こんにちは。大阪府八尾市にある医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所です。
インビザラインは、透明なマウスピースを段階的に交換して歯を動かす治療法です。目立ちにくく快適なため、多くの患者さまに選ばれています。
その中で「もう少し早く交換してもいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。治療が順調に進んでいるように見えると、次のステップへ早く移りたくなるでしょう。
しかし、実はマウスピースの交換時期を早めることにはリスクがあります。
この記事では、インビザラインの基本的な仕組みや、マウスピースの一般的な交換時期、そして交換を早めることで起こりうるリスクについて詳しく解説します。矯正治療を計画通りに進めるためのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
インビザラインとは
インビザラインとは、マウスピース矯正(アライナー矯正)の中の1つです。透明なマウスピースを定期的に交換しながら、徐々に歯を動かしていきます。従来のワイヤー矯正とは異なり、取り外しが可能で見た目も目立たないため、特に成人の間で人気を集めています。
治療においてはまず、歯科医師がデジタルスキャンなどを通して歯並びを精密に計測し、専用ソフトウェアで治療計画を立てます。その治療計画に基づいて、数十枚に及ぶマウスピースを作製します。装着後は1〜2週間ごとに新しいものに交換しながら少しずつ歯を動かしていきます。
インビザラインの大きな特徴は、計画性の高さと日常生活への影響の少なさです。マウスピースは食事や歯みがきの際には取り外せるため、生活の質を保ちながら治療できます。また、金属を使わないため金属アレルギーの心配がなく、痛みも少ないとされています。
ただし、マウスピースの装着時間や取り扱いに自己管理が求められる治療でもあるため、治療を成功させるには、患者さま自身の理解や協力が必要になります。
インビザラインのマウスピースの一般的な交換時期
インビザライン治療では、通常1枚のマウスピースを7日から14日程度装着し、その後新しいマウスピースに交換します。交換頻度は個々の症例や歯の動き方によって異なり、歯科医師が設定した治療計画に基づいて決定されます。
多くの場合、初期段階では歯が動きやすいため、短いサイクルでの交換が可能です。進行するにつれて動きが緩やかになることから、装着期間が長くなります。
一般的には、1日20〜22時間以上の装着を1週間程度続けることが次のマウスピースへの切り替えの基準となります。
しかし、ただ日数をこなせば良いというわけではなく、歯が正しく移動しているか、マウスピースがぴったりとはまっているかなど、フィット感や治療の進捗状況も重要な判断基準です。これらを見極めるためには専門的な知識を要するため、歯科医師の指示に従うことが求められます。
インビザラインのマウスピースの交換を早めるリスク
インビザラインの治療中、自己判断でマウスピースの交換を早める人がいますが、このような行為はさまざまなリスクを伴います。その結果、思うように歯が動かなかったり治療期間が長引いたりすることがあります。
ここでは、インビザライン治療においてマウスピースを予定よりも早く交換することのリスクを紹介します。トラブルにならないようにするためにも、しっかりと理解しておきましょう。
歯の移動が追い付かない
マウスピースをはやく交換することのリスクとして第一に挙げられるのは、歯の移動が追いつかないことです。マウスピースは段階的に歯を動かす設計になっており、一定の時間をかけて歯根や周囲の骨が変化するのを待つ必要があります。
マウスピースを予定より早く交換すると、歯が新しい位置についていけず、マウスピースが浮いたり装着が不安定になったりすることがあります。
矯正の精度が落ちる
第二に、矯正の精度が落ちる可能性もあります。歯の動きには個人差があり、見た目では順調に進んでいるように見えても、内部では計画通りの動きになっていないケースもあります。
このような場合、無理に次のマウスピースを装着すると意図しない方向に歯が移動し、修正が必要になることもあります。そうなると、追加のマウスピースが必要になり、治療期間が長引くだけではなく、費用もかさみます。
マウスピースが変形・破損する
マウスピースは各ステージの歯の状態に合わせて設計されています。交換のタイミングを早めて装着した場合、歯の形状とフィットしていない状態での使用になることがあります。それによってマウスピースに過剰な力がかかり、ひび割れや変形が生じやすくなります。
また、適切な位置にフィットしていないマウスピースでは、矯正力が不均等になり、歯の移動にもムラが生じる恐れがあります。
健康上の問題を引き起こす
さらに、過度な負荷が歯や顎にかかることで、痛みや違和感を覚えたり、歯根吸収といった健康上の問題を引き起こしたりするリスクもあります。これらのリスクを回避するためにも、交換のタイミングは歯科医師の指示に従うことが重要です。
歯の後戻りの可能性が高まる
マウスピースを早めに交換すると、歯がしっかりと骨に固定される前に次の段階へ移行することになります。歯は移動後すぐには安定せず、元の位置に戻ろうとする後戻りが起きやすい時期があります。
そのため、その期間を十分に確保せずに交換を早めると、せっかく移動した歯がまたずれることがあります。後戻りは、治療のやり直しや期間の延長を招く要因にもなります。
歯科医師の管理が行き届かなくなる
矯正治療は、歯科医師が歯の動きを慎重に観察しながら進めていくものです。自己判断で交換スケジュールを早めると、医師が予定していたタイミングでのチェックや調整ができず、異常が見逃されるリスクが高まります。
インビザラインのような精密な治療では、小さなズレが全体の仕上がりに大きく影響することがあるため、定期的な診察と正確なスケジュール管理が欠かせません。
インビザライン矯正を計画どおりに進めるためのポイント
インビザライン矯正を効果的に、そして予定通りに進めるには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。治療を成功させるためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
マウスピースの装着時間を守る
インビザライン治療を予定通りに進めるのに最も基本的なことは、マウスピースの装着時間を守ることです。1日20〜22時間の装着を怠ると、歯が予定通りに動かず、次のマウスピースが合わなくなる可能性があります。これが治療期間の延長につながる原因の一つです。
マウスピースの交換タイミングを守る
次に大切なのが、マウスピースを交換するタイミングです。先述のとおり、歯科医師が指示する交換時期は、歯の動きや状態を総合的に判断したうえで設定されています。「もう次のマウスピースでも大丈夫」と感じても、自己判断で計画を逸脱する行動は避けるべきです。
歯が完全に新しい位置に馴染むには一定の安定期間が必要で、その期間を無視すると矯正がうまく進まないことがあります。
定期的に通院する
また、治療中も定期的に通院することが重要です。インビザラインは自己管理型の治療ではありますが、治療の進行や歯の状態は歯科医師によるチェックが必要です。
通院の際には、マウスピースのフィット感や歯の動きなどの確認が行われ、必要であれば治療計画の調整も行われます。
食事のときはマウスピースを外す
最後に、食事や歯磨きの習慣も矯正効果に影響を与えます。マウスピースは食事中に外す必要があり、飲食後にはしっかりと歯磨きをしてから再装着することが求められます。これを怠ると、虫歯や歯周病のリスクが高まり、矯正治療にも悪影響を及ぼすことになります。
まとめ
インビザラインは、透明で目立ちにくく、生活にも支障が少ないという大きなメリットがありますが、効果を最大限に引き出すためには、治療計画を厳守する必要があります。
特に、マウスピースの交換時期は、見た目には分からない歯の動きや骨の変化を見越したうえで設定されています。自己判断で早めに交換すると、歯がうまく動かず矯正効果が損なわれたり、かえって治療が長引いたりするリスクさえあります。
治療をスムーズに進めるためには、歯科医師の指示に忠実に従い、装着時間や衛生管理を徹底することが重要です。短期間での成果を求めるあまり、安易にスケジュールを早めるのではなく、正しい知識と意識を持って治療に取り組みましょう。
インビザライン矯正でお悩みの方は、大阪府八尾市にある歯医者「医療法人甦歯会 もりかわ歯科志紀診療所」にお気軽にご相談ください。
当院では、虫歯・歯周病治療、インプラント、セラミック治療、ホワイトニング、歯科矯正など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら、予約・お問い合わせも受け付けておりますので、ぜひご活用ください。