、患者さま自身で交換しながら少しずつ歯を理想の位置へと動かす仕組みです。

インビザラインの治療期間

インビザラインにかかる治療期間のイメージ

インビザラインの治療期間は、症例の難易度やお口の状態によって異なります。一般的には、歯を大きく動かさない軽度な矯正であれば、3~6か月、全体的に歯の位置を調整する場合は1年〜3年程度かかるケースが多いです。

ただし、歯並びや噛み合わせの状態は見た目だけでは判断できません。歯科医院でレントゲン撮影や歯型のスキャンを行って分析し、目安を確認する必要があります。

インビザラインの治療期間が長くなるケース

インビザラインの治療期間が長くなるケースを伝える歯科衛生士の女性

インビザラインでの矯正治療は、多くの場合3ヵ月〜3年程度で完了します。

しかし、治療期間が延びてしまうケースも存在します。ここでは、どのようなケースでインビザラインの治療期間が長くなるのか、確認していきましょう。

交換時期や装着時間が守られていない

インビザラインでは、次のマウスピースに交換するタイミングや、1日に装着する最低時間といったルールが設けられています。これらを守らないと、計画通りに歯を動かすことができず、治療期間が延びる原因になります。

例えば、交換時期を過ぎても同じマウスピースを使い続けた場合、歯の移動が進みません。マウスピースは少しずつ違う形状で作られていて、マウスピースと実際の歯並びのずれを利用して歯を移動させています。そのため、同じマウスピースを長く使い続けても、歯並びは整わないのです。

また、装着時間が足りないと、歯が正しい位置に移動しません。治療計画は、1日20時間以上マウスピースを装着する前提で立てられていることが多いです。装着時間が20時間未満の日が続くと、計画通りに歯が移動しない可能性が高いです。

歯の動きが遅い

歯が動く速度には個人差があります。インビザラインに限らず、矯正治療では顎の骨の吸収と再生を利用して歯を移動させているため、代謝が良い人のほうが歯の移動が早い傾向があります。

そのため、若い方のほうが歯が動きやすく、加齢によって代謝が落ちている中高年の患者さまでは歯が動く速度が遅くなることが多いです。

歯ぎしりや食いしばりの癖がある

歯ぎしりや食いしばりなどの癖は、歯に強い負荷をかけます。無意識のうちに強い力で噛みしめる癖がついている人は、歯に強い衝撃を与えている可能性もあるでしょう。

こうした癖がある場合、マウスピースが変形したり破損したりする可能性があります。その結果、装着時間を守ることができなくなると、歯が計画通りに動かなくなります。

また、歯ぎしりや食いしばりによって歯周組織に炎症が起こると、歯の移動に影響を及ぼす可能性があります。

虫歯や歯周病が発生した

虫歯や歯周病が発生した場合、その治療を優先するのが一般的です。軽度の虫歯であれば治療中にマウスピースを外し、治療後に際装着するだけで終わる可能性もありますが、進行している場合はマウスピースを外す時間が長くなります。

また、虫歯治療によって歯の形状が変わると、マウスピースを再作成しなければならなくなるケースもあります。再作成には2週間から1ヶ月ほどかかることが多く、この間は矯正治療を進められません。

虫歯や歯周病が重症化すると、痛みなどの影響でマウスピースを装着できなくなることもあるでしょう。

マウスピースを破損・紛失した

インビザラインで使用するマウスピースは、装着時の違和感を軽減できるよう薄く作られています。口内で耐えられるような素材ではありますが、強い衝撃が加わることは想定されていません。

そのため、マウスピースの着脱時に強い力を加えたり、落下させたりすると、破損する可能性があります。また、外したマウスピースを紛失する方も少なくありません。

この場合、マウスピースを作り直す必要があるので、治療期間が延長されます。

インビザラインでの治療を計画どおりに終わらせるためには

インビザラインの装着時間を守って治療をする女性

インビザラインでの治療を計画通りに終わらせるためには、以下の4つを心がけることが大切です。

交換時期・装着時間を守る

マウスピースは治療計画に沿って作成されており、1装置ごとに歯を移動させられる距離は決まっています。マウスピースを予定よりも早く交換すると歯がしっかりと移動せず、予定より遅く交換すると歯の移動が進まなくなります。

そのため、治療計画に沿って交換することが重要です。

また、装着時間も守ることを意識しましょう。1日の装着時間は20時間以上とされることが一般的ですが、20時間未満の日が続くと歯の移動が計画からずれていきます。

計画通りにインビザライン矯正を進めるためには、マウスピースの交換時期・装着時間を守ることが欠かせないといえるでしょう。

マウスピースの変形・破損・紛失を防ぐ

マウスピースが変形・破損した場合、そのマウスピースは装着できなくなるため治療計画が狂う可能性があります。食事の際には必ず外し、収納ケースに入れて保管しましょう。水以外の飲み物を飲む時も、マウスピースは外す必要があります。

外したマウスピースは、バッグの中にそのまま入れたり、ティッシュに包んだりしないようにしましょう。食事の際にティッシュに包んでいて、誤って捨ててしまう方は非常に多いです。

また、マウスピースは熱に弱いため、煮沸消毒や熱湯消毒は避けてください。綺麗にしたいという気持ちから熱湯をかければいいのではと考える方は少なくありませんが、マウスピースが変形する恐れがあります。

マウスピースは適切に管理し、変形や破損・紛失を防ぎましょう。

虫歯や歯周病を予防する

マウスピースを装着していると、歯に唾液が触れにくくなります。唾液には汚れを洗い流す自浄作用や、細菌の働きを抑える効果がありますが、インビザライン矯正中は唾液の働きがうまく働かない可能性があるのです。

治療をスムーズに進めるには、口腔内を清潔に保って虫歯や歯周病を予防することが重要です。歯磨きを丁寧におこない、デンタルフロスや歯間ブラシ、うがい薬なども活用しましょう。

定期的に歯科医院でクリーニングを受けるなど、プロの力を借りることも効果的です。

口腔悪習癖を改善する

口腔悪習癖とは、口周りの悪い癖のことを指します。具体的には、下記が挙げられます。

・頬杖をつく
・爪や唇を噛む
・口呼吸
・歯を舌で押す

このような癖がある場合、口周りに不適切な力が加わって歯並びが乱れることがあります。インビザラインで歯並びを整えようとしていても、歯並びが乱れるような力が加わり続けると治療の効果が減少してしまうでしょう。

そのため、矯正治療前や矯正治療中に口腔悪習癖を改善できるよう意識する必要があります。

定期検診を欠かさない

インビザライン矯正中は、1〜2か月ごとに歯科医院を受診して口内の状態を確認してもらう必要があります。歯の動きに異常がないか、虫歯や歯周病の兆候がないかを確認し、必要に応じて治療や調整を行います。

定期検診を受けていれば、問題があっても早期に対応して、トラブルを防ぐことができるでしょう。歯科医師の指示に従って受診するようにしてください。

まとめ

インビザラインで綺麗な歯並びを手に入れた女性

インビザライン矯正には、一般的に3か月から3年程度の期間がかかります。計画通りに治療を進めるためには、口腔ケアを徹底すること、マウスピースを適切に管理すること、検診を欠かさないことが重要です。

インビザライン矯正でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

当院では、虫歯・歯周病治療、インプラント、セラミック治療、ホワイトニング、歯科矯正など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら予約・お問い合わせも受け付けておりますので、ぜひご活用ください。

セラミックの歯が取れたときにやってはいけないこととは?原因と対処法も

2025年9月26日
セラミックの歯のイメージ

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

セラミックの歯が突然取れると、多くの人が驚きや不安を感じます。見た目だけではなく、食事や会話にも影響が出るため、すぐに何らかの対応を取ろうとする方も少なくありません。

しかし、焦って間違った対処をすると、かえって症状を悪化させたり再治療が必要になったりするリスクが高まります。

この記事では、セラミックの歯が取れる原因や取れたときの正しい対処法、そしてやってはいけないことまで、分かりやすく解説していきます。さらに、セラミックの歯が取れないようにするための予防策もご紹介します。

正しい知識を身につけて、万が一のトラブルにも冷静に対応できるようにしておきましょう。

セラミックの歯が取れる主な原因

セラミックの歯が取れる原因になる固いせんべいを食べる女性

セラミックの歯は、天然歯に近い見た目と耐久性を兼ね備えており、審美性を重視する治療でよく選ばれます。

しかし、どれほど高品質な素材でも、一定の条件が重なると取れる可能性はあります。セラミックの歯が取れる原因を正しく理解しておくことで、トラブルの予防や早期対応につながります。

以下では、セラミックの歯が取れる主な原因を解説していきます。

噛み合わせのズレや強い負荷

セラミックの歯が取れる原因のひとつが、噛み合わせのズレや日常的にかかる強い力です。特に奥歯は、咀嚼時に大きな力が加わるため、装着した土台に微妙なズレが生じていると、その力がダイレクトに接着面にかかります。

また、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は無意識のうちに過剰な力をかけていることが多く、これが継続的にセラミックに負担をかけ、やがて脱離につながるのです。

接着剤の劣化や不適切な処置

セラミックの歯を固定するために、専用の歯科用接着剤を使用します。

しかし、この接着剤にも寿命があります。経年劣化によって接着力が弱くなると、セラミックが少しずつ浮いてきて、最終的には完全に取れることがあります。

また、初回の装着時に歯科医院での処置が不十分だった場合も接着力が弱まりやすく、数年以内に取れるケースがあります。

土台となる歯のトラブル

セラミックの歯は、基本的に自身の歯や人工的な土台に被せて固定されています。

しかし、土台となる歯に虫歯や感染、破折などのトラブルがあると接着の安定性が損なわれ、セラミックが取れる原因になります。特に、神経を抜いた歯は時間が経つと脆くなりやすいため、土台が割れたり崩れたりして、セラミック自体が安定して保持できなくなる場合もあります。

見た目には問題がなさそうでも、内部で問題が進行していることがあるため、注意が必要です。

食生活や生活習慣による影響

セラミックの歯は金属に比べると硬くて丈夫ですが、それでも過度な使用や偏った食生活によってダメージを受けることがあります。特に、せんべいや氷を噛む、毎日ガムを噛むなどの習慣がある方は、セラミックや接着面への負担が重なるため、取れるリスクが高まります。

セラミックの歯が取れたときの対応

セラミックの歯が取れたときの正しい対応について説明するイメージ

セラミックの歯が取れたとき、多くの方が驚きと同時に「どうすればよいのか」と戸惑うものです。焦って対処を誤ると、症状が悪化したり再治療に余分な費用や時間がかかったりすることもあります。大切なのは、冷静に状況を把握し、適切な処置を行うことです。

ここでは、セラミックの歯が取れたときにできる応急処置や歯科医院で受けられる治療について詳しく解説します。正しい知識を持つことで、トラブルが起きた際にも安心して対応できるようになるでしょう。

取れたセラミックを保存する

セラミックの歯が取れた場合、最初にすべきことは落ち着いて、清潔に保管することです。取れたセラミックが割れていない場合、再接着が可能なこともあります。

汚れが付着している場合は、流水で軽く洗ってから乾いたティッシュや清潔なガーゼに包み、硬い容器やケースに入れて保管しましょう。また、素材を傷める可能性があるため、アルコールや熱湯での消毒は避けてください。

取れた部分に触らない

セラミックが外れた部分は刺激に敏感になっていることがあるので、無理に触れたり、市販の接着剤などで戻そうとしたりするのは厳禁です。

取れたばかりの状態であれば再利用できる可能性がありますが、誤った処置によって接着面を汚したり歯やセラミックを破損させたりすると、再装着が難しくなります。取れた箇所に食べ物が入らないよう注意しつつ、極力触れずに歯科医師の診察を受けるようにしましょう。

早めに受診する

セラミックの歯が取れた場合は、できるだけ早く歯科医院を受診することが重要です。放置すると露出した歯が虫歯になったり、噛み合わせがずれて他の歯に負担がかかったりする恐れがあります。

また、仮に痛みがない場合でも、見えない部分で問題が進行していることもあります。早期に診てもらうことで、再接着や再製作といった適切な処置が可能となり、トラブルの長期化を防げます。特に、土台の歯のトラブルが疑われる場合は、迅速な対応が求められます。

セラミックの歯が取れたときにやってはいけないこと

セラミックの歯が取れたときにやってはいけないことを説明する歯科医

セラミックの歯が突然取れたとき、自己判断で行動する人は少なくありません。

しかし、誤った対処をすると、症状の悪化や再治療の困難化、さらには歯の寿命を縮めることにもなりかねません。特に、安易に接着剤を使用したり痛みをごまかして放置したりすると、結果的に歯を失うリスクも高まります。

ここでは、セラミックの歯が取れたときに絶対に避けるべき行動について、具体的に解説していきます。冷静な判断と知識が、歯の健康を守る第一歩となるでしょう。

市販の接着剤で戻そうとする

最も避けるべき行動の一つが、市販の接着剤を使って、自分でセラミックの歯を戻そうとすることです。市販されている接着剤は歯科用のものとは異なり、口腔内での安全性や耐久性が考慮されていません。

また、接着剤がセラミックや歯の表面に残っていると再接着ができなくなり、場合によってはセラミックを作り直すことになるかもしれません。さらに、誤って飲み込むリスクもあるため、絶対に使用しないようにしましょう。

強い力で噛む

セラミックが取れた状態で強く噛んだり、せんべいやナッツなどの硬い食べ物を食べたりすると、土台の歯や周囲の歯に大きな負担がかかります。また、強い力がかかるとセラミック自体にヒビが入ることもあるため、慎重な対応が求められます。

特に、セラミックが取れた箇所に金属製の土台が露出している場合、そこに強い力が加わると歯根にダメージを与え、結果的に抜歯が必要になることもあります。

放置する

痛みがない、見た目が気にならないといった理由で、セラミックの歯が取れた状態を放置するのは非常に危険です。セラミックの歯が取れた部分には細菌が侵入しやすく、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。

特に、神経のない歯は痛みを感じにくいため、気付かないうちに内部で炎症が進行しているケースもあります。結果的に治療が難航し、インプラントや入れ歯といった大掛かりな治療が必要になる可能性もあるため、放置せず早めに受診しましょう。

セラミックの歯が取れるのを予防するには

セラミックの歯が取れるのを予防する為に定期歯科検診を受けるイメージ

セラミックの歯は、見た目の美しさと機能性を兼ね備えた優れた素材ですが、使い方を怠ると脱離や破損といったトラブルにつながります。長く快適に使用するためには、日頃の生活習慣の見直しや歯科医院での定期的なチェックが重要です。

ここでは、セラミックの歯が取れるリスクを軽減するために実践したい予防策を紹介します。

定期的に歯科検診を受ける

セラミックの歯を長持ちさせるためには、定期的な歯科検診が欠かせません。検診では、セラミックの適合状態や接着力、噛み合わせに問題がないかなどを医師の目でチェックしてもらえます。

また、土台となる歯の虫歯や歯周病の兆候も早期に発見できるため、トラブルを未然に防ぐことができます。少なくとも半年に1回のペースで検診を受けることが推奨されていますが、歯ぎしりの傾向がある方や過去に脱離を経験している方は、より短い間隔で通うと安心です。

歯ぎしり・食いしばりの対策をする

無意識に行う歯ぎしりや食いしばりは、セラミックの歯にとって大きな負担となります。特に、就寝中の歯ぎしりは気づきにくいため、朝起きたときに顎が疲れている、歯が擦り減っているなどの症状がある場合には注意が必要です。

対策としては、就寝時のナイトガード(マウスピース)の装着が挙げられます。これによって歯やセラミックにかかる力を分散させることが可能です。ナイトガードは歯科医院で自分の歯に合わせて作製してもらうことができ、違和感も少なく使用できます。

正しいブラッシングとケアを心がける

セラミックの歯を長持ちさせるうえでは、毎日のブラッシングも重要です。セラミック自体は虫歯になりませんが、接着部分や隣接する歯は虫歯や歯周病になるリスクがあります。正しいブラッシングを行い、歯と歯茎の境目や細かい部分にまで丁寧に磨くことが必要です。

また、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、歯垢を効率よく除去できます。研磨剤が強すぎる歯磨き粉の使用はセラミックの表面を傷つける恐れがあるため、歯科医師に相談して選ぶようにしましょう。

食習慣の見直しをする

食生活もセラミックの歯の寿命に大きな影響を与えます。氷や硬い飴、骨付き肉などを日常的に噛んでいると、セラミックに過度な負担がかかり、ヒビや脱離の原因になります。

また、レモンや炭酸飲料など酸性の飲食物を頻繁に摂取する習慣も歯の表面や接着部分に悪影響を及ぼします。歯にやさしい食材を意識的に取り入れることで口腔環境を整えられ、セラミックのトラブル予防につながります。

まとめ

散歩を楽しむ女性

セラミックの歯が取れたとき、焦って自己判断で行動すると、かえって症状を悪化させることがあります。市販の接着剤を使ったり、強い力で噛んだりするのは絶対に避けるべき行動です。

まずは、取れたセラミックを丁寧に保管し、なるべく早く歯科医院を受診することが大切です。また、セラミックが取れる原因には噛み合わせのズレや接着剤の劣化、土台のトラブルなどがあります。

トラブルを未然に防ぐためには、定期的な歯科検診や正しいセルフケアが欠かせません。今回ご紹介した内容を参考に、正しい知識を持って日々のケアに取り組むことで、セラミックの歯をより長く、安心して使い続けられるでしょう。

セラミックの歯でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

当院では、虫歯・歯周病治療、インプラント、セラミック治療、ホワイトニング、歯科矯正など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら予約・お問い合わせも受け付けておりますので、ぜひご活用ください。

インビザライン・ファーストは何年くらいかかる?治療期間や治療の流れ

2025年9月19日
ケースに入ったインビザラインファーストのマウスピース

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

インビザライン・ファーストとは、乳歯と永久歯が混在する時期のお子さまに用いられるマウスピース型の矯正装置のことです。透明な取り外し可能な装置を使用するため「手軽に始められそう」と感じる保護者の方も多いかもしれません。

しかし、治療期間がどの程度かかるのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、インビザライン・ファーストの治療期間や、期間が長くなりやすいケース、治療の流れ、スムーズに進めるために心がけることなどについて解説します。お子さまの矯正を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

インビザライン・ファーストの治療期間

インビザライン・ファーストの治療期間のイメージ

インビザライン・ファーストの治療期間の目安は、1年~1年半程度です。これはあくまでも目安であり、実際にはお子さまの歯並びや顎の状態、治療の進み具合によって変動します。

まず、小児矯正は1期治療と2期治療に分けられます。

1期治療は、永久歯が生え揃うためのスペースを確保するために顎の成長を促し、歯列を広げることを目的として行われます。2期治療は、大人の歯列矯正と同様に、歯の位置を調整して、よりきれいな歯並びに整えるための治療です。

インビザライン・ファーストは1期治療に用いられる矯正装置ですので、最大でも1年半程度で終わるように計画を立てることが一般的です。

インビザライン・ファーストの治療期間が長くなりやすいケース

インビザライン・ファーストの治療期間が長くなりやすいケースを考える親子

インビザライン・ファーストは治療計画に基づいて進められますが、場合によっては期間が長引くことも考えられます。期間が長くなりやすいケースは、以下が挙げられます。

マウスピースの装着時間が不足している

インビザライン・ファーストでは、マウスピースを1日20~22時間装着する必要があります。装着時間が不足すれば、当然ながら治療計画通りに歯を動かすことができません。そのような場合、歯の動きが遅れ、長引く可能性が高いでしょう。

特に、お子さまの場合、保護者の方が見ていないところで外す可能性もゼロではありません。確実に装着を続けていけるかどうか確認することも大切です。

マウスピースの交換時期を守っていない

インビザライン・ファーストでは、装置を定期的に新しいものに交換しながら段階的に歯並びを整えていきます。計画どおりに歯を動かすためには、装着時間を守るだけでなく、交換時期を守ることも重要です。

例えば、交換時期を過ぎても同じマウスピースを使い続けていても歯は動いていきません。なお、装着時間が不足していて予定通りに歯が動いていない場合、新しいマウスピースを装着できなくなる可能性があります。そのため、装着時間と交換時期の両方を守ることが大切です。

口腔内の清潔が保てていない

口腔内を清潔に保てていない場合、虫歯や歯周病によって治療期間に影響が及ぶ可能性が考えられます。例えば、矯正中に虫歯や歯周病を発症した場合、それらの治療を優先しなければなりません。

また、治療によって歯並びが変化することにより、装置が合わなくなる可能性も考えられるでしょう。マウスピース矯正中は、唾液による自浄作用が働きにくく、虫歯のリスクが高まります。そのため、普段以上に丁寧に口腔ケアを行う必要があります。

装置を破損や紛失する

装置を破損や紛失した場合、マウスピースの作り直しが必要になる可能性があります。そのような場合には、治療を中断しなければならないため期間が長くなる可能性が高いでしょう。なお、再作製には1ヶ月程度かかることがあります。

先にも述べた通り、装置は1日に20~22時間装着する必要があるため、学校にも装着していかなければなりません。そのため、保護者の方の目の届かないところでもお子さまが装置を適切に取り扱いできるようサポートすることも重要です。

インビザライン・ファーストの治療の流れ

歯並びをチェックしてもらう子ども

インビザライン・ファーストの一般的な流れは、以下の通りです。

カウンセリング

インビザライン・ファーストを始めるにあたって、まずはカウンセリングを受けていただきます。カウンセリングでは、お子さまの歯並びの悩みや改善したい点などについてヒアリングします。

また、インビザライン・ファーストの詳しい内容や流れ、費用などについてもお伝えしますので、疑問があればお気軽にご相談ください。

精密検査

治療を始める前には、口腔内のチェックやレントゲン検査、顔写真や口腔内の写真撮影などを行います。この段階で虫歯や歯周病が見つかった場合には、それらの治療を優先的に行うことが一般的です。

治療計画の作製

インビザライン・ファーストでは、3Dスキャナーを使用して口腔内をスキャンし、デジタルデータを作製します。このデータを元にして、完了までの詳細な計画が立てられます。

治療開始から治療完了までの歯並びのシミュレーションは、お子さまと保護者の方も確認することが可能です。

マウスピースの作製

治療計画に基づいて患者さま一人ひとりに合わせたカスタムメイドのマウスピースを作製します。

矯正開始

マウスピースが手元に届いたら矯正開始となります。最初に装置を装着する際は、クリニックで行い、しっかりフィットしているかを確認します。この際に、装置の適切な着脱方法やお手入れ方法、注意事項なども説明されます。

定期検診

矯正期間中は、定期的にクリニックでチェックを受けていただきます。治療計画通りに歯が動いているか、適切なセルフケアができているか、虫歯や歯周病になっていないかなどを確認するためです。なお、定期検診の頻度は6~8週間に一回程度が目安です。

保定期間

矯正完了後は、保定期間に入ります。保定期間とは、一度整えた歯並びが元に戻るのを防ぐための期間のことで、保定期間中はリテーナーと呼ばれる保定装置を装着します。

保定を怠ると歯並びが乱れたり元に戻ったりする可能性があるため、歯科医師の指示通りにリテーナーを装着することが大切です。

治療をスムーズに進めるために心がけること

定期的に歯科医院でチェックを受ける子ども

インビザライン・ファーストをスムーズに進めるためには、以下の点を心がけましょう。

装着時間や交換時期を守る

計画通りに進めるためには、装着時間を守ることが最も重要です。1日に20~22時間装着しなければならないので、食事や口腔ケアの時間以外は、常に装置を装着する必要があります。

お子さまの場合、食事の後に着け忘れたり、就寝前に着け忘れて寝たりすることも多いため注意が必要です。また、交換時期を忘れることがないように保護者の方がしっかりとサポートしてあげましょう。

装置を適切に扱う

お子さまの場合、マウスピースをつけたまま飲食をしたり、無理やり引っ張って外したりすることもあるかもしれません。

しかし、マウスピースは非常に薄い素材でできているため、無理な力をかけると変形や破損を起こすリスクが高くなります。先にも述べた通り、変形や破損を起こした場合には装置を作り直すために治療を一旦ストップしなければなりません。

また、学校や外出先などで外してうっかり紛失した場合にも作り直しが必要になるでしょう。インビザライン・ファーストの治療をスムーズに進めるためにも、装置は適切に取り扱ってください。

口腔ケアを丁寧に行う

通常、私たちの口の中は、唾液で潤った状態になることで細菌の繁殖が抑制されています。

しかし、装置が歯にぴったりと密着した状態では、唾液が歯に行き渡らないため、細菌が繁殖しやすい環境になります。その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まるため、普段以上に丁寧にケアをすることが重要です。

定期的にチェックを受ける

矯正期間中には、歯科医師の指示通りに定期的なチェックを受けることが大切です。定期的な受診では、計画通りに歯が動いているかだけでなく、虫歯や歯周病の有無なども確認します。

定期的に歯科医師のチェックを受けることにより、万が一、トラブルが発生した場合にも早期に対処できるでしょう。

まとめ

笑顔のお母さんと女の子

インビザライン・ファーストの治療期間の目安は、1年~1年半程度です。装着時間が不足した場合、治療期間が長くなる可能性も考えられます。できるだけスムーズにインビザライン・ファーストを進めるためにも、装着時間や交換時期、取り扱い方法などを守りましょう。

お子さまの矯正治療について疑問や不安がある方は、お気軽にご相談ください。

インビザライン・ファーストでお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

当院では、虫歯・歯周病治療、インプラント、セラミック治療、ホワイトニング、歯科矯正など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら予約・お問い合わせも受け付けておりますので、ぜひご活用ください。

インプラントと入れ歯の違いは何?ご自身に合った治療法を選択する方法も

2025年9月12日
インプラントと入れ歯のイメージ

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

歯を失った際の治療方法には、いくつか種類があります。選択する種類によって審美性や機能性などが異なるため、正しい知識を持つことが重要です。

本記事では、インプラントと入れ歯の違いや、適切な治療法を選ぶ方法など解説します。

インプラントとは

インプラントのイメージ

インプラント治療は、失った歯の機能を回復させる歯科治療法のひとつです。あごの骨にスクリュー状の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯冠を装着する治療法です。

チタン製のインプラント体が骨と結合することで、天然歯に近い安定性を実現できます。治療は通常3つの段階に分かれ、外科手術でインプラント体を埋入して骨との結合を待ってから、最終的な人工歯を装着します。

インプラント治療の主なメリット

インプラント治療の最大の利点は、天然歯とほぼ同等の咀嚼力を発揮できることです。骨に直接固定されているため、硬い食べ物でも安心して噛むことができ、食事の制限がほとんどありません。

審美面においても大きなメリットがあります。インプラントで使用される上部構造はセラミックを使用するケースが多く、周囲の歯と調和するような色調や形態に調整できます。

また、隣接する健康な歯を削る必要がないため、周りの歯への負担を最小限に抑えることが可能です。メンテナンス面では、特別なケア用品を必要とせず、通常の歯磨きと定期的な歯科検診で長期間使用できるケースが多いです。

インプラント治療のデメリットと注意点

一方で、いくつかの制約や注意点も存在します。外科手術が必要となるため、全身状態や骨の状態によっては治療を受けられない場合があります。糖尿病や心疾患などの全身疾患がある方、骨密度が不足している方は、事前の詳しい検査と慎重な判断が必要です。

費用は1本あたり約30~50万円と高額になることが多く、保険適用外のため経済的負担も少ないとはいえません。また、治療期間も3~6か月程度と長いため、すぐに歯の機能を回復したい方には不向きでしょう。

入れ歯とは

入れ歯のイメージ

入れ歯は、歯を失った部分を補う伝統的で確立された治療法です。大きく分けて、部分入れ歯と総入れ歯の2種類があります。

部分入れ歯は、失った一部の歯を補うもので、残っている健康な歯にバネをかけて固定します。総入れ歯は、すべての歯を失った場合に使用され、歯茎の上に装着して使用する仕組みです。

素材には保険適用のレジン製のものから、自費診療で使用される金属床やシリコン素材までさまざまな選択肢があります。

入れ歯治療の主なメリット

入れ歯治療の最大の利点は、外科手術が不要で、健康状態に左右されず基本的にはどのような方でも受けられることです。高齢者や全身疾患をお持ちの方でも、安心して治療を受けられるでしょう。

費用面でも大きなメリットがあります。保険適用の部分入れ歯であれば約5,000〜1万5,000円と、経済的負担を大幅に抑えることができます。また、治療期間も短く、通常1~2か月程度で完成するため、早期に歯の機能を回復したい方に選ばれています。

全国のすべての歯科医院で作製可能な点も大きな安心材料でしょう。また、取り外し可能なため清掃やメンテナンスがしやすく、ケア用品もドラッグストアで購入できるなど、日常管理の面でも利便性があります。

入れ歯の課題とデメリット

入れ歯にもいくつかの制約があります。最も大きな課題は咀嚼力の低下で、噛む力は天然歯の3分の1以下になるとされています。そのため、硬い食べ物や粘着性のある食べ物の摂取に制限が生じることがあります。

装着感については、慣れるまでに時間がかかる場合があります。入れ歯が合わないと外れやすかったり、痛みが生じたりすることがあり、定期的に調整が必要でしょう。

また、食べ物の味や温度を感じにくくなる場合があるため、食事の楽しみが減少する可能性もあります。審美的な面では、部分入れ歯の場合、バネが見えることで見た目に影響する場合があります。

話しにくさや発音の変化を感じる方もいらっしゃいますが、多くの場合は慣れとともに改善されます。長期使用においては、あごの骨が徐々に吸収されることで入れ歯が合わなくなり、定期的な調整や作り直しが必要になる点もデメリットといえるでしょう。

インプラントと入れ歯の違いを比較

インプラントと入れ歯の違いを比較するイメージ

ここでは、インプラントと入れ歯の違いを比較していきます。

機能性・噛む力の違い

インプラントと入れ歯の最も大きな違いは、咀嚼能力です。インプラントは顎骨に直接固定されているため、天然歯の約80〜90%の噛む力を発揮できるとされています。硬い食べ物でも安心して咀嚼でき、食事制限がほとんどありません。

一方、入れ歯の噛む力は天然歯の約30〜40%程度に留まり、特に総入れ歯では更に低下する傾向があります。

インプラントでは、ステーキやナッツ類、りんごなどの硬い食べ物も問題なく摂取できますが、入れ歯では食べ物の硬さや粘着性に注意が必要です。場合によっては食事内容を調整する必要があるでしょう。

また、インプラントは食べ物の温度や食感をより自然に感じることができ、食事の満足度が高いといわれています。

見た目

見た目の自然さにおいても、両治療法には明確な差があります。インプラントは歯根部分から再現するため、非常に自然な外観を実現できます。歯の色調や形態も天然歯に合わせて精密に調整可能で、治療したことがわからないレベルの審美性を獲得できるとされています。

入れ歯の場合、とくに部分入れ歯では金属のバネが見えることがあり、審美的に劣る場合があります。

ただし、ノンクラスプデンチャーを選択すれば、入れ歯であっても審美性が大幅に改善できるでしょう。総入れ歯は、適切に作製されれば自然な口元を演出できますが、口腔内の経年変化により適合性が変化すると、見た目に影響が出るかもしれません。

治療期間と通院回数

治療期間においても大きな違いがあります。インプラント治療は骨結合を待つ期間が必要なため、通常3〜6か月、複雑なケースでは1年以上かかることもあります。手術も1〜2回必要で、総通院回数は8〜12回程度となるのが一般的です。

一方、入れ歯であれば、通常1〜2か月程度で使用を開始できるでしょう。通院回数も4〜6回程度と少ないです。

ただし、完成後の調整期間を含めると、数か月を要することもあります。

費用

経済的な負担にも大きな違いがあります。インプラント治療は自由診療のため、1本あたり30〜50万円程度の費用がかかります。複数本のインプラントが必要な場合、総額は数百万円に及ぶ可能性があります。

しかし、適切にメンテナンスされたインプラントは長期間使用できるため、費用対効果は決して悪くないといえるでしょう。

入れ歯治療は保険適用が可能で、3割負担の場合、部分入れ歯で5,000〜1万5,000円程度、総入れ歯でも1万5,000円程度で製作できます。入れ歯は定期的な作り替えが必要なため、長期的な総費用を考慮する必要がある点に注意しましょう。

メンテナンス

日常的なケア方法も大きく異なります。インプラントは天然歯と同様にブラッシングとフロッシングでケアしますが、インプラント専用の清掃器具を使用することが必要です。

入れ歯は取り外してケアする必要があります。専用の洗浄剤とブラシを使用して、毎日清掃しましょう。定期検診では、入れ歯の適合性のチェックと調整・口腔粘膜の健康状態の確認をおこないます。

ご自身に合った治療法を選択するためのポイント

ご自身に合った治療法を選択するためのポイントについて説明するイメージ

ここでは、適切な治療選択のための具体的な判断基準をお伝えします。

年齢と口腔内状態による選択基準

年齢は、治療選択において重要な要素のひとつです。若い患者さまの場合、長期的な機能維持を考慮するとインプラントが有利な選択肢となるでしょう。骨量が十分で全身状態も良好であれば、インプラントの成功率が高く、長期間にわたって安定した機能を期待できるからです。

一方、高齢の患者さまの場合は、全身状態や既往歴を慎重に評価する必要があります。手術によるリスクが高い場合や、服薬している薬剤がインプラント治療に影響する可能性がある場合は、入れ歯治療が安全な選択となるでしょう。

また、口腔衛生管理が困難な患者さまの場合も、メンテナンスの観点から入れ歯を勧められる場合があります。

骨量の評価も重要で、長期間の歯の欠損により骨吸収が進行している場合、骨造成手術が必要になることが少なくありません。治療期間の延長と費用の増加を伴うため、患者さまの希望と照らし合わせて検討する必要があります。

ライフスタイルと治療法の適合性

患者さまの日常生活や職業も治療選択に影響します。営業職や接客業など人と接する機会が多い方は、審美性と機能性を重視してインプラント治療を選択する傾向があります。

また、スポーツを頻繁におこなう方や、硬い食べ物を好む方にとってもインプラントの機能性は大きなメリットとなるでしょう。

頻繁な通院が困難な方や、手術に対する不安が強い方の場合は、入れ歯治療が現実的な選択となります。また、将来的な介護の可能性を考慮する場合、入れ歯のほうがケアが容易という側面もあるでしょう。

経済的な観点からの判断

治療費用は多くの方にとって重要な判断材料になるでしょう。

ただし、初期費用だけでなく長期的な費用対効果を考慮することが大切です。インプラントは初期投資が大きいものの、適切にメンテナンスすれば10〜15年使用できるとされています。

入れ歯は初期費用が安価ですが、5〜7年ごとに作り替えが必要になるのが一般的で、調整費用を考慮する必要があります。また、機能面での制限により、食事の質や栄養摂取に影響が出る可能性も考慮すべきでしょう。

まとめ

インプラントと入れ歯から自分に合ったものを選んで治療して笑顔の女性

インプラントと入れ歯は、それぞれ異なる特徴を持つ治療法です。インプラントは天然歯に近い機能性と審美性を提供し、長期的な安定性が高いとされています。

一方、入れ歯は治療期間が短く、経済的負担が軽い利点があります。どちらの治療法を選択するかは、患者さまの年齢や口腔内状態・ライフスタイル・経済状況など、多くの要因を総合的に考慮する必要があるでしょう。

重要なのは、ご自身に合った最適な選択肢を選ぶことです。歯科医師との十分な相談を通じて、ご自身の状況に最も適した治療法を見つけることが、快適な口腔機能の回復と生活の質の向上につながるでしょう。

インプラントや入れ歯の治療でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

当院では、虫歯・歯周病治療、インプラント、セラミック治療、ホワイトニング、歯科矯正など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら予約・お問い合わせも受け付けておりますので、ぜひご活用ください。

叢生はマウスピース矯正で治せるのか?費用や治療期間の目安も

2025年9月5日
歯の矯正に使用するマウスピース

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

叢生(そうせい)と呼ばれる状態に悩む人は少なくありません。

叢生とは、歯がガタガタに生えていて、重なり合っているような状態を指します。見た目だけではなく、歯磨きのしづらさや虫歯・歯周病のリスクの高さなど、健康面にも影響を及ぼす可能性があります。

そんな叢生の治療法として注目されているのがマウスピース矯正です。装置が透明で目立ちにくく、取り外しも可能なこの矯正方法は、ワイヤー矯正と比べて負担が少ないとされ、多くの人に選ばれています。

この記事では「叢生はマウスピース矯正で治せるのか?」という疑問に焦点を当てつつ、治療のメリット・デメリットや費用・期間の目安などを詳しく解説していきます。

叢生とはどんな状態?

叢生の人の口元

叢生とは、歯が本来の位置に並びきらず、重なったりねじれたりして不規則に生えている状態のことを指します。いわゆる八重歯やガタガタな歯並びと表現される状態も叢生の一種です。

原因はさまざまで、歯の大きさに対して顎が小さい場合や、乳歯が早く抜けたことによって永久歯がずれた場所に生えた場合などが挙げられます。叢生の程度には個人差があり、軽度であれば見た目の問題だけで済むこともあります。

しかし、中等度から重度になると歯と歯の間に汚れが溜まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。そのため、叢生は放置せず、早めに対処することが望まれます。

叢生を放置するリスク

叢生を放置するリスクのイメージ

叢生は見た目の問題だけにとどまらず、さまざまな健康上のリスクをはらんでいます。歯並びが乱れていることで日々のケアが難しくなり、口腔内に多くのトラブルが起こりやすくなるのです。

また、噛み合わせのズレや発音への影響、さらには心理的ストレスにもつながる可能性があります。ここでは、叢生を治療せずに放置した場合に考えられる主なリスクについて詳しく解説します。

虫歯や歯周病のリスクが高まる

叢生の状態では、歯と歯が重なり合っていたり隙間が不規則だったりするため、歯ブラシの毛先が届きにくくなります。結果として、プラーク(歯垢)が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

特に、奥歯や歯の裏側は磨きにくいため、磨き残しが慢性化することで、口内環境の悪化を招く可能性が高いです。

噛み合わせが乱れる

叢生は噛み合わせにも悪影響を及ぼします。正しく噛めないことによって顎の筋肉や関節に負担がかかり、顎関節症を引き起こすこともあります。さらには、慢性的な肩こりや頭痛、姿勢の乱れなど、全身に影響が広がるケースもあります。

見た目や発音が不自然になる

叢生は見た目にも大きく関わります。歯並びが乱れていることで笑顔に自信を持てず、人前で話すことに抵抗を感じる方も少なくありません。

また、歯の位置によっては正しい発音がしづらくなることもあり、日常会話や仕事にも支障をきたす場合があります。これらの心理的な負担は、自己肯定感の低下にもつながりかねません。

叢生はマウスピース矯正で治せるのか?

叢生はマウスピース矯正で治せるのか考える女性

叢生の治療方法にはいくつかの選択肢がありますが、近年ではマウスピース矯正が注目を集めています。ワイヤー矯正とは異なり、装置が透明で目立ちにくく取り外しもできるという利点があります。そのため、特に成人の患者さまに人気です。

しかし、すべての叢生に対応できるわけではなく、症例によっては適応とならない場合もあります。ここでは、マウスピース矯正で叢生を治療できるケースやその限界について見ていきましょう。

マウスピース矯正で対応できるケース

マウスピース矯正は歯を少しずつ動かしていく治療法のため、軽度から中等度の叢生に対しては非常に効果的です。特に、前歯の見た目を整えたい場合や歯の重なりがそれほど深刻でない場合には、十分に治療可能とされています。

マウスピース矯正での対応が難しいケース

一方で、歯と歯の重なりが激しい場合や顎の骨格自体に問題がある場合は、マウスピース矯正だけでは十分な改善が見込めないことがあります。このようなケースでは、抜歯を伴う矯正やワイヤー矯正、外科的処置を組み合わせる必要があります。

マウスピース矯正による治療が可能かどうかについては、精密な検査や診察の結果に基づいて判断されます。

マウスピース矯正で叢生を治すメリット

マウスピース矯正で叢生を治すメリットのイメージ

叢生の矯正において、マウスピース矯正が多くの人に選ばれているのは、数多くの利点があるからです。ここでは、マウスピース矯正ならではの主なメリットについて詳しく解説します。

審美的に優れている

マウスピース矯正の最大の特徴は、透明な装置を使用するため、装着中でもほとんど目立たない点です。会話や笑顔の際にも自然な印象を保つことができるため、接客業や営業職など、人前に立つ機会が多い方にとって大きなメリットとなります。

食事や歯磨きがしやすい

マウスピースは自分で取り外しができるため、普段通りに食事ができます。また、歯磨きも通常通り行えるため、口腔内を清潔に保ちやすく、虫歯や歯周病のリスクも軽減できます。

痛みや違和感が少ない

マウスピースはなめらかな素材でできており、装着中の違和感や口内の傷の心配が少ないとされています。また、歯の移動も段階的かつ微調整が効くため、痛みを最小限に抑えることが可能です。日常生活への影響が少ない点は、継続的な治療において重要なポイントです。

マウスピース矯正で叢生を治すデメリット

 

マウスピース矯正で叢生を治すデメリットのイメージ

多くのメリットがあるマウスピース矯正ですが、すべての患者さまにとって万能な治療法というわけではありません。実際の治療にあたっては、デメリットや注意点もしっかり理解しておくことが重要です。

装置の特性や治療の進め方によっては予想以上に負担を感じることもあるため、事前にリスクを把握し、自分に合った方法かどうかを見極める必要があります。

自己管理が求められる

マウスピース矯正では患者さま自身で装置の装着と取り外しを行うため、高い自己管理能力が求められます。1日20時間以上の装着が推奨されており、装着時間が不足すると、治療効果が十分に得られなかったり予定通りに歯が動かなかったりするリスクがあります。

適応とならない症例がある

マウスピース矯正はすべての症例に対応できるわけではありません。歯列不正が重度の場合や骨格に問題がある場合はほかの矯正方法が選択されることもあります。マウスピース矯正とワイヤー矯正を併用するケースもあり、当初の想定より治療が複雑になることも考えられます。

装置を紛失・破損するリスクがある

装置の取り外しが可能という点はメリットですが、その一方で、紛失や破損といったトラブルも起こりやすくなります。外出先に忘れてくる、誤って捨てる、といったケースも少なくありません。マウスピースの再作成には時間も費用もかかるため、慎重な取り扱いが必要です。

マウスピース矯正で叢生を治す場合の費用・期間の目安

マウスピース矯正で叢生を治す場合の費用・期間のイメージ

矯正治療を検討する際、費用や治療期間は多くの方が気になるのではないでしょうか。

マウスピース矯正は装置が目立ちにくく快適な反面、保険が適用されない自由診療であるため、費用負担は決して小さくありません。また、叢生の程度や歯の動き方によって、治療にかかる期間も人それぞれ異なります。

ここでは、一般的な費用相場や期間の目安についてご紹介します。

マウスピース矯正の費用相場

マウスピース矯正にかかる費用は、症例の難易度や使用する装置の種類、クリニックの料金体系などによって幅があります。軽度であれば部分矯正が可能なケースもあり、その場合は30万〜50万円程度で済むこともあります。

一方、全体矯正が必要な場合や通院回数が多くなる場合は80万〜100万円ほどかかるのが一般的です。

マウスピース矯正にかかる治療期間

治療期間も歯並びの状態によって大きく異なります。軽度の叢生であれば6か月〜1年ほどで治療が完了することもありますが、中等度以上の叢生では1年半〜2年ほどかかります。

歯を動かすスピードには個人差があるため、最初に提示されたシミュレーション通りに進まないこともあります。

マウスピース矯正で対応できない場合の選択肢

マウスピース矯正で対応できない場合に使用するワイヤー矯正

すべての叢生がマウスピース矯正で治療できるわけではありません。歯の重なりが激しかったり、顎の骨格に大きな問題があったりする場合は、ほかの治療法のほうが効果的なこともあります。

自分に合った矯正方法を選ぶためにも、マウスピース矯正が難しいケースでの代替手段について知っておくことが重要です。

ワイヤー矯正

重度の叢生を矯正する場合、ワイヤー矯正が選択されるケースもあります。ワイヤー矯正とは、歯にブラケットと呼ばれる装置を取り付け、そこにワイヤーを通して歯並びを整える矯正方法です。

歯の表側に矯正装置を取り付ける場合、口をあけたときに目立つことがありますが、幅広い症例に対応できる点はワイヤー矯正のメリットといえます。

外科的な矯正治療

顎の骨格自体に大きなズレがある場合には、外科的な矯正治療が必要になることもあります。これは、歯列だけではなく上下の顎の位置関係を改善するために、外科手術と矯正を併用する治療法です。

まとめ

マウスピース矯正で叢生を治療して綺麗な歯並びを手に入れた女性

叢生は見た目だけではなく、口腔内の健康や日常生活にも影響を与える歯列不正の一つです。近年では、透明な装置を使用するマウスピース矯正によって、軽度から中等度の叢生を無理なく治療できるようになってきました。

装着時の快適さや衛生面でのメリットがある一方で、自己管理が必要、重度の症例には対応できないなどのデメリットも存在します。治療を検討する際は、費用や期間、治療の適応範囲を事前に把握し、信頼できる歯科医師の診断を受けることが何よりも大切です。

叢生を早期に改善することで、健康的な口元と自信ある笑顔を手に入れることができるでしょう。

マウスピース矯正を検討されている方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

当院では、虫歯・歯周病治療、インプラント、セラミック治療、ホワイトニング、歯科矯正など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら予約・お問い合わせも受け付けておりますので、ぜひご活用ください。

セラミック治療にかかる期間は?通院回数や基本的な治療の流れも

2025年8月29日
セラミックの歯と治療期間のイメージ

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

セラミック治療は、見た目の自然さや耐久性の高さから人気の高い審美歯科治療です。なかには「どれくらいの期間がかかるの?」「何回くらい通院すればいいの?」といった疑問を持つ方もいるでしょう。

治療期間は、口腔内の状態や選択するセラミックの種類、治療部位によって異なります。

この記事では、セラミック治療にかかるおおよその期間や通院回数、さらに基本的な治療の流れをわかりやすく解説します。

セラミック治療とは

セラミックの被せ物を試す様子

セラミック治療とは、歯の欠損や虫歯の治療後に使用する被せ物や詰め物に、セラミック(陶材)と呼ばれる素材を用いる治療法です。

金属を使用しないため、自然な白さと透明感が特徴で、周囲の歯と調和した美しい仕上がりが期待できます。見た目の審美性に優れるだけでなく、金属アレルギーのリスクを回避できることも大きなメリットです。

また、セラミックは強度が高く、長期間の使用にも耐えやすい素材です。噛み合わせに配慮しながら作製するため、見た目と機能性の両方を重視した治療が可能です。

ただし、保険適用外となるケースが多いため、費用については事前に歯科医師に確認することが重要です。

セラミック治療の期間の目安と通院回数

セラミック治療にかかる期間のイメージ

セラミック治療にかかる期間や通院回数は、治療する歯の本数や口腔内の状態によって異なりますが、一般的には2〜3週間程度で2〜3回の通院が目安です。

土台となる歯の状態が悪い場合や、神経の治療を伴うケースでは、数週間から1カ月程度かかることもあります。さらに、複数の歯を同時に治療する場合や、全体の噛み合わせを調整する必要がある場合は、より長期の治療計画になることがあります。

セラミック治療の基本的な流れ

セラミック治療のために取った歯型

ここでは、一般的な治療の流れについて説明します。

初診とカウンセリング

治療はまず、歯科医師による診察とカウンセリングから始まります。虫歯や歯周病の有無、歯の状態、噛み合わせを確認し、治療の適応を判断します。そのうえで、セラミックの種類や費用、治療期間について丁寧に説明し、患者さんの希望を反映した計画を立てます。

歯の形成と型取り

次に、セラミックを装着するために歯を適切な形に整えます。この作業により、装着後の安定性や見た目の自然さが確保されます。その後、精密な型取りを行い、技工所でオーダーメイドのセラミックを作製します。必要に応じて仮歯を装着し、治療中の見た目や噛み合わせを維持します。

セラミックの装着と調整

完成したセラミックを歯にセットする際は、適合性や色調を慎重に確認します。歯科用セメントで装着したあと、噛み合わせを調整し、自然な咬合を実現します。最後に、正しいケア方法やメンテナンスの重要性について説明し、治療は終了です。

セラミック治療のメリット・デメリット

セラミック治療のメリット・デメリットのイメージ

ここでは、セラミック治療を検討する際に理解しておきたいメリットとデメリットを詳しく解説します。

セラミック治療のメリット

セラミック治療のメリットは、以下のとおりです。

見た目が自然

セラミックは、天然歯に近い質感を持つ素材です。透明感や光の透過性に優れており、装着後の見た目がとても自然で、周囲の歯との調和がとれます。特に、笑ったときに目立つ前歯の治療では、この自然な美しさが大きな魅力です。

金属を使った被せ物では、光沢や色味が不自然になりやすく、周囲の歯との違いが目立つことがありますが、セラミックならその心配がありません。審美性を重視する方にとって、セラミック治療は非常に満足度の高い選択肢といえるでしょう。

変色しにくい

セラミックは、プラスチック素材のレジンに比べて、時間が経っても変色が起こりにくいという特徴があります。コーヒーや赤ワイン、カレーといった色素の濃い飲食物を口にしても、表面に色が付きにくく、清潔で美しい状態を長く保つことができます。

これに対し、レジンは使用を重ねるうちに黄ばむことがあるため、審美性を維持するために定期的な交換が必要になる場合があります。長期間にわたり白く美しい歯を維持できる点は、セラミックならではの大きな魅力です。

金属アレルギーの心配がない

セラミック治療は、金属アレルギーを持つ患者さんでも安心して受けられる治療法です。

金属製のクラウンやブリッジでは、唾液や食べ物と反応して金属イオンが溶け出すことがあります。それが体内に取り込まれることで、皮膚炎やかゆみなどのアレルギー症状を引き起こす可能性があるのです。

特に、長期間にわたり口の中で金属を使用する場合、このリスクは避けられません。

セラミックであれば、そうしたトラブルを防ぐことができるため、より安全性の高い治療を希望する方に選ばれています。

歯ぐきの変色を防げる

金属を使った補綴物は、経年によって歯ぐきが黒ずむことがあります。これは、金属が溶け出して歯ぐきに沈着することが原因です。見た目に大きな影響を与えるため、審美性を重視する方にとっては大きなデメリットといえるでしょう。

一方、セラミックは金属を含まないため、このような歯ぐきの変色が起こりません。治療後も自然で清潔な印象を維持でき、笑顔に自信を持てることが期待できます。

適切な噛み合わせが再現できる

セラミックは精密な加工が可能な素材です。そのため、治療後の歯の形態や噛み合わせを細かく調整することができます。しっかりと噛めることは、食事を楽しむうえで欠かせない要素です。噛み合わせが崩れると顎関節症やほかの歯への負担にもつながります。

セラミック治療のデメリット

セラミック治療のデメリットは、以下のとおりです。

費用が高い

セラミック治療は、保険が適用されない自由診療であることが多いため、費用負担が大きくなるのが現実です。使用するセラミックの種類や治療本数によって価格は異なりますが、一般的なレジンや金属を使った治療と比べると高額になりやすい点は理解しておく必要があります。

衝撃に弱い

セラミックの歯に衝撃が加わると割れることがあります。強い力で噛む習慣や歯ぎしりをする癖がある方は、セラミックの歯が破損するリスクがあるため、ナイトガードを装着するなどの予防策が必要になります。

治療に時間と回数がかかることがある

セラミック治療は、精密な型取りや技工所での作製工程を経て行われるため、最低でも2回以上の通院が必要です。また、虫歯・歯周病の治療や仮歯の調整が加わると、さらに期間が延びることがあります。スケジュールに余裕を持って治療計画を立てることが大切です。

削る量が多い場合がある

セラミックをしっかりと装着するために、歯をある程度削る必要があります。特にクラウンを用いる場合、歯の表面を大きく削ることがあり、歯の状態によっては神経の処置を行うケースもあります。

この点は、歯をなるべく残したいと考える患者さんにとってデメリットとなるでしょう。

修復や再治療が必要になる場合もある

セラミックは長期間使用できる素材ですが、口腔内の環境や噛み合わせの変化により、数年後に再調整や再治療が必要になることもあります。また、セメントの劣化や二次カリエス(再びできる虫歯)が生じた場合には、再治療が必要となります。

まとめ

セラミック治療をした美しい歯を見せて笑う女性

セラミック治療は、自然な見た目と耐久性を兼ね備えた補綴治療で、金属を使わないためアレルギーの心配が少なく、歯ぐきの変色を防げる点も魅力です。

治療期間は通常2〜3週間、通院回数は2〜3回が目安ですが、歯の状態や治療本数によってはさらに時間がかかる場合もあります。

基本的な流れは、初診とカウンセリング、歯の形成と型取り、セラミック装着というステップです。費用や治療期間はセラミックの種類や口腔内の状態によって異なるため、事前に歯科医師に確認しましょう。

セラミック治療を検討されている方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

当院では、虫歯・歯周病治療、インプラント、セラミック治療、ホワイトニング、歯科矯正など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら予約・お問い合わせも受け付けておりますので、ぜひご活用ください。

子どもの歯並びが悪いのを放置するとどうなる?リスクと予防法

2025年8月22日
笑顔の女の子

こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。

子どもの歯並びが悪いと気づいていても「そのうち生え変わるから大丈夫」と考えて放置する方も少なくありません。

しかし、歯並びの乱れは見た目だけではなく、噛み合わせや発音、さらには全身の健康や成長発育にも影響を及ぼす可能性があります。また、子どものうちに適切な対応をしておくことで、将来的な矯正治療の負担を軽減できるケースもあります。

本記事では、子どもの歯並びが悪くなる原因やそれを放置した場合のリスク、矯正治療が必要なケースや予防法について詳しく解説していきます。お子さまの健やかな成長と笑顔を守るために、今できることを一緒に考えていきましょう。

子どもの歯並びが悪くなる主な原因とは?

歯並びが悪い子供の口元

子どもの歯並びが悪くなる原因には、生活習慣や遺伝、口の使い方など、さまざまなものがあります。大人になってから矯正を始めると時間も費用もかかるため、できる限り子どものうちから原因を理解し、予防や早期対応を心がけることが大切です。

ここでは、歯並びの乱れにつながる主な要因について、日常生活に潜む小さなサインも含めて解説していきます。

遺伝的な要因

骨格や歯の大きさ、顎の形などは遺伝による影響が大きいとされています。例えば、顎が小さく歯が大きい場合、歯が並びきれずに重なったりねじれたりすることがあります。また、親の噛み合わせの特徴が子どもに遺伝することも多いです。

指しゃぶり・舌癖・口呼吸などの癖

3歳を過ぎても続く指しゃぶりや無意識に舌を前に押し出す癖(舌癖)、口を開けたままの呼吸(口呼吸)も、歯並びに悪影響を与える可能性があります。これらの習慣が長期間続くと、前歯が出っ張ったり、上下の歯が噛み合わなくなったりするなど、顎の成長バランスにも影響します。

食生活と噛む力の低下

現代の子どもはやわらかい食べ物を好む傾向があり、噛む回数が減少しています。噛むことで顎の骨が発達し、歯がきれいに並ぶためのスペースが確保されますが、噛む力が弱いと顎の成長が不十分になり、結果として歯並びが乱れやすくなります。

食生活の見直しは、歯並びにも大きく影響するのです。

乳歯の早期喪失や虫歯

乳歯が虫歯などで早く抜けると、後から生えてくる永久歯が正しい位置に並べなくなることがあります。乳歯には、永久歯が生えるための道しるべとしての役割があるため、歯並びを守る上では虫歯を予防することも重要なのです。

子どもの歯並びが悪いとどんなリスクがある?

歯並びが悪くて悩む子ども

「見た目がちょっと気になるだけ」と軽視されがちな子どもの歯並びの問題ですが、実は見た目以上にさまざまなリスクを生じます。噛み合わせの悪さは、口の機能だけではなく、発音や集中力、さらには全身のバランスや消化にも影響を及ぼす可能性があります。

小さなうちに起きた歪みが成長とともに拡大する可能性もあるため、歯並びの乱れを放置せず、早い段階でリスクを把握することが重要です。ここでは、子どもの歯並びが悪い場合に起こりうる主なリスクについて具体的に見ていきましょう。

発音や滑舌の問題が起こる

前歯にすき間があったり上下の歯が噛み合っていなかったりする場合、舌の位置が安定せず、サ行やタ行などの発音が不明瞭になることがあります。歯並びは正しい発音の基礎となるため、歯の配置が乱れていると、滑舌に影響を及ぼすケースが多く見られます。

噛む力や消化機能の低下

噛み合わせが悪いと食べ物を十分に噛み切ることが難しくなり、丸飲みする傾向があります。その結果、胃腸に負担がかかり、消化不良や栄養吸収の効率低下を招くことがあります。

また、よく噛むことで顎の筋肉や骨が発達しますが、それが不十分だとさらなる歯並びの乱れにもつながります。

虫歯や歯周病のリスクが高まる

歯並びが悪いと、歯と歯の間に汚れがたまりやすくなります。特に、歯ブラシの届きにくい部分が多くなることでプラーク(歯垢)が残りやすくなり、虫歯や歯肉炎などの原因になります。清掃性の悪さは、子どもの時期から口腔内の健康に大きな影響を与える要因のひとつです。

顔や体全体の歪みに発展する

歯並びや噛み合わせは、顔の筋肉や骨格、姿勢にも関連しています。例えば、片側ばかりで噛む癖があると左右の筋肉のバランスが崩れ、顎関節や首、肩にも負担がかかります。こうした影響が積み重なると、体の歪みや姿勢の乱れを引き起こすこともあるのです。

矯正したほうがよい子どもの歯並び

前歯が生え変わりはじめた受け口の子ども

歯並びが多少悪くても、すべてのケースで矯正が必要というわけではありません。

しかし、中には早めに対処しないと将来の成長や噛み合わせ、さらには健康面に悪影響を与えるような歯並びの乱れもあります。専門的な判断が必要な場合も多いため、気になる場合は早めに歯科医の診断を受けることが大切です。

ここでは、特に矯正治療が検討されることの多い歯並びの例についてご紹介します。放置しておくと症状が進行する可能性があるため、早期発見・早期対応が重要です。

出っ歯(上顎前突)

出っ歯とは、上の前歯が前方に大きく突き出している状態です。転倒時に前歯をぶつけやすいというリスクもあります。また、唇が閉じにくくなるため口呼吸になりやすく、口内環境の悪化や感染症の原因となることもあります。

受け口(反対咬合)

受け口とは、下の歯が上の歯よりも前に出ている状態です。放置すると顎の骨格が歪んで成長する恐れがあります。早期治療が推奨される代表的なケースのひとつで、発音や咀嚼、顎関節にも影響を与える可能性があります。

開咬(かいこう)

開咬とは、奥歯は噛み合っているのに、前歯が閉じきらずに上下にすき間がある状態です。指しゃぶりや舌癖が原因となることが多く、前歯で食べ物を噛み切れない、発音が不明瞭になるといった問題が出やすくなります。

叢生(そうせい)・ガタガタの歯

叢生とは、歯がきれいに並ばず、ねじれたり重なり合ったりしている状態です。歯が並ぶスペースが足りないことが原因で、清掃が行き届かず虫歯や歯肉炎のリスクが高まります。見た目にも強く影響するため、思春期以降コンプレックスの原因となることもあります。

小児矯正は何歳ごろから?

笑顔の母親と小学生の女の子

「子どもの歯並びが気になるけれど、矯正を始めるタイミングがわからない」という保護者の方は多いでしょう。

実は、小児矯正には、早期に始めたほうがよいケースが存在します。適切な開始時期は歯並びの状態や成長発育の段階によって異なります。治療の効果を最大限に発揮するためには、タイミングを見極めることが大切です。

小児矯正は第1期治療と第2期治療に分かれています。第1期治療は、主に乳歯と永久歯が混在する6〜10歳頃に始められるもので、顎の成長バランスを整えるのが目的です。この段階で骨格のズレを改善することで、永久歯がきれいに並ぶスペースを確保できます。

第2期治療は、永久歯が生えそろう12歳前後から行うことが多く、歯の位置を細かく整えるのが主な目的です。

骨の柔らかい子どもの時期に治療を始めることで軽い負担で大きな改善が期待できます。気になる癖や歯並びの乱れがある場合は、5〜6歳頃から一度、歯科医院で相談してみるのがよいでしょう。

子どもの歯並びが悪くなるのを予防するためには

ご飯をおいしそうに食べる子ども

歯並びの乱れは矯正治療によって改善できますが、理想はそもそも歯並びが悪くならないよう予防することです。子どもは成長とともに歯や顎が変化していくため、日々の生活習慣や環境が歯並びに大きく影響を与えます。

つまり、保護者のちょっとした気づきや配慮によって、歯並びの乱れを未然に防ぐことが可能なのです。ここでは、家庭で実践できる予防法を中心に、歯並びを整えるために意識したいポイントを具体的にご紹介します。

よく噛む習慣を身につける

硬めの食材を取り入れ、しっかり噛む習慣を育てることで顎の骨や筋肉の発達を促進し、歯が並ぶためのスペースを確保しやすくなります。時間をかけて食べるよう促し、噛むことが良いことという意識づけを日常に取り入れていきましょう。

姿勢と呼吸を整える

猫背や口呼吸などの癖は、顎の成長バランスに影響を与え、歯並びを悪くする要因になります。正しい姿勢を意識し、口を閉じて鼻で呼吸する習慣を身につけることが大切です。特に、テレビやゲームなど、長時間の前傾姿勢には注意が必要です。

指しゃぶりや舌癖を早めに改善する

指しゃぶりや舌で前歯を押す癖(舌癖)は、歯に持続的な力をかけるため、前歯の突出や噛み合わせの異常を引き起こします。無理にやめさせるのではなく、子どもが安心できる環境を整えるとともに、必要に応じて小児歯科や保健師のサポートを活用することが重要です。

定期的に歯科検診を受ける

歯並びの乱れは、初期の段階では本人も気づきにくいものです。定期的に歯科検診を受けることで、異常の早期発見が可能になります。歯の生え変わりや顎の成長をチェックしてもらうことが、予防への第一歩です。

まとめ

楽しそうに笑う子どもとそれを嬉しそうに見守る夫婦

子どもの歯並びが悪い状態を放置していると、発音や噛む力、口腔内の健康、さらには体のバランスや精神面にまで影響を及ぼす可能性があります。一見すると些細なズレでも、成長とともに問題が大きくなることもあるため、早めの対処が大切です。

遺伝だけではなく、日常の癖や生活習慣も歯並びに影響を与えます。このことを理解し、予防の視点を持つようにしましょう。大切なお子さまの健やかな成長を守るために、今できることから始めてみてください。

子どもの歯並びでお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。

当院では、虫歯・歯周病治療、インプラント、セラミック治療、ホワイトニング、歯科矯正など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら予約・お問い合わせも受け付けておりますので、ぜひご活用ください。